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9 王宮にて
いらいらした次官に怒鳴られながら、レオは隠し倉庫の部屋に戻ってきた。時々壁に寄りかかって歩を止める。足が動かせないようだ。
ドアの敷居を跨ぐ時、あまりの痛みに蹌踉けた。跨ぐとそのままぺたんと座るように倒れた。横に脚を崩したとき、レオのモが捲れて下の白く半透明なショーツが見えた。陰部が血に染まっていた。
九人の少年達は『目玉商品』のレオでさえも同じ目に逢ったことを知った。それも酷く弱っている。彼らは船のサカリがついた野獣のような男どもに犯されるレオの姿を想像した。あのピアスの威力は皆が味わった。犯されながらあれを使われれば、もう人間のプライドなど、どこかにすっ飛んでしまう。獣以下に堕ちて男達の精を貪り続けてしまう。
このピアスの発明は若い男の子を好む連中に、画期的な道具を与えた。ピアスの刺激によって、加虐側の男達は、少年達にいくらでも悦びを与えることが出来た。一度果てた後も萎えたものが回復するまで、少年達を快楽に漬けておくことが出来る。そしてまた少年の肉体を貪る。女性との交合よりも格段良いと、男色者達は結論した。
数時間で十数回も射精を強いられた少年もいた。だが、その果てに疲労で死んでしまうこともある。奴隷の少年達に保護は無かった。
ミマナではこの亡国的な発明が一般民に蔓延する前に、人道的な見地からこの器具を使用することを禁じた。だが、ダークゾーンと呼ばれる警察権の及ばない地域で麻薬と同じようにピアスと施術は密売された。
ここでミマナ軍はヒムカへの武器として利用し出したのだ。
ヒムカが存在する惑星は農耕牧畜に適した大気を持っていた。さらに宇宙飛行や動力に必要な資源が豊富にあった。ヒムカの諸都市は自分達の縄張りを持ち、そこの鉱山と貿易権を守り続けていた。だが、都市間の戦争も珍しくなく、自らを守るために住民の全てが戦った。男達は武人の気位を持ち、女達も激しく逞しかった。
そんな中で最も荒々しい男がミマナと対抗するために、同盟都市の最高司令官、『王』として選ばれた。それがウェルキンゲトリクスだった。
ヒムカの都市同盟は、ウェルキンゲトリクスに忠誠を誓い、彼が死ぬまで王とすることを誓約していた。
彼は女を近づけず若い男を好んだ。商人達は彼にミマナから少年奴隷を献上した。ミマナの醸成した文化の中で生まれた美しい少年達は、野蛮な気質のヒムカの男達の食趣を誘ったのだ。
ヒムカの中央都市、コマに着陸すると艦長は商品を連れてコマの王宮に赴いた。精神文化的には地球の歴史のローマ時代ほどである。だが、地球から運んだ物質文明を継承してエアカーや無重力バスが行き交う。古代都市と近代都市が雑然と融合した感がある。
空港から真っ直ぐ伸びた、美しい草原に囲まれた幹線道路の果てにある王宮は、ヒムカの中央政府の建物が円となって囲む宮殿だった。ここで王は各都市から派遣された閣僚に囲まれて執政する。
王宮の酒宴の席で艦長はウェルキンゲトリクスに謁見した。
王は二メートルを越す逞しい半裸の体躯を王座に沈めていた。煌びやかなものを好まず、好戦的な古代の酋長という雰囲気だ。歳は四十を過ぎているというが、その若々しく精悍な顔は王に相応しい気品に満ちていた。ミマナでは、少年の首をまぐわいの最中に斬るという噂が囁かれているのだが・・・
艦長は貢ぎ物を次々と披露した。少年達はそれぞれ深い頭巾が付いたガウンを着せられ、容姿が見えぬようにされて艦長の後ろに跪かされていた。そこには次官と、奴隷達の健康の面倒を見る医師としてヲトが傅いている。
王は艦長に言った。
「カイザー!その後ろの者達は何だ?」
予想はついていたが。
艦長はにやりと笑って、
「王!この者達が最後の贈り物です。お気にいるとよろしいが。この中の一人を献上しましょう!残りは私の商売に使わせて頂きます」
ヲトは皆のフードを順々に上げさせた。端から端正な顔立ちの少年の顔が現れる。皆、王に微笑み、媚びを売る。だが、王の筋骨隆々たる肉体と丸太のように太い股を見ると、彼らの目に恐怖の色が映った。紋章が織られた革製のモが、大きく広げられた脚の上に掛かり、彼の革製の下着の陰部が跪いた少年達から良く見える。その真ん中に盛り上がっている巨大な膨らみが猛り狂うと、どんなになるのか想像に難くない。
ウェルキンゲトリクスは興味深げに少年達の顔を見ていた。最後にレオがフードを取った。しかしすぐぷいと横を向く。気の強そうな美しい横顔が引き立つ。
王の横の武官が言った。
「・・・その端の者、こちらを向け!」
だが、レオは顔を背けたままだ。ヲトには芝居とは分かっていても気が気ではない!少年達は、自分がその役をやらされたらと身の毛も弥立つ思いをしていた。しかし、これはレオにしか出来ないことと言うことも分かっていた。
ヲトはレオの顎を掴んだ。
「おい!ヲグナ!王の方を向け!向かんと打つぞ!」
レオはヲトに憎しげな目線を送った。そしてウェルキンゲトリクスを鋭く見た!
先ほどの武官が言った。
「ほう・・・これは絶品!」
王は身を乗り出した。じっとレオを見る。
「偉大なる王よ・・・この者はミマナの最高司令官、ワケのクローンなのです」
艦長の言葉にヲトは愕然とした!それは・・・クローンという以外は事実だ!
「何!」
側近達がどよめいた。
「何故そのような者がここにいる!」
王は艦長に恐ろしい迫力で言った。
「・・・我々が苦労してワケのDNAを手に入れ、育てたのです!・・・十分な養育期間が無かったため、感情が欠落していることろが有りますが」
何ということだ。事実に近いことが怪しまれないための作戦なのだ!
「ワケのクローンを・・・儂に献上すると言うのか?ははは」
ウェルキンゲトリクスがおぞましくも残忍な笑いを見せた。ヲトはぞっとした。やはり命に換えても、レオをここに来させるべきでは無かった!レオはウェルキンゲトリクスを真っ直ぐ見ていた。
「面白い!それに気が強そうだ!ワケの分身をじっくりと楽しませて貰おう」
他の少年達はほっと胸を撫で下ろしながら、奴隷市場に引かれていった。ウェルキンゲトリクスの閨の餌食になるよりはどれほど良いだろう!
ヲトはレオと一緒に残った。
「お前は何だ?」
「・・・私はこのクローンを育てた医師のヲトです。もしこいつが不安定になったら私は治療することが出来ますが・・・帰れと仰るならば帰ります」
王は少し考えていたが、
「良い。ここに少し逗留するが良い。こやつの名はヲグナと言ったな・・・少しは長く楽しみたいからな」
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