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第39話 女神
「真由子先生、ぼくが触ったんじゃイケませんか?」

 鈴木の指に交代してから、真由子の荒い息づかいは落ち着きを取り戻し、体の緊張感もどこかへ行ってしまった風だった。

 そのことに気付いた鈴木が、真由子に質問した。

「気にしなくてもいいわ。私、男の人に触られてイッたこと、1度もないから……」

 真由子は7人の男と経験があり、鈴木が8人めだ。しかし、これまで1度たりとも、男にイカされたことがなかった。オルガズムを与えてくれるのは慣れ親しんだ自分の指だけだった。

 真由子は先週、鈴木の目の前でミニローターでイッている。正確にはこれが自分の指以外での唯一のオルガズム体験だった。

「それじゃあ、先生はオナニーでしかイケないってことですか。ぼく、がんばります」

 ここでイカせれば、真由子をイカせた初めての男になれる。鈴木の心に火が着いた。

 鈴木は真由子の股間に顔を埋め、舐めまくった。

「ああ、いや、そんな、だめ、あああ……」

 これも先週、真由子が「まだ早い」と拒否した行為だった。

 真由子が拒む間もなく、鈴木に行動に移され、仕方なく真由子は受け入れたが、元来、真由子は舌より指の方が好きだった。

 鈴木に舐められれば舐められるほど、真由子は冷めていった。

「鈴木くん、もう、しましょう。ね、来て……」

 恥かしい言葉をいろいろと言った後なので、真由子はもう男に挿入を催促する言葉にも抵抗がなくなっていた。

 エスカレートする過激さは、それまでの過激さを普通に変えてしまう。真由子は鈴木との関係でこれまでの羞恥心や過激さの限界をことごとく越え、以前ならとんでもない言動や行為が、常識の範囲となっていた。

 常識を鈴木に教えるどころか、出会ってからずっと鈴木に非常識を植え付けられてしまっていることに、真由子はあまりにも鈍感だった。

 それは、真由子自身の奥底が望んでいたからにほかならない。

 真由子は鈴木との非常識な行為の中で、すでに2度かつてない快感を経験してしまっていた。

 
 鈴木は一旦ベッドから降り、カバンの中からコンドームを出すと、手早く装着して戻って来た。

「大きいサイズのを買って、練習したんです。早かったでしょ?」

 真由子は、そんな報告はいらないとばかりに苦笑した。

 それでも鈴木なりに学んでいるのは確かだった。

 しかし、鈴木はコンドームのほかに、もうひとつカバンから出して隠し持っているものがあった。

 ローターだ。

 鈴木が来ると思い、挿入しやすいように脚を開いて、膝を立てていた真由子のクリトリスにいきなり振動が走った。

「な、な、なに? いや、ああああ……」

 諦めて小さくなりかけていた真由子のクリトリスが、うれしい快感に生き返った。

「先生、これならイケるでしょ」

 そういうと鈴木は、ヴァギナにも指を挿入して来た。

「んぐ、あ、ああ、はあはあ、うう」

「確か、この上側にGスポットっていうのがあるんですよね?」

 鈴木は真由子のヴァギナのクリトリスよりの内壁を重点的に擦り上げた。

「……あ、ああ……」

 クリトリスに不意打ちを食らい、ヴァギナにも指の攻撃を受けた真由子は、とても答えられるような状態ではなかった。

 それに真由子は、Gスポットという言葉こそ知ってはいたが、自分のそれがどのあたりを指すのかまだ知らなかった。

 ローターによるクリトリスへの刺激だけでも気持ちいいのに、同時にヴァギナの内壁も指で擦られて、真由子の体は一気に高まった。

 いやいやをするように、その美しい顔を左右に振り、腰をくねらせて、快感に身を委ねた。

 1分、2分、3分……。

 BGMが流れる暗い部屋で、裸で横たわる真由子に、刺激が加えられつづけた。

 機械による乱れることのない刺激は、真由子を安心して昇らせた。

「先生、イク前に教えて」

「あ、ああ、いい、イク。イッちゃう」

 再び真由子がギリギリのところまで昇りつめた。

 鈴木はこのタイミングを待っていたようだった。

 すぐさま指を抜くと、替わりに自分のいきり立ったモノを挿入した。

 鈴木の規格外のモノが真由子のヴァギナを一気に押し開いた。

「うぐあ、あ、ああ、はあはあはあはあ……」

 クリトリスにはローターを押し付けたまま、鈴木は上半身を起こした格好で真由子と繋がり、激しく腰を振った。

 鈴木の見事に張り出したカリが、真由子のヴァギナの内壁を擦り上げた。

「イク、イク、イク、あっあっあっ、あ……あ」
 

 真由子がシーツを掴んでのけ反り、昇天した。


 真由子に覆い被さった鈴木も、その瞬間のヴァギナの締まりで射精した。


 薄暗い部屋のベッドの上で、真由子と鈴木は重なり合って動かなかった。

 無音の時が流れた。


 小さくなった鈴木のモノが、真由子から吐き出されて、ようやく鈴木が真由子から降りた。

 セックスの後の無言の時間は、充実度を物語っている。

 鈴木は真由子と一緒にイケたことに、大きな満足を感じていた。

 それ以上に真由子は、ローターという小道具の活躍が大きかったとはいえ、生まれて初めて男をヴァギナに迎え入れた状態でオルガズムを味わったことに感動していた。

 実際はクリトリスでイッたのだが、イク瞬間にヴァギナが収縮した時、男のモノを感じたのは初めてのことだった。

 ヴァギナでのオルガズムは、クリトリスのそれより数倍、大きな快感だというのは雑誌で読んで、真由子も知識としては知っている。その手掛かりのようなものを掴んだような気がした。

 鈴木を経験不足とみくびっていたが、その分、熱意は凄まじく、もしや経験を積んだら、ものすごい床上手になるのではないかと真由子は思った。

 これまで7人の男たちは、結局、自分だけが気持ちよくなるセックスに終始した。が、鈴木は短期間にこれだけの努力も工夫もした。

 そして真由子をイカせた。

 間違いなく鈴木には女を悦ばせる素質がある。そして素材も規格外のものを持っている。

 女が離れられなくなる男とは、案外、鈴木のような男なのかも知れない。

 そんな思いが真由子の脳裡をよぎった。
 
 
 真由子は、穏やかな気持ちで鈴木を抱きしめた。

 大きな満足を得て心地よくクールダウンする体につられるように、真由子の頭も睡眠へ入ろうとしていた。

 男の横で全裸で眠るということは、心を開き、安心し切っていることにほかならない。

 真由子は、鈴木に対して、完全にリラックスしていた。

 乳首を吸う鈴木を愛しむように抱きながら、真由子はやさしい顔で眠りに入った。

 それは真由子がこれまで男と一緒にいる時にしたことのない、女神のような最高に美しい表情だった。


  
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