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こんにちは。作者です。
今回のお話は、思う所あっての投稿でした。
10月18日付けのブログ『かずたかの独り言』並びに、
HONなび掲示板にもお伝えしておりますが、
今回、作中での読後感が最高に悪くなる仕様になっております。
苦手な方は、ご遠慮ください。
尚、投稿サイト様の掲載はR18として慎重に検討させて頂いております。
現実に近いフィクションとして捉えておりますので、ご理解の程お願い致します。
第99話 恵理…3
「放してっつ!」

恵理は残った気力を振り絞って、獣みたいなキツイ目付きで伊達を睨み付ける。

「く……強情な!」

コメカミに青筋を立てて激高した伊達は、恵理の前髪を無造作に掴んで顎を仰け反らせると、左の乳首を貪るようにカブリ付いた。

「っあ! いやぁ! 噛まないで! 噛んじゃイヤぁあああ―――ッツ!」

両膝に割り入った伊達の腕が、前後に大きく動いて蕩けた水音を掻き鳴らす。

「ああ―――ッ!!!」

恵理は狂ったように髪を振り乱して、激しく首を横に振る。

恵理の立てた両膝がビクビクと大きく痙攣し、細い身体が弓形ゆみなりしなった。

「その目付き……二度と私に向けられないようにしてあげましょう」

伊達は恵理から一旦身体を離すと、手早くズボンを下げてパンツから巨根を取り出した。

ギンギンに赤黒く怒張して、腹に着きそうな伊達のモノは、俺でも一瞬怯むくらいデカかった。

図体がデカイとモノがチイセェってのは、この場合伊達には当て嵌まらねー。

俺もタイガイ相棒には自信があったが……伊達のには負ける。

つか、恵理とサイズが合わねーよ。

「……」

登り詰めてボンヤリとした恵理の虚ろな視線が、目の前で膝立ちをしている伊達のモノを捉えた。

トタンにサァッと血の気を失くして青ざめる。

「ひ……だ、駄目……そんなの無理っ! い、いやっ! 入らない……」

怯えて何度も首を振るが、恵理の視線は伊達のモノから放れなかった。

「入るか入らないかは、試してみないと判りませんよ?」

「い、いや……」

恵理は両腕で上半身を引き起こして後退あとずさる。

「さあ、恵理? おいで?」

「イヤッツ!」

伊達は恵理の首から繋いでいるベルトを強く引き、恵理の身体を手繰り寄せる。

「もっと殴られたいのですか? これ以上殴れば脳震盪程度では済みませんよ?」

伊達は引き寄せた恵理の二の腕を掴んだ。

握力にモノを言わせて、もの凄い力で腕を握っているのが俺にも判る。

伊達に掴まれた腕を引き、恵理は肩を竦めて必死に手を振り解こうともがく。

「やぁっ! あ……う……」

細い柳眉が寄り、半開きの唇から呻き声が漏れた。

「ははは……いいぞ恵理! もっと歌え!」

苦痛の表情を浮かべている恵理を見て、伊達は満足そうに笑った。

チラリと俺に一瞥を遣して、伊達は自分の力を誇示してやがる。

爛々と光る伊達の眼に、狂気を察して俺はドン退きしてしまった。


「止せよ。苦しそうにしてるだろ?」

「黙れ!」

俺の咎める言葉に反して、伊達は首のベルトを強く引き絞る。

「ぁぐっ……」

ワンテンポ遅れて恵理の腕が、だらりと力無く落ちた。

失神寸前。

恵理は完全に抵抗する気力すら失くして、人形にされちまった。

このサディスト野郎!

苦痛に呻いて恵理のイク寸前の顔を、オカズにしてやがるのかよ?


膝立ちした伊達が、恵理の腰を浮かせて両膝を抱え上げる。

ぐったりとした恵理は、下半身が上になる逆さま状態で吊り上げられ、後頭部をズルズルと引き摺られた。

伊達は一旦片手を膝から放して、イキリ立つモノを恵理の中に沈めようとするが、中々上手く入らない。

ナニテコズってンだよ。

俺なら一発だっつーの。

……俺だったら……

……だったら……

急に切なくなった俺は、心の中で精一杯の強がりをカマシた。


「んっつ……」

人形だった恵理の身体が、ビクンと震えた。

汚らしく笑う伊達が、勝ち誇ったように俺を見る。

「……っやぁ……こんな……」


――『いや! こんなのはイヤ!』


聞える筈の無い恵理の声が、俺には聞こえた気がした。


はぁ、はぁあ、はぁ……

荒々しく乱れる呼吸音。

中を激しく突き上げる伊達の肉棒に連動して、白い恵理の身体が大きく揺れ、オッパイが弾んだ。

目の前で恵理が襲われている。

それすら俺にとっては、DVDの一画面を観ているような気がして仕方なかった。

恵理と言うAV嬢が、伊達と言う男優に犯されている……

俺の思考が停止した――


「くうぅっ……」

伊達が唸り、恵理の身体が大きく撓った。

汗に塗れながら、念入りに腰を突き出して恵理の肉壷を隅々まで貫くと、満足そうな表情を浮べて身体を離す。

聞いたコトがある耳障りな音がして、肉壷から逆流した伊達のザーメンと恵理の血が勢いよく溢れ出した。

恵理から離れた伊達は、肩で荒い息を吐きながら立ち上がり、自分の上着からヴィトンの財布を取り出した。

俺の傍に立った伊達の手元から、紙幣を数える微かな音が聞える。

「……?」

見上げると、伊達は勝ち誇ったように笑いながら、俺に向かって万札を五、六枚投げ付けて来た。

「フハハハ……さあ、拾え!」

「……」

思考が停まって呆然としていた俺には、ナニが起こったのかさえ理解出来ないでいた。


――か、金……金だ!


俺の目の前でヒラヒラと宙を舞う万札を、反射的に拾った。

「浅ましいな! よく見ろ恵理! お前を売った金を拾っているぞ!」

総ての万札を拾った俺を見て、伊達は再び部屋中に響き渡るホドの声で高笑いする。

「つ……かさぁ……」

弱々しく恵理が反応した。

俺はハッと我に返り、万札を握ったままゆっくりと立ち上がって、視線を恵理に向けた。


伊達に弄られた恵理の身体には、至る所に痣や爪痕、そしてキスマークが刻印のように浮かび上がっている。

血と汗に塗れた白い裸身はぐったりとして、まるで車に轢かれたネコの死体みたいだ。

「見ないで……ぃやだぁ……」

くぐもった声がして、俺と視線が合った恵理の瞳から、涙が毀れた。


――コレが……恵……理?


ドキリと俺の心臓が大きく鳴る。

俺は居た堪れなくなって、恵理のマンションを飛び出した。



  *  *



はぁ、はぁ……

俺は蒼い月の光に照らされているアスファルトを、デタラメに走った。

ドコをどう走ったのかさえ覚えていない。

……気が付けば、マンションから数キロ離れた橋の袂に来ていた。

俺は橋のほぼ中央に歩み寄り、欄干に腕を組んで載せると、真っ黒い水面を覗き込む。



木村工業の三女である恵理と、その子会社である伊達ケミカルの長男、伊達隆章。

木村工業が創業した当時、伊達ケミカルの旧社名――伊達製薬会社は木村工業よりも長い歴史を持つ、大きな会社だったらしい。

福祉・医療関係は人が生活する上で、絶対に必要不可欠な事業だ。

取り扱っていた薬品の効能がずば抜けていた伊達製薬は、一時は薬=伊達製薬とまで謳われていたが、後に違法な薬品の製造販売と、ヒイキにして貰っていた病院内での人体実験がマスコミに暴かれ、経営が傾いた。

規模を大きく縮小して社名を変更し、木村工業傘下のメディカル部門子会社として生まれ変わり、現在までの地位を再構築している。

伊達ケミカルは、伊達製薬会社当時の実績をいまだに高く評価している木村のライバル社も多い。

その会社の長男である、伊達隆章は生粋のお坊ちゃま。

木村工業は、伊達製薬に比べれば歴史も浅く、二年前に代表取締役を辞任した現会長の木村元治氏が一代で築き上げた会社で、『成り上がりの木村』と陰口を叩く者も少なくない。

恵理を伊達の婚約者に……木村社長としては、伊達との血縁関係を望んで会社間の間柄をより強固なものにしようとしての思惑だろう。

一ヒラ社員である俺なんかには、到底関与する事が許されない分野の話だ。



手にしていた万札が、夜風にカサカサと乾いた音を立てた。

俺は、無意識に拾った万札を力一杯握り締めている。

『……ぃやだぁ……』

涙に濡れた恵理の哀しい表情が脳裏に浮かぶ。

『サッサとココで遣っちまえよ!』

『……っちまえよ!』

『……よ!』

『……!』

俺が伊達に言い放ったセリフが、わんわんとワレガネみたいに頭の中を駆け巡っている。


――あんなコト……言わなければよかった……


俺のこの一言で、恵理が酷い眼に遭った。

伊達が、恵理の誕生日を知っていたのが気に喰わなかった。

恵理が伊達の企画したパーティをパスしたってコトも……

自分で自分のプレゼントをGETしていたコトだって……

「はっ……」

シケるぜ……もぉ!

俺、ナニ逆切れしてンだよ?


自分から恵理の誕生日を訊こうとしなかったクセに!

伊達は……アイツは俺よりもイケメンで! 

成績も俺と違って優秀で! 

金持ちで!

何もかもがずっと! 

……ずっと……俺よりも恵まれていて!


――伊達には、絶対に敵わない。


俺は自分から恵理を諦めようとしただけなんだ。

こんな……こんな金欲しさに、啖呵切っちまったワケじゃない!

諦めるキッカケが欲しかった……だけなんだよッツ!!!

なのに、ナンで俺は恵理を売った金を握ってる?

……ナンでだ?

「くっ……!」

手にした万札を川に向って投げ込もうと、腕を高く振り上げた。

俺が恵理を売った金!!!

こんな……こんな金なんか―――!!!


四、五メートル程の川幅がある農業用用水路には、堰き止められて流れを失った真っ黒な水が淀んでいた。

ヒンヤリとした秋の夜風に晒されて、水面がゆっくりと波打っている。

俺はその黒い水面を睨み付けた。

……

……

……ダメだ……

……棄てられ……ねーよ。

振りかざした俺の左手が、糸の切れた操り人形みたいに落ちた。


オンナはヤル為のモノだって……大見得切っていた俺なのに……

別れたオンナに未練を残しているコウを笑っていた俺なのに。

――そのツケが、今こんな所で出て来るだなんて……

……チクショウ!

チクショウ!

チクショウ!

チクショウ!

……!


鏡面になっている河の真っ黒い水面に、黄色くてデカイ月が浮かんでいた。

手を伸ばせば、今にも掴めそうな……そんな気がした。

俺は無意識にその月に向かって片手を伸ばす。

「……」

掴もうとした手が虚しく空を切った。


こんなに近くに居るのに!

こんなに傍に居るのに!!!


俺の視界が揺らめき、水面の月がグジャグジャになった。

あ……れ……?

欄干に載せた俺の腕に、熱いモノがパタパタと落ちる。

「……?」

ソレが俺の涙だって判るのには、少しだけ時間が要った。

だって、今の俺は顔を顰めて泣いているワケじゃナイ。

無表情のまんまで、涙だけが零れ落ちているんだ。

この俺が泣いてるだなんて……

信じられねーよ。

涙なんかトックに涸れちまって、出やしないと思ってた。

「う……うぅ……」

自分が惨めで情けなかった。



  *  *



=「日高――」

遠くから水守の声が聞こえた気がした。

俺は泣き腫らした顔を上げて、気怠けだるく声のした方を振り返る。

明るい月の光に照らされて、水守が足早に俺の方へ向かっている。

こんな真夜中なのに、相変わらずのスーツ姿。

前にもこんなコトがあったっけ?

俺が成和会の連中のGT−Rを潰した後だ。

俺はこいつ等に捕まってボッコボコに殴られ、両眼失明寸前にまで追い込まれた。

で、今日はどんな眼に遭わされるんだ?

今度こそコンクリ詰めで、海だか山だかに棄てられちまうのかよ?


――好きにしろ。


俺はヤケになった。


「日高! 逃げろ……」

水守の声がハッキリと聴き取れる距離まで近付いた時だった。

その言葉の意味を、俺は瞬時に理解出来なかった。


「君! ちょっと!」

「?」

俺は野太い声を掛けられて、背後から肩を叩かれる。

振り向くと、コイツも水守と同様、スーツ姿で居るオヤジがすぐ後ろに立っていた。

まあ、仕立ての違いは水守のとは比べ様が無いくらいお粗末なスーツだが……


――誰?


「君、日高くん? 日高司くんだよね?」

「……」

ナンで俺の名前を知ってンだよ?

俺は突然湧いて出たオヤジを訝り、警戒する。

「あ!?」

イキナリ誰かに利き腕を強く掴まれた。

「主任! 証拠ありました! 間違いありません!」

制服姿のオマワリが、俺の左手で握っている万札を見付けるなり、腕を絡めて捕捉する。

腕を捕られて堪え切れず、俺は痛さから逃げるようにして上体をくの字に折り曲げた。

俺を取り押さえたオマワリは、緩んだ手から、シワクチャになった万札を乱暴にモギ取った。

「な……ナニすんだよ?」

驚いて眼を剥く俺をチラリと横目で盗み見しながら、オヤジは携帯を取り出した。

「こちら工藤。えー、容疑者確保。午前四時二十七分。場所、えー、中野川通り二丁目交差点前の橋の上。繰り返す――」

「っなに???」

よ……『容疑者』だってぇ???

お、俺が???

聞き捨てならない言葉に俺は焦り、視線が宙を泳いだ。

「オッサン達いったい……」

成和会の連中じゃねーのかよ?

俺、これからタタマレルんだろう?


「南署の者だ。日高司、暴行と恐喝容疑。署まで同行して貰おうか?」

オヤジはそう言って、懐から警察証を一閃させた。
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