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最終話 相愛
 泣くだけ泣いて自宅へ帰った真由子は、夫が帰宅してもひとり寝室で臥せっていた。

 真由子の頭の中は、すべて鈴木のことだった。

(結局、私との関係を終わらせたかったのは鈴木じゃないか。私は振られたんだ……)

 真由子にとって、これが人生初めての失恋だった。
 
 真由子と知り合うまでの鈴木ならともかく、女に対して自信を持ったいまの鈴木なら、これからいくらでも彼女が出来るだろう。

 それほど鈴木は変わった。しかも数億円という現金資産を持ち、それは株で日々、増えていた。

「なんだかんだ言って、私はお払い箱になったんだ」と真由子は思った。

 でなければ、なんで今日いきなり真由子に450万円も勝たせたり、あんなメールを書いて来たりしたのか理由が分からなかった。
 
 真由子は深い悲しみに沈んだ。

 それでも、もうひとりの自分が「これでよかったんだ。最初の目論見通りになったじゃないか。いや、1100万円も手元にある。大成功だ。後は元通りの主婦に戻ればいいんだ」と主張したが、その声は圧倒的な悲しみの前では無力だった。

 考えてみれば、真由子は今日1日で450万円も儲けさせてもらっていた。だけどその喜びはこれっぽっちもなかった。 

 そんな真由子を心配して夫がいろいろと話し掛けて来たが、真由子は「体調が悪いの」と顔をそむけた。

 夫には申し訳ないが、鈴木以外は要らなかった。

 
 翌日も真由子は無気力だった。

 いつもなら銘柄を教える鈴木からの電話が、今日は鳴らない。相場は始まっているというのに。
 
 真由子は証券口座にある1100万円をどうしていいか分からなかった。とりあえずカードローンの200万円だけは、すぐに返そうと思った。

(鈴木はいまごろ、なにで勝負しているのかな?)

 何度も電話をしてみようと思った。メールを書こうかとも考えた。

 が、鈴木は「もし連絡しても相手にしないでくれ」と言った。「往生際が悪い」とも言った。

 それに真由子は期待していた。

 昨日は「私はお払い箱になったんだ」と思っていた真由子だが、今日は「鈴木だって私と同じように苦しんでいるはずだ」と思っていた。

 その方が自分の気持ちがラクだからだ。希望的観測には、文字通り希望があった。

 あのSMホテルで気持ちがひとつになり、その後たった数日だけれども、あんなにラブラブだった2人だ。そんなに簡単に終われるはずがない。

(往生際が悪いなら、早く連絡をくれればいいのに……)

 鈴木がいない長い毎日を、真由子は少しの希望を糧にどうにか過ごした。

 
 真由子は1時間の間に何百回もケータイを見てはため息を付いた。

 ついにはトイレにまでケータイを持ち込んだ。

 トイレに入ると、鈴木に見られたことを思い出す。

 ひとりでするトイレはつまらなかった。

 ケータイでおしっこの音を聞かれたことも思い出す。

 恥かしい画像を送信したことも思い出す。

 鈴木のモノが挿入され、ひとつになった時のことも思い出す。

 忘れられないことばかりだった……。


 食事もノドを通らず倒れそうな真由子を、見かねた夫が病院に行くことを勧めるほど、真由子は弱っていた。

 そんな抜け殻のような日々を何日過ごしただろうか。気が付くと金曜日だった。いつも鈴木と会っていた日だ。

 鈴木と別れてから8日が過ぎていた。

 真由子はフラフラの状態にもかかわらず、化粧をすると、いつも鈴木と待ち合わせた私鉄の駅へと向かった。

 なにを期待して向かっているのか、真由子本人も分からなかった。

 ただ、自宅でじっとしているよりは、鈴木との思い出の場所に行った方がラクなような気がした。

 あのファミレスやショッピングセンターで、鈴木を思い出そうと思った。

 時間は午後2時。改札を抜け、右側に歩いた売店の前。ここがいつもの待ち合わせの場所だった。

 人の流れが速く、この1週間、満足に食事も摂っていないフラフラの真由子は眩暈がした。

 ぼんやりとする視界に、チェックの半そでシャツの男が入った。一瞬ハッとするが、そんな服装の男はいくらでもいた。

 鈴木はきっと、自宅でデイトレをしているに決まっている。3時までは取引時間だ。


 真由子は初めて鈴木と会った日のことを思い出していた。

 あの日、緊張して待っていると、ケータイが鳴り、鈴木はファミレスに入るように指示をして来た。

 警戒していた鈴木は、ここで待っていた真由子にすぐに近づくことはせず、ファミレスまで真由子ひとりで歩かせ、遅れて来たのだった。
 
 そういえばあの日も、真由子は一睡もできず、フラフラだった。

 
 その時、真由子のケータイが鳴った。

(まさか……)

 真由子は急いでケータイを確認すると、そこには鈴木の番号が表示されていた。

「もしもし……」

 待って待って待って、やっと来た鈴木からの電話なのに、真由子の声は冷静だった。

「電話しちゃった……」

 待ち焦がれた鈴木の声だった。拍子抜けするほど、力の抜けた声だった。

「往生際悪いんでしょ。なんでもっと早くくれないのよお……」 

 真由子は鈴木の声を聞いた瞬間に涙声になっていた。


「ま、真由子……」

 その声は真由子の背後から聞こえているようだった。

 真由子が振り返ると、そこにチェック柄の半そでシャツの男が立っていた。 

「なんでよう、なんでいるのよお。ばかばかばか……いなけりゃ、ちゃんと終わったのに」

 ちゃんと終われない2人だから、いまこうして会っているのに−−。

 
 
 

 「ばかばか、なんで連絡くれないのよ。ばかなんだから、ホントにばかなんだから……」
 
 鈴木は真由子の肩を抱き、真由子がなにを言っても「ごめん、ごめん」と謝った。

 
 いつもの約束の場所でいつもの約束の時間に2人は会った。

 約束もしていないのに。

 運命の糸は、もつれても、切れてはいなかった。

 

 
 2人はいつものホテルに入った。

 一番、思い出が詰まった場所だった。

 真由子は8日間分の苦しみを鈴木にぶつけた。鈴木は泣き笑いの顔で、すべて受け止め謝ってくれた。

 真由子が口にした苦しみは、鈴木が8日間苦しんだものと一緒だった。真由子の口は鈴木の思いをも代弁していた。 

 真由子に気の済むまでしゃべらせた後、鈴木は「いいの?」と真由子に聞いた。

「もっと、もっと、好きになっちゃっていいの?」

「そんなんじゃ足りない。そんなんじゃ、私の方がもっと好きだもん。私の初恋なんだから、もっともっともっと好きになってくれなきゃだめよ」

 そう言うと、真由子は鈴木の胸に飛び込んだ。

 鈴木は真由子の肩よりちょっと長めのストレートの髪を撫でた。

 真由子の体に電流が走った。8日間も悲しみに暮れていたフラフラの体は、食事よりも鈴木に飢えていた。愛する男に抱かれることに飢えていた。

「俺が女に対して自信がなくて、女を憎んでひねくれて生きて来たのは、真由子に出会うためだったんだ。それがよく分かったよ」

 鈴木が静かに言った。

「私が愛なんか信じないで、ずっと心を閉ざして生きて来たのも、あなたに会うためだったの」

 鈴木の瞳を見つめて、真由子が言った。

 大切なモノを欠落させて生きて来た男女が、ようやく素直に愛を口に出来る相手とめぐり合った。

 出会い方こそ人に言えるようなものではなかったが、確かに真由子と鈴木の初めての恋愛だった。

 いろいろあったが、すべては今日からはじまる。

 それを確かめ合うように、2人は濃厚なくちづけを何度も重ねた。

 

「真由子……」

 鈴木がいまどうして欲しいのか、真由子は察した。それは真由子がしたいことだから。

 真由子は立ち上がると、洋服を脱ぎ、下着を取った。

 この1週間でやつれたとはいえ、すばらしい体がそこにあった。

 鈴木は目を輝かせて、真由子の白桃のようなお尻を撫でまわした。

「あああ……」

 鈴木がいとおしさのあまり、声を漏らした。

 もう2度と触れることがないと諦めていた真由子の肌だ。

「いっぱい、いっぱい、触って……あなたのものだから……」
 
 真由子はお尻をよじって、身悶えた。

 鈴木は、真由子の乳首を強めにねじった。

「ああ、いい……切ない……とっても……」

 そのまま真由子は恍惚の表情となった。

 ゾクゾクする快感が真由子の全身を支配した。

 

「ね、真由子の処女が欲しい」

 この言葉も真由子はすぐに悟った。

「うん。もらって……」
 
 真由子の割れ目は、愛液で溢れていた。鈴木を思う気持ち、まさに愛液で。

 
 鈴木はベッドに仰向けに寝かせた真由子の脚の間に入り、愛液をアナルに塗り、やさしく指で揉みほぐした。

「……」

 痛いことは分かっている。それでも真由子は鈴木に初めてをあげる喜びの方が強かった。

 ヴァギナでもあれほどの衝撃を感じる規格外の鈴木の“男”が、真由子の“女”ではない後ろの穴に入って来るのだ。

 しかも初めて。痛くないわけがなかった。
 
 鈴木の張り出したカリ首が、すんなりとは真由子のアナルを通過しそうになかった。

「んぐ、むむむ……」

 真由子は唇を噛んで耐えた。

 鈴木の強度ある“男”は、真由子のアナルの入口のキツイ部分をこじ開けると、一気に貫いた。

「……ぐむむ……」

 真由子は悲鳴をあげずにこらえた。 

 アナルはその構造上、入口部分だけが狭く、内部は締め付けがない。一番太いカリ首の部分を通過さえすれば、後はスムーズにいく。

 それでも、いままで鈴木の指を2度受け入れただけの真由子のアナルだ。鈴木の“男”で切れそうに広がっていた。

「あうぐ、んぐ、んん……」

 真由子は決して「痛い」とは言わなかった。ひと言、「痛い」と言ってしまえば、鈴木はやめてしまう。真由子はその方がイヤだった。ちゃんと鈴木に初めてのアナルをあげたかった。

 鈴木は真由子のお尻を抱き、グイと奥まで差し込んだ。

「真由子、ありがとう……」

 自分のために苦痛に耐えてくれている真由子がたまらなかった。

 真由子を気遣ってか、決して動こうとしない鈴木に「いいよ。大丈夫だから、動いて。気持ちよくなって……」と真由子が気遣う。

 鈴木は健気な真由子のその女神のような顔を両手でしっかりと抱くと、ゆっくりと抜き、ゆっくりと挿入した。たった1回だけの動きだった。そして奥に届いたところで8日間分の精液をほとばしらせた。

 鈴木はゆっくりと抜くと、耐えてくれた真由子を力いっぱい抱きしめ、また「ありがとう」と言った。

 真由子の瞳から涙がこぼれていたが、真由子はそれを「うれし涙だからね」と言い、鈴木の胸を詰まらせた。

 今度は鈴木が真由子をたくさん気持ちよくさせてあげる番だった−−。





「ね、私まだまだ初めてのこといっぱいあるわよ」

 何度も何度も絶頂に達した後の心地よい脱力感のなかで、真由子が口を開いた。

「なんだろ?」

 真由子の乳首を吸いながら、鈴木が言った。

「女の口から言わせる気?」

 真由子が小さくなっている鈴木のモノを握った。

「そうだなあ、潮吹きとか?」

「……」

 真由子が顔を赤らめ小さくうなずいた。

「吹いてみたいの?」

 鈴木の質問に、真由子がまた恥かしそうに小さくうなずいた。

「あと浣腸とか、緊縛とか、ローソクとか、ムチとか……」

 鈴木がからかうように、SM用語を連発した。

「あーやっぱり変態だあ〜」

 真由子がやっと笑った。

 その唇に鈴木がやさしいキスをした。










こんにちは。麻衣留です。

私の初めての長編官能小説を最後まで読んでいただきまして、本当にありがとうございました。

みなさまの温かいご声援が力となり、最後まで書ききることができました。

この場で、心よりお礼申し上げます。

その上、厚かましいお願いで恐縮ですが、評価と感想などをお寄せいただければ跳び上がるほどうれしいです。

なお、次回作など含め、私のブログ『麻衣留の18禁ケータイ小説』(http://blog.livedoor.jp/mairu18kin/)でいろいろと情報を発信して行きますので、よかったら時々、見に来てください。

麻衣留という名を覚えていただき、今後とも長いお付き合いをよろしくお願いいたします。

http://www.honnavi.com/rank.cgi?mode=r_link&id=4341
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