警告
この作品は<R-18>です。
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第1話……そうだソープに行こう!!
1
壁にかけてある時計はもうすぐ、午後六時を指そうとしている。
もう終業の時間だ。
三々五々にオフィスの人間は帰宅の準備を始めている。
俺も雑然としたデスクの上の書類をなんとなく左右に分けて、デスクの真ん中を空けた。
「加賀さん」
俺に声をかけたのは隣にデスクを構える香山里香だ。
短大を出て二年目。最近、やっと課長から仕事を任されるようになってきた。
長い髪を後ろで束ね、いかにも快活な女の子って感じの娘だ。
身長は一六〇ないくらいだが、細身のためスラッとした背の高い美人のように見えた。
白いパンツルックが良く似合う。
「わたしの机に侵入してますよ」
里香は俺の机と彼女の机の境界線を指差した。
今片付けた書類の束が彼女の机に数センチはみ出している。
たかが、数センチじゃないか!? これくらい甘く見ろよ!!
佐々木の書類だって、お前の机にはみ出てるじゃないか!? それは良いのかよ!!
そんな言葉が、口から出てくることはない。
佐々木は俺より三つ下の後輩。いわゆるイケメンという奴だ。
オフィスには秘密にしているが、里香と佐々木は付き合っている。
里香が入社してきて、三ヶ月もしないうちに佐々木は里香をモノにしてしまった。
「それと……」
里香は不機嫌な顔で言葉を続けた。
「ヤラシイ目で私のことを見るのやめてもらえます!? はっきり言って、キモイんですよね」
……きつい言葉だ。
しかし、その言葉を俺は返すことができない。
情けない男だ……
晩夏の夕闇に蝉と秋の虫が多重奏のように青々とした桜並木を染めている。
オフィスから駅まではバスで一〇分ほど。
普段はその道を三〇分かけて歩いて帰る。
そのお陰で最近、ベルトの穴が二つ減った。
大学を卒業して今の会社に入社して一〇年はゆうに過ぎた。
俺は子どもの頃から一匹狼だった。孤独が好きだったわけではないのだが、なぜか友人ができない。ましてや親友と呼べる存在は三六年生きてきた中で一人も存在したことがない。
そのお陰で一人上手になった。
もちろん、彼女なんか一人もいない。若い頃から彼女がいる奴がうらやましかった。
なんて言ったって、いつでもセックスができる。
それもタダでだ。時間の制限もないし、回数の制限もない。
彼女いない歴三六年の俺だが、風俗で培ったテクニックには自身がある。
どの店に行っても女の子に「上手ね」って言われる。
このテクニックをあの里香に使って、見返してやりたい。俺のテクニックを知れば、あいつだって俺のことを惚れるに違いない。
俺は里香から先般のような扱いをされた帰途でそういう思いを募らせることが度々あった。
もちらん、そこから先に進むことなんて一度もない。
俺はいつもその類の妄想を働かせていた。
給料日からまだ日が浅い。
俺は財布を覗いた。資金は潤沢にある。
俺は歩きながら、携帯電話でインターネットに接続した。
携帯電話用のインターネットで風俗店の検索サイトに接続し、その中から手ごろな値段の店をチョイスした。
性感マッサージやピンサロも良いが、財布に余裕があるので今日はソープランドにしてみよう。
と、いうことはやはり吉原だろう。
ソープランドは高級店、大衆店、激安店と区分できる。その区分は料金やソープ嬢の質、プレイ時間などで分けられる。
料金として場所によって多少違うのだが、高級店は十万円前後。大衆店が五万円前後。激安店が三万円以下となる。
料金以外にも高級店のソープ嬢は若く美人で床上手。激安店は素人や年増となる。
俺は迷わず、激安店を選ぶ。女なんかどれでも一緒だ。本音は若くて美人が良いが、高級店一回で激安店だったら、三回は遊べる。
だから俺はプレイ時間もなるべく短いものを選ぶ。一回出してしまえば、後は帰るだけだし、時間内にソープ嬢と会話を楽しむなんて趣味はない。
連中がどんな奴かも興味ないし……
俺は一件の店をチョイスし、電話してみた。
受話器の奥から呼び出しのコール音が鳴り、ほとんど待つことなく向こうから返事があった。
「いらっしゃいませ。エンジェル・ベルです」
快活な声の男だ。
「今日、そっちに行きたいんですけど」
「何時ごろの来店になりますか?」
「これから一時間くらいで行けると思うんですけども」
しばらく間があった。
「申し訳ありません。あいにく、その時間は込み合ってまして」
やはり、給料日後は込み合っているようだ。
「それだったら、九時ごろに行きます」
「分りました。ご予約のお名前よろしいでしょうか?」
「佐々木です」
俺は後輩の佐々木の名前を拝借した。
時間がある。俺は荻窪駅で途中下車し、駅前の焼き鳥屋に足を運ぶことにした。
ここは肉体労働者からサラリーマンまで雑多な雰囲気で開放感たっぷりの店だ。
俺のお気に入りの店のひとつでもある。
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