警告
この作品は<R-18>です。
18歳未満の方は
移動してください。
この小説はちょっとした教養小説にもなっています。前半は気取っていますが、だんだんと倒錯の度合いが強くなってきますので、精神的に未熟な読者にはお勧めしません。
1 カウンターにて
僕はシングル・バーのカウンターの隅で相方を待っていた。
と言っても誰かと約束したわけではない。僕の隣の止まり木の様な椅子を空けている。
僕はまだ未成年だ。でも知人の店主は酒を飲まないことを条件に、僕が入ってくるのを容認してくれている。
僕の夕方の一時間の過ごし方は、ここで僕を目当てに座ってくる男達を一目で見て判断することだ。
気に入らなければ、
「ご免。そこ、人が来るんだ」
気に入れば、今度は会話で僕に合ってるか試す。
このところ、いい男は来ないな。
僕の容姿は飛び切りのアンドロギュロスに見えるという。肩まで伸びた癖のない金髪。女の様な瓜実顔。鳶色の瞳。
体の線は柔らかく中性的だ。体力はプロのサッカーチームに入ったぐらいだから自信があるし、いつも男に言い寄られていたから、その道にも才能があるのだろう。
その気がない奴も僕がその気になればいちころだ。今まで何人もそれで翻弄してやった。
僕がジンジャーエールを口に含んで、酒みたいに舌先でころころと味わっていると、男が僕の隣に座り込んできた。
見るとまだ若いが上物のタータン・スーツを着こなした渋い紳士だ。嫌いなタイプじゃない。
僕が横目で彼を見ていると、
「ここは予約されてたかな?」
僕はちょっと間をおいて答えた。
「・・・いえ。どうぞ」
「私も同じものを」
バーテンに言った。落ち着いた低い声だ。
ジンジャーエールが出てきて、ちょっと吃驚した様だ。
でもにっこりとして乾杯をした。
僕たちは何とはなく時事のことや競馬の話をした。機知に富んだ会話が出来る人だ。
「今夜、どうだい?」
紳士は誘ってきた。
「・・・別に予定はないけど、貴方がどんな人かまだ分からないから」
「私はね・・・ニップル・マニアなんだ」
「?・・・ニップル?」
「乳首のさ。特に可愛い男の子のね」
「僕みたいの?」
紳士は笑いながらこっくりとした。
「へ・・・え。まさか切り取ってコレクションにするんじゃないだろうね。切り裂きジャックみたいに」
「そんなんじゃない。乳首はちゃんともとのところに付いていて血が通い、性感帯でなくては意味がない」
僕はこの男の言うことが面白かった。おかしい奴なのかも知れない。
僕は乳首であまり感じるとは思わないので、却って興味が湧いたのだ。
「君は自分が乳首でいけるなんて思ってないんだろ?」
僕は考えを当てられて口をぽかんと開けたが、彼がそれを楽しんで見ていると感じ、すぐ口を閉じて前を見た。彼のもの悲しい瞳を直視してどきんとした。
「見せてご覧」
「ここで?」
「そっとさ。周りに気付かれないように」
僕はシャツの裾をたくし上げて、彼の側の腹の半分をはだけて見せた。乳首が見えるくらいにぎりぎりに。
「ふうん。思った通りだ。小粒だけど形がはっきりしている。上物だよ」
僕はさっとシャツを下げて、不機嫌そうな顔をした。
「人を・・・骨董品かなにかと同じにして!」
彼は笑いながら両手をカウンターに上げて僕に肩を寄せた。
「君のならきっと触られただけで行ってしまうぐらいになるよ。でも・・・それまでの修行はきついから・・・無理かな」
「それって僕を焚きつけようってわけ?そんんな子供だましの手で」
彼は参ったというように額に手を当てて目を隠した。白い歯が口から零れて笑ってる。
「君は・・・思ったより利口だ。それに美しい」
紳士は立って、僕に女性にするようにうやうやしくお辞儀をして、地下のバーから階段を登って出て行った。
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