警告
この作品は<R-18>です。
18歳未満の方は
移動してください。
遂に俺は成和会の組織(?)に捕まってしまった。
マンションの駐車場で連中を見付けた時に、恵理のフィットを見捨てて俺だけが逃げ出していれば、もしかすると長生き出来たのかも知れない。
つか、もし見捨てて逃げればフィットは多分グズ鉄同然にされちまう……
ナンか……フィットが俺みたいで……いや、車を人扱いするツモリは無かったんだが、俺は自分でも気付かないうちに、フィットを俺と重ね合わせていたみたいだった……
だからこそ、俺は恵理がBMWよりもマイカーとして選んでいたフィットを見捨てる事が出来なかったのかも……知れない。
上手くは言えねーケド……
でも……恵理、サヨナラだ。もう、コレで俺の人生終りだな……
第29話 恐・・・怖?
「水守さん、ソイツ汚いですよ?」
それぞれが勝手な方向を向いて停まっている三台の(車の)ライトが、俺達を暗闇から浮かび上がらせていた。
刃物傷の男は、俺の胸倉を鷲掴みにしたまま、自分が乗っていたレクサスの後部座席に乗せようとしてK-1なヤツラに止められた。
俺はK-1なヤツラに、全身の激痛にも殆んど反応出来なくなるまでボコられて、時間が経てば経つホド、意識がモーローとしていた。
よく、ボクシングやK-1の試合を見るけど、試合後の選手はキッと俺みたいな状態になるんだろーな。
眼を開けても、左のマブタを切ったのか、視界が真っ赤になってよく見えない。
でも、体中が汗と血で濡れて汚れているコトぐらいは理解出来た。
レクサスのイケメン兄ちゃん、来るんなら、モット早く来てくれよ〜。
来るのが遅せーって。
恵理に(平手で)殴られただけでも軽くメマイがしていたのに、コイツラ、トーシロの俺相手に……手加減ナシかよ?
「ソイツの汚ねェ血で、シートが汚れちまいますよ?」
『水守』と呼ばれた男は、俺を押し込める手を止めた。
そして俺の胸倉を掴み上げたままで、K-1なヤツラに向き直る。
頼んますから、この手ェ離せ。
ナイキのTシャツの襟が伸びちまうじゃねーかよ。
俺は、そう言いたかったけど……サスガにそれは言えねーだろ?
「怪我させたのはダレだ?」
刃物傷の男は、ヤレヤレといった感じで、困ったように訊ねる。
K-1なヤツラ二人は全く悪びれた様子も無く、肩を揺すってへへっと笑った。
「うあっつ?」
結局、俺はレクサスには乗せて貰えたが、後部シートじゃなかった。
俺は両手を後ろ手にガムテープで拘束され、レクサスのトランクに軽々と投げ込まれる。
三人とも俺よりもガタイがデカイし、体重なんか全くの論外だった。
まあ、俺はあの事故後の劣悪生活環境以来、短期間でスデに六キロのダイエットを余儀無くさせられている。以来、若干の体重増はあっても、ほぼ停まってしまっていた。
「事務所に着くまでソコデ大人しくしていろ」
K-1の一人が大きな前歯をムキダシて笑った。
ばん!
トランクが閉められ、視界が真っ暗になった。
何かのジョウダンであって欲しかった願いもムナシク、俺は本当に成和会の事務所ビルに連行されてしまった。
そこはドデカイ二十五階立て事務所の四階だった……
「もう一度、聞く……お前が乗っていた車は盗んだ物か?」
刃物傷の男は、俺の目の前のソファに深々と身を預けて脚を組み、静かに言った。
「ちっ、違〜〜〜ううう!!!」
俺はと言うと、優雅にソファに座っている男の前にある大理石仕様のゴーカなテーブルに、さっきのK-1なヤツラ二人がかりで頭を押え付けられていた。
もの凄い力で、顔を横向きで固定され、荒い息を吐きながら顔を歪めている。
両手はガムテープで後ろ手に拘束されたまんまだ。
耳元で、メリメリと音がして、目の前で星がチカついた。
あううう〜〜〜頭蓋骨がカンボツするう〜〜〜
「お前が乗っていた車は、誰のものか知っているのか?」
「いい〜〜〜っづででで! しっ、知ってるってぇええ〜〜〜あだだだ!!!」
俺は苦痛に悲鳴を上げながらも正直に話した。
「コキやがれ! このクソ……」
「テメェのオカゲで、田口さんと宮原さんが病院送りだ!」
「そんな……いいっつ! だああああ!!! 止めろおおお!!!」
K-1なヤツラが更に力を加えて俺の頭を押さえ付ける。
俺は堪らずに、悲鳴を上げた。
GT-Rに乗っていたヤツラ入院中なのか……
つか、マジで骨砕けるうぅ〜〜〜!
刃物傷の男が俺を捕まえた本当の目的は、どうやら仲間の病院送りと、GT-Rを潰されたコトへのお礼じゃなかった……らしい。
K-1なヤツラは……お礼、スコシはあったみたいだけど……?
マジ、助かったぁ……
つか、冷静に考えれば、勝手に俺を追い掛けて、勝手に事故ったんだよな?
俺がその一切の責任を背負い込む義務なんて……ナイんだ。
なのに、ナニ? この待遇は……?
俺は苦痛に悲鳴を上げながらも、横目でちらりとソファに座っている男の様子を窺った。
「……」
ココに来る前に、『水守さん』と呼ばれていたイケメンの男は、両腕を組み、片手を口元に持って行って、何かを考え込んでいるようだった。
「も……イイでしょ? 俺を逃がしてくださいよ」
俺は半ベソをカキながら、その男に許しを請う。
K-1なヤツラにはナニを言ってもムダだ。
「……」
男は目の前でギャクタイされている俺を完全にシカトして、じっと宙を見ていたが……
……その視線が俺を捉えた。
どーでもイイケド、早くコイツラから俺を放してくれ!
一般のカヨワイ少年(?)がK-1モドキのオッサン達にボコられてたってぇのに、コイツは全く顔色一つ変えたりしねぇー。
今もそうだ。
感情を表に出さないその表情に、俺はソイツがどれだけヤバイ奴かを暗に読み取っていた。
コイツ……多分、幹部クラスの人物だ。
「ま、ウソか本当か……もうすぐ判る。お前達、手を放せ」
「はあ……」
K-1なヤツラが渋々と俺を解放した。
な、ナニキザったらしいコトをコイてンだよ?
俺はソイツの仕草に一々ムカつきながらも、一応解放してくれたコトに対しては感謝した。
「ウソだったら承知しねぇ」
「覚悟しとけや!」
K-1なヤツラソレゾレが、俺に凄みを効かせてコイた。
フン! ウソなんか言ってねーし。
俺はつい、いつものクセが出てしまった。
口を尖らせ、ナナメ下から見上げるようにしてK-1達をニランダ。
バカッ!
「あう!」
「調子コイてンじゃねえ!」
デカイ拳骨が俺のノーテンを直撃した。
目の前で火花が散って、鼻の奥がキナ臭くなった。
鼻水がツツッと垂れて来る。
慌てて手の甲で拭った。
……?
ヌルリとしたその感覚……
ア、アレ? こっつ、コレ、鼻血じゃん?
キイイイッ! バタン!
「……」
派手にタイヤを鳴らしながら車が乱暴に停まり、ドライバーが慌しくドアを閉じた音が、ここにまで聞えて来た。
にわかに階下が騒がしくなる。
「……どうやら、お出ましのようだ」
ソファに座って何かをジッと待っていた男は、そう言って俺を見るなりニヤリと口元を綻ばせた。
ナンだよッ?
ソイツは俺の問い掛けるような視線をスルリとかわして立ち上がると、ドアの向こうに消えて行った。
「ナンやァ? テメェは?」
「ザケンナァ!」
何人もの、いかにもソレらしい言葉遣いの連中が、階段を駆け上がって来る『誰か』を引き留めようと、怒声を浴びせる――
多分、その人物はさっき乱暴に車を停めた人物だ。
一体、ナニが起こったんだ?
カッカッカッ……
ハイヒールの音?
……まさか……?
聞き覚えのあるヒールの音が、何人ものココの連中と遣り合いながら階段に反響し、乱れながら近付いて来る――
「退いてッツ!」
凛とした女の声が通路に響いた。
……恵理!!!
ウ……ウソだろう? ココ、成和会の事務所だぞ?
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