警告
この作品は<R-18>です。
18歳未満の方は
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課長の平手は痛かった。いつものカルイ俺は、自分の目の前に居る女が本当に遠い存在の女なんだとイヤでも自覚させられていた。
だけど、ケモノになって(未遂だが)失礼をしてしまった俺に、課長は追い出すドコロか一緒にココで暮らす許可を与えていた。
……ナンで?
しかも、俺の給料から天引きで掛かった衣服を請求するシタタカサ……
課長、俺課長のコトが読めねーよ……
第7話 ラッキー?
俺は課長のゲストルームで暫らく居候が出来るらしい。
その代わり、俺に食事、掃除等の家事一切と、会社の通勤運転手をすると言う条件を提示された。
……これって……主夫? それとも召使……かよ?
最初、この条件を課長が出して来た時、俺は猛烈に反発した。
で、結局、俺は課長から携帯をプレゼントされて『フィット、自由に遣って良いから』の一言であっさりとOK。
俺は携帯と車があれば何とかなるってゆー人種だ。
俺って単純?
「出来ましたよ?」
俺は課長の言い付けで風呂の準備を終えたトコロだった。
「そ? アリガト」
何なんだよ? その全くありがたみがコモってない返事はァ?
課長は再びPCに向かって例の小説とやらを読み耽っていたが、すぐに俺の声に反応した。
俺を見て、にっこりと笑みを作る。
……?
ナニ? そのハラグロそうな笑顔は。
「一緒に入ろっか?」
「ええっつ?」
トタンに俺の心臓とコカンがドキンと脈打つ。
「冗談よ」
課長は簡単に否定すると、意地悪そうにベロを出した。
「く……」
俺がムカついているのを確認する間も無く、課長は後手に何かを隠し持ちながら、俺においでおいでと手招きをした。
「日高クン、ちょっと……」
「? 何スか?」
俺は飼い犬のように課長に近寄った。
「お礼がしたいの……その……目を……閉じていて……くれる?」
思わせ振りにそう言って色っぽい流し目を俺に投掛け、課長は少し恥ずかしそうに身体を捩じらせた。
う〜わ〜〜〜、イイッツ!
胸がドキドキする。
やりィ!
俺は何の疑いも無く心の中でガッツポーズ。
有頂天になって喜んだ。
言われた通り、素直に目を閉じて『マテ』の態勢になる。
……って、やっぱり犬?
「う〜ん、少し……屈んでくれないと……」
課長は俺との身長差に爪先立った。
ココまで言ったらもお、後はアレしかねーよなー?
「いいッスよ?」
俺は課長がすぐ傍に来ている気配を全身で感じ取っていた。
課長の軽い息遣いさえもが甘く俺の耳に届く――
……え?
首筋にヒヤリと冷たいモノが当たった。
かちゃ☆
なに? ……かちゃ……って???
ぱちっ! と目を開ける。
「……課長?」
俺は自分の目の前で、悪戯っ子のような顔をして俺を見詰めている課長と視線が合った。
「はい?」
「これ……ナニ?」
俺は自分の首に留められた金具とそれに繋げられたφ5のワイヤを手で掴んで持ち上げる。
コレ……ってひょっとして……首輪じゃねーのか?
「それ? 見れば判るでしょ?」
いや、ココからじゃ見えないです。
「〜〜〜」
必死で外そうと繋ぎ目を手で探る。
??? ナイ?
首輪は表面がつるんとした金属製だった。
手懸かりになるような所がない。
「それね、お父様がNASAの知人から貰った試作品なの。このリモコンにパスワードを入れないとロックが開かない仕組み。よく出来ているでしょう?」
名刺サイズの小型リモコンを翳して見せると、嬉しそうにノタマワッタ。
「はあ?」
「アタシがお風呂に入っている間だけよ? そしたらハズしてあげるから」
なんだとおおお〜〜〜?
「そんなに俺が信用出来ねーのかっつ?」
遂に俺はキレて早口で捲し立てた。
「うん!」
課長は自信ありげに大きく頷いた。
余りの言い様に俺は退く。
「課長のヌードなんか頼まれても見たく……」
「ナニよ?」
「……」
猫の瞳がギロリと俺を睨んだ。
言い掛けた言葉を、俺は思わずゴクリと飲み下す。
……やっぱし……見たい……かも……
さては、俺がこうなるであろうコトを最初から計算していやがったな?
「……」
「ふふん」
課長は得意そうに鼻で笑うと、俺の横を颯爽と通り過ぎた。
くっそ〜〜〜、いつかコイツ、本当に犯してヤル!!!
擦れ違いざまの一瞬、俺の利き手が眼にも留まらぬ速さで動いた。
「……」
課長は何事も無かったように……つか、全く気付いていない。
さっきまで何も持っていなかった俺の左手が、何かをシッカリと握り締めている。
今度は俺が舌を出す番だった。
俺は通り過ぎて行った課長の後姿を横目でチラリと窺いながら、不敵にニヤリと笑った。
そして、ゆっくりと握った掌を目の前で拡げる――
手にしたものは、たった今まで課長の大きな胸を上げて寄せていたブラジャー。
間もなくして、脱衣所から悲鳴が聞えた。
ザマー見ろ……だ。
左頬に二度目の真っ赤な手形を貰った俺が風呂から出ると、課長はキッチンのカウンターテーブルに顎を乗っけて、アンニュイに何かを見詰めていた。
「ナニ見てんの?」
髪をガシガシと乱暴に拭きながら、俺は訝って課長を上から覗き込む。
課長の目の前には小振りの上品そうなアイスが二つ並べてあった。
ナニナニ? 『ハーゲンダッツ』?
……ああ、あれか。
でもナンで二つを並べてるんだ?
「ねえ……」
課長はテーブルに顎を載せたまま、頭を少し寝かせて俺に話掛けて来た。
「ん?」
「どっちがいい?」
「え? 俺?」
「うん」
「……」
「新発売のティラミスとモンブラン。どっちがイイ?」
答えに困っていると、課長は二つを手に取って、俺の顔の前に差し出した。
ひょっとして、そのどちらかが……俺の分?
「どっちでもイイッスよ?」
食った事のナイ新製品だと言われても、別に甘党ってワケじゃないから答えに困った。
大体、その容器の大きさじゃ俺は足りねーな。
「決めてよ」
「じゃ、右に持ってるの」
別にどっちでも良かったから適当に答えた。
「ええ〜、こっちィ〜〜〜?」
その言い方で、俺の選択権は一瞬で却下された気がした。
課長は右が良かったのか?
「なら、左」
「えっつ、えっつ、チョッ、チョット待って……」
「……???」
課長は慌てて俺を止めた。
そしてアイスを再びテーブルの上に置いて、今度は頭を抱え込む。
時々俺は『女』が解からねー。
アイス一つでナニ騒いでンの? これがパニくるコトかあ???
新製品だっつっても、また買えば良いじゃん。
「う〜〜〜ん」
「面倒くせぇーなー」
グズグズ言ってなかなか決められない課長を無視して、俺は手前に置いてあった方を掠めるようにして取り上げた。
「あッ!」
「もおー、早く食っちまわねーと、溶けちゃうじゃないッスか」
さっさと蓋を開けて、スプーンも無しにぺろっと舐めた。
おっつ? これイケる。
「ああ〜っつ!」
俺は課長の咎める視線を無視して、テーブルに置いてあったスプーンを掴むと、あっという間に掻き込んで完食した。
「あ〜っつ!」
課長は口を半開きにしたまま、俺が貪り食ってる様子を羨ましそうに見守った。
……コドモみたいだ。
だけど、風呂上りの艶やかなピンクの唇と生乾きの髪が、妙に色っぽくて印象的だった。
課長の『女の子』と『女』の両面を同時に見せられて、俺は内心ドキッとした。
きっと、俺しか見た事ねーんじゃねーか? こんな課長。
「え? 一つは俺にくれるんでしょう?」
「うー」
返事……しろよ。
「俺にくれたのじゃなかったんスか?」
「あ? う……ん」
「もー……ドッチなんスか?」
だあああ〜〜〜コッチが欲しかったのなら、そうだとサッサと言えよお〜〜〜
もう食っちまったし。
どうするよ?
俺は半ばイライラすると、イキナリ課長の項に指を滑らせて乱暴に唇を奪った。
「むぐぐッツ?」
驚いた課長が唇を俺に奪われたまま、目をシロクロさせる。
モチロン、三度目の平手は遠慮したいので、俺は空いたもう片方の手で課長の両手を掴んでガードしていた。
俺にとってはコレがキス……って言えるのだか疑わしい、アイサツ程度のソフトタッチ。
それに、また噛まれるのもイヤだし。
「うン!」
課長が感じてしまいそうになったから、俺は課長からぱっと放れた。
「旨かったでしょ?」
「……」
課長は真っ赤になって固まった。
「あれ? 味、解かんなかった?」
「……」
「……課長?」
課長はトロンとした眼をしていた。
つか、何て言ったらいいんだろ……魂が抜けてる……って言うか……ナンだ? このフヌケた表情は。
見た事ねーぞ? こんな課長。
???
俺は一つの予想を見い出して、ソレを試しにもう一度課長と唇を重ねた。
今度は今のよりも少し深い目。
「うん……」
課長は俺との接近に、そっと目を閉じた。
……やっぱり……反応……してるよ。
「うう……」
しっかり息まで止めちゃって……
息が続きそうになかったから、俺は課長をそっと放した。
「んっつ……司……?」
色っぽい潤んだ瞳で見上げて来る。
「ん、あ? 課長、俺の事呼び捨て?」
俺は一本取ったぞと嬉しそうな顔をした。
「……」
耳朶まで真っ赤になって、課長が俯いた。
そしてそっと俺に身体を預けて来る。
お互い、パジャマだと体温が伝わり易い。
確信。
ミャク有り……だよな?
けど、残念。俺はナンだか急に眠気が……
やっと人並みの生活に(???)戻れたのか? この状態が? これで暫らくは大丈夫?……なのかな?
安心したら、全身の力が抜けた。
俺って自分でも気付かないうちに、相当ムリしてたんだな。
「えっつ? 司? ちょっとぉ、起きなさいよぉ、寝るなあぁ〜、ウンもおぉお〜〜〜」
遠くで、少し怒った課長の声が聞こえた。
課長、ゴメン。
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