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R18姉と俺のセックス日記 作者:山口

学園祭・1

 それから半月が経ち、学園祭の当日になった。
 うちのクラスは、タコ焼き屋をやる事になっている。
 俺は午後から参加する事になってるので、午前中はフリーだ。昼になったら交代し、午前中に働いてた奴がフリーになる。
 今日は日曜日なので、妹や従姉妹をつれていける。そこで二人に声をかけ、一緒に行く事にした。
 彼女たちをつれて俺の教室に入ると、クラスメートの久保木がホットプレートでタコ焼きを作っていた。身に着けているのは鉢巻き、Tシャツ、学校指定のジャージのズボンだ。周囲には他の男子や女子もいる。
 客の姿はちらほらと見える程度で、さほど忙しくもなさそうだ。俺は久保木に近づいて声をかけた。
「よう、ボッキ」
「その名前で呼ぶな、バカ野郎!」
 そう言われても、こんなあだ名になったのは本人に原因がある。
 こいつは以前、自宅に友だちを集めて妙な芸を披露した。「右手もエロ画像も使わず、想像だけで一分以内に勃起する」という、すごいのかすごくないのかよくわからない物だ。
 彼は見事に成功させたものの、代償として「ボッキ」というあだ名を付けられてしまった。
 ちなみに、顔はモアイに似てる。そんなあだ名の上にこんな外見で、しかも超短気だから彼女はいない。
 彼は俺を見た後、彩乃と花音に視線を移した。妹はTシャツにミニスカート姿で、従姉妹は相変わらずキャミソールワンピースを着ている。
「お前……彼女がいない俺の前で、かわいい女の子を二人もつれ歩きやがって。 一人よこせ」
 俺はにやにや笑いながら答えた。
「やだね。そんな事より、しっかりタコ焼き売れよ」
「うるせー! 言われなくたって売るわ、ボケ!」
 どうやらご機嫌ななめらしい。噛み付かれると嫌だから、そろそろ逃げよう。
 ……と思ったら、机の上にフルーツの缶詰がある。バナナとチョコレートもだ。こんなもん、何に使うんだろ。
「ボッキー、なんで……」
「うるせー!」
 声をかけただけでキレられた。理不尽だ。
 Tシャツを着た、クラスの女子が苦笑しながら言う。
「あのね、久保木君が買ったんだよ。『タコ焼きだけじゃつまらねーよ』って」
「え、じゃあフルーツポンチでも売るの?」
「ううん。マンゴーとかパインをタコ焼きの生地に入れて、トロピカル焼きとして売るんだって」
 ……バカなのか、あいつは。思いきりまずそうだぞ。
「あとね。バナナを生地に入れて、チョコレートを上からかけて、チョコバナナ焼きを作るって……」
 そんな話、事前に聞いてないし。
「おい、ボッキ」
「っせーな、なんだよ」
「勝手に変なもん売るんじゃねーよ」
「やかましい! 文句言う前に一つ食ってみろ」
 奴は、俺の口にトロピカル焼きを押し込んだ。パインの果汁が口の中に広がり……って、ちょっと待てよ。
「これ、ちゃんと焼けてねーじゃねーか!」
「細かい事は気にすんな」
 全然細かい事じゃないだろ。どうしようもない奴だな。
「頼むから、食中毒だけは出すなよ」
「はいはい」
 さて、美咲のクラスにでも行ってみるか。確か演劇やるとか言ってたな。
 俺は二人をつれて姉の教室へ向かった。入口のドアの横に、手作りの巨大な看板がぶら下がっている。書かれているのはこんなタイトルだ。
「エロゲー伯爵と勇敢なる美少女」
 ……もう、観る前から駄作ってわかるよ。
「他のクラスに行こうかな」
 そうつぶやくと、彩乃が眉を吊り上げた。
「せっかくお姉ちゃんが出てるんだから観ていこうよ」
「うーん」
 まあいいか、無料みたいだし。
 廊下側から中に入ると窓側にステージがあり、その前に椅子が並べられていた。黒板の前にテーブルがあり、スナック菓子や飲み物を売っている。観客は二十人くらいだ。
 スナック菓子とペットボトルの飲料を買って椅子に座っていると、ステージの横で美咲が騒いでいるのが聞こえた。兜をかぶり胸当てを着け、腰には突剣を佩いている。
「ちょっと、どういう事? 彼はどこに行ったの?」
 答えているのは男子だ。全身に鎧を着込んでいる。
「なんか変な物を食べて腹を壊したらしくて、まだトイレに篭ってるんだよ」
「何それ、拾い食いでもしたわけ?」
「いや、トロピカル焼きだかなんだか……」
 ヤバい、久保木が作った奴じゃんか。遂に被害者が。
「じゃあ、どうする? 代役はいるの?」
「いないんだな、これが」
「劇ができないじゃないの!」
「まいったなあ」
 男子は頭をかいている。俺は立ち上がって近づき、おずおずと声をかけた。
「あの、すいません。うちのクラスのトロピカル焼きが……」
 俺の顔を見た姉が、目を見開いて叫ぶ。
「あー、優ちゃん!」
 男子はそれを見て、俺にたずねた。
「あれ、知り合い?」
「いや、知り合いって言うか……」
 美咲は満面に笑みを浮かべて近づいてきた。さらに、俺の肩をポンポン叩きながら言う。
「ねえ、代役やってよ。お腹を壊して出られないらしくてさあ」
「ちょ、無茶言うなよ。台本読んだ事ないしセリフも覚えてねーぞ」
「大丈夫、最後にちょっと出るだけだから。セリフは適当にアドリブでいいよ」
 無茶苦茶だな、おい。
 ひたすら呆れていると、男子が両手を合わせて言った。
「頼むよ、困ってるんだ」
「は、はあ……」
「ベッドシーンあるからさ、いいだろ? もちろん擬似セックスだけどね」
 こ、高校の演劇でベッドシーンって。
「なっ、頼むよ」
 ……まあ、元はと言えばうちのトロピカル焼きが悪いんだ。ここは一肌脱ごう。
「わかりました、やります」
 美咲が両手を振り上げて喜ぶ。
「やったー!」
 男子も笑顔でうなずく。
 まあ、役に立てるならよかった……と思っていたその時、姉が耳打ちした。
「本当にエッチしちゃおうよ」
 ……はい?

 それからしばらくして、演劇が始まった。
 眼鏡をかけた小太りの生徒が、ステージの中央に進み出る。着ているのは緑色の服と茶色いカーゴパンツ、赤いマントだ。
「ハッハハハ、我こそはエロゲー伯爵! 世界の男たちを二次元の世界にどっぷり浸からせ、三次元の女に興味が湧かない様にしてやる!」
 俺は、その様子をステージの脇から見ていた。予想以上にくだらない劇だ。
「なぜそんな事をするかって? よかろう、教えてやる。私に『キモい』『オタク』『ブサ男』などと罵った、世の中のバカ女どもに復讐してやりたいからだ!」
 なんて悲しい悪役なんだ。俺だって、そんな事を言われたら怒る。ちょっと同情するよ。
 やがて、鎧を着込んだ男たちが伯爵を取り囲んだ。皆、その手に突剣を握っている。
 その中の一人が剣を突きつけて言う。
「エロゲー伯爵! この外道め、我々が誅殺してくれるわ!」
 伯爵はにやりと笑い、懐から二枚のDVDを取り出した。さらに、剣士たちを見回しながら叫ぶ。
「くくく……究極のエロゲー『エロ姫大戦』と『真・ロリコン無双』の力、とくと見るがいい!」
 彼は二枚のDVDを左右の手に持ち、踊り始めた。腹のぜい肉がたぷたぷ揺れる。
「秘技、エロゲーの舞!」
 その途端、周囲の男たちが目を見開いた。
「は、伯爵が二次元の美少女に見える!」
「も、萌える! 萌え尽きてしまううっ!」
 伯爵は高笑いをしながら踊り続ける。ピンク色の光が彼を照らし、妖しい空気が周囲を包み込んでいく。
「はっははは! もう貴様らは二次元の虜。二度と三次元の女に興味を持つ事はない!」
 次々と男たちが現れて伯爵に挑んだが、ことごとくエロゲーの舞に退けられてしまう。彼は調子に乗る一方だ。
「ふはははは、エロゲー最強! 我に敵なし!」
 その時、女性の声が響いた。
「そこまでだ、エロゲー伯爵!」
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