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  RAIN 作者:織絵
この小説は年下×年上のBL小説です。
年下攻めという言葉に嫌悪、不快感を抱く方はすぐさまUターンされた方が賢明です。
二人きり
「北条拓海さん……」
 復唱する翔に、拓海は更に怪訝な表情で見詰める。

「あ、名前教えてくれてありがとうございます」
 にこにこと満面の笑みさえ浮かべている翔が理解できず、拓海はなんて受け答えればいいのか解らず途方に暮れる。
 また拓海も人付き合いは苦手な部類なのかもしれない。それは翔の見た感じの勝手な判断によるものだが、そう確信した翔はそんな拓海への愛しい想いを深くさせるのだった。
 だが名前も名乗ったところで話題は途切れ、拓海はこれ以上ここにいる必要はないと判断して足を一歩と動かす。
「それじゃ……」
 一言だけ述べ、翔の元から去りだした拓海。

 その拓海に驚き、翔はもっと引き止めようと必死に試行錯誤する。何か他に言うことはないだろうか。そうしてる間にも拓海はどんどんと翔から離れていく。
 気が焦る翔に天気は気紛れな味方をした。上空からポツリポツリと雨が降り出したのだ。
「あ……」
 同時に降り出した雨に声を出す二人。
 雨はそのうち段々と大粒になっていく。
 そして瞬時に翔は拓海へと目線を戻した。見れば拓海は手ぶらだった。傘は翔のだけしか持っていなかったらしい。今、翔の傘は持ち主の元にと収まっている。そして拓海の方は、見た感じでは自分の傘を持っていないようだ。
「あの、拓海さん……、傘は?」
 そう言ってる間に雨は本格的になりつつある。これはまたどしゃ降りになる気配だ。
 二人の肌や服にも容赦なく雨は当たっていく。もう傘なしではいられないほどだ。
「俺は近いから……」
 短い拓海の返事。そして再び歩き出す拓海に、翔は拓海にと走り寄っていく。
 そして何も言わず、先程返された黒い傘をパンと小気味よい音を立てながら開くと、自分と拓海の頭上にと上げた。
 そんな翔の行動に拓海は驚愕と困惑の色を濃くさせるのだった。



 パラパラと申し訳程度に降っていた小雨も段々と本降りになり、ザァーッと音を奏で始めている。

「――雨……、降ってきちゃいましたね……」
 公園の中、自分と拓海以外、誰もいない。嫌いなはずの雨も今は翔の味方。
 翔が差した傘の下、翔と拓海の二人が入っている。それだけで翔の心臓は高鳴る。
 一つの傘に二人が入る必要はなかった。なんせ翔は鞄の中に折り傘を忍ばせていたのだから。しかしわざと翔は出さなかった。何故なら拓海は傘を持ち歩いていなかったからだ。
 もっと拓海のことを知りたい、もっともっと拓海と一緒にいたい翔は咄嗟に傘を利用することを思いついたのだ。
 自分でも卑怯なことをしていると自負している。しかしこんなチャンスを無駄に出来るはずもない。

 拓海は先程からずっと黙っているばかりだ。翔の行動に疑問が広がるばかりだ。
 そして自分は戸惑う。自分に優しくするこの少年の意図が読めない。何よりも素直に受け入れられない疑心暗鬼な自分が他人のように感じてしまうのだ。


「これから何処か行かれるんですか?」
 翔が自分より長身の拓海へと目線を上げ声を掛けた。
 すぐ横で声がしたことに拓海は現実に戻る。

 そして翔を真っ直ぐに見詰める形になる。翔も笑顔で自分を見詰める。自分と一緒にいて楽しいのだろうか。どうして笑顔を浮かべられるのか。
 拓海は自分より年下のこの少年を観察する。
 まだあどけなさを残す少年。だけど好奇心旺盛らしい雰囲気は見た目で感じることが出来る。
 そう、好奇心旺盛。まさにこの少年が自分に向けている感情は好奇心旺盛なのだろう。拓海はそう解釈すると今のうちに離れた方がいいと結論付けた。
 自分と関わってはいけない。そのために自分は此処まで来たのだから。結果は逃げた形になってしまったけど……。



 そう結論を出した拓海は翔の傘からそっと離れた。そしてそのまま無言で翔から離れていく。
 その拓海の意外な行動に翔は笑顔から驚愕の表情にと一変した。
「北条さん!?」
 思わず引き止めに入る翔。どうして自分から何も言わず去ろうとするのか理解が出来ない。拓海を怒らせるような行為をしたのか、翔の中に色々と思考していくのだった。


 どうして拓海は自分から何も語らず去ろうとするのか。一目会った瞬間から会いたくて会いたくてずっと想い焦がれて、そしてやっと今こうして出逢えたというのに。それはまるで運命や奇跡を越えた再会のようで、翔の胸は嬉しさのあまり高鳴っているというのに。
 なのに拓海は自分から離れようとしている。自分と違って何の感情も持っていないからこそのこのような行動に出たのだろうが、それでも翔からすればわざと離れ去ろうとしているようで、それは翔と関わりを持ちたくないというように思えてくる。

「待ってください、北条さん!!」
 咄嗟に翔は拓海を引き止めた。拓海が自分から去り始めた瞬間に、咄嗟に声を大にして張り叫ぶかのように呼び止める。
 これで終わりだなんて絶対に嫌だ。やっと出会ったんだ。

 拓海は一瞬だけ足を止めるが、翔に振り返りもせず再び足を動かした。
 だが翔も負けずに拓海の方にと走り寄っていく。

「待ってください!」
 再度、翔は縋るような声音で呼び止める。
 そして拓海に追いつき、傘を拓海の頭上にと差し出す。自分が濡れることなど厭わず……。
「俺……、俺、何か悪いこと言いましたか? もし言ったのなら謝ります! 俺、図々しくてよく考えもしないで言葉にしちゃうから、相手が傷付いても気付かないことしょっちゅうなんです。もし……北条さんにも失礼なことを言ったり何かしたなら謝ります。謝るから……俺から離れないで下さい!」
 翔の必死な謝罪。もう失いたくない。この人を失いたくない一心から、翔は必死である。

 雨の中、翔はどんどんと自分が濡れていく。しかしそんなことは問題ではない。拓海と関係が切れることのほうが辛いのだから。
 拓海は俯き加減だった顔を翔にとやっと目線を向け、縋るような翔の瞳をじっと見詰める。
 自分のことより他人の拓海を第一に考えていてくれてるであろう、自分より年下の少年。高校生らしい彼は自分よりきっと精神的に大人だ。少なくとも自分よりはずっと。
 それとも若さが翔を行動派にしているのだろうか。真っ直ぐで自分の身より他人を最優先する翔の行動。

 一瞬、拓海の脳裏に過ぎったのは親友の影。
 そういえばこの少年は似ている。自分より他人である拓海を第一に考えてくれる。こんな情けない、何の取り得もない自分の身を案じてくれる。


 翔の制服が雨で湿り、ずぶ濡れになっていく。それでも翔は拓海が濡れないようにと意識して自分が濡れることは頭になかった。
 そんな翔を見て拓海は一度瞳を閉じ、再び瞳を開けた時はそこに迷いはなかった。

 いや、今も正直揺れている。自分と関わると今度はこの少年が不幸を招くだろう。自分と関わっちゃいけない。自分は疫病神だ。周囲を不幸に陥れる存在、それが自分だ。
 だからこの少年とも関わりを持つまいと決意した。傘を返し、さっさと離れ、そして二度と出逢うことはないと決めていたのに……。



「――濡れてしまったね……。俺の所為でごめん……」
 翔の身を案じる拓海の言葉に、翔は落胆の表情から喜びの表情にと変化する。



 拓海の台詞で自分が濡れていたことに気付く。なんせ拓海と今生の別離のように、これで関係がなくなるかもしれない恐怖に似た感情に支配されていたからだ。自分の身体の心配なんてしている余裕はなかったし、濡れている感覚もないに等しかったからだ。
「あ……、そんな気にしないでください。拓海さんが濡れてなければ、俺は全然平気ですから」
 にこにこと満面の笑みさえ浮かべ、安心させようとする翔。

 どうしてこの少年はこんなに優しく接するのか。翔の本心が掴めない拓海には、翔の優しさが理解出来ずにいた。
 それでも翔は今だってこうして微笑を自分に向けてくれている。自分に向けられた微笑が温かくて、そして何よりも辛い。この少年に甘えてしまいたくなる。委ねたくなる。
 でもそれは許されない。自分の意思で心を開くことを放棄したのだから。
 だからここでその決心を破るわけにはいかない。それがこの少年のためでもあるのだ。
 それでもこのまま帰らせるのも気が引ける。自分の所為で濡れているのは明らかなのだから。


 拓海は一度、深く息を吸い込むと淡々と口にし始めた。
「……俺の家、ここから近いんだけど……。送ってくれる?」
 拓海が発した内容は翔にとって有難いものだった。なんせ拓海の家までの間でも一緒にいられるのだから。そしてそれは自分と拓海の時間がまだ切れていないことを意味していたからだ。
 思わず翔の笑みはますます濃くなる。
「はい、喜んで!!」
 即答だった。

 途端に瞳を輝かせる翔の姿を見て、拓海の心中は複雑になる。
 だが送ってもらうだけだ、と何度も呟き続ける。
 この少年まで巻き込んではいけない。自分と関わらせてはいけない。そう言い聞かせながら……。


 濡れている翔の頭上にも傘を差してやらなけれなと思った拓海は翔が持っている傘の柄を翔の方にと寄せる。途端に翔の頭上から雨からの攻撃を避けることが出来た。これで翔が雨に濡れる心配は多少解消されるだろう。
 そんな拓海のさり気ない行為にますます翔は素直に喜び、嬉しそうに顔を綻ばせる。

 それを確認した拓海は自分の住む場所へと歩き出す。それに慌てて翔もついていく。
 二人は肩を並べて歩き、しかも相合傘という恋人にしたら美味しいシチュエーションに翔は自然と笑みが出てしまう。
 二人は歩いている間、どちらとも会話をしない。元々、翔も拓海も自分から好んで会話をしたり話題を作るのが苦手だから、どんな会話をすればいいのか検討もつかないのだ。お互いの趣味も知らない。なんせ初対面、会って間もないのだからお互いのことを知らないのは当たり前のことだった。
 そして翔は自分の性格を呪うのだ。
 よく美紀や駿平に好きな人が出来たら自分から色々とアプローチして自分のことを好印象を与えなくてはならないと恋愛のイロハを聞かされていた。頼んでもいないことを横から話す二人に、何度も翔はうんざりしながら適当に相槌を打っていたが今となってはそんな自分が愚かしいと本気で後悔する。


 雨はいよいよ本格的になる。公園を出てから数分して二人は一つのアパートにと到着する。外観は古びたアパート。よく見かける安アパートだ。緑のトタン屋根にクリーム色した壁はよく見ると最近塗り替えたらしいことが窺える。どう見ても築20年以上は経っている代物だ。そのアパートの階段を拓海は上がっていく。翔も傘をたたみ、拓海に置いて行かれないようにと足早についていく。
 一番奥まで行くと拓海はズボンのポケットから鍵を出し、それをドアに差し込んだ。カチャリッ。それと同時に拓海はドアを静かに開け、翔にと顔を向けた。
「――……どうぞ、狭いけど……」
 拓海の遠慮した声音が翔へと掛けられる。
「あ、それじゃお邪魔します……」
 先に翔を中に促す拓海。それに翔はキョロキョロと見渡しながら傘を外側の壁に掛け、そして玄関にと入っていく。

(……ここが……北条さんの家……)
 また一歩、拓海に近付けた気分になり、翔の高鳴りははちきれんばかりになる。


 翔はドキドキする心臓を抑えようと必死である。しかし鼓動は治まる気配はない。それも仕方のないことだろう。自分は今、憧れの人の家にいるのだから。

 靴を脱ぎ、中に入ろうとした翔だったがそこで靴の中まで、つまり靴下まで濡れてしまっていることに気付く。
「あ、ごめんなさい。俺……、靴下まで濡れちゃって……、脱いでいいですか?」
 一応、家主の許可を得ようと背後にいる拓海へと遠慮しながら聞いてみる。それに拓海は首を縦に振り、了承したことを伝える。
 拓海の許可が下りたことを確認した翔はすぐに靴下を脱ぎ、それを重ねて丸く包める。
「そのままで……」
 だがそこに拓海の言葉が入る。その意味を図りかねる翔に拓海はにこっと微笑む。それは見る者を魅了させる微笑だった。その微笑に翔は見惚れてしまう。
「洗濯するよ。俺の所為で濡れてしまったからね……。ついでに制服も全部脱いじゃって。一緒に洗っちゃうよ。その間に君はシャワーでも浴びてきたらいい……」
 
 一瞬、“脱いじゃって”という単語に強く反応してしまった翔である。下心はなくてもやはり好きな相手にそう言われると反応を示してしまうものだ。
 相手にそんな意図が完全にないと解ってはいても空しい反応だ。翔はそんな自分が恥ずかしくてそれを隠そうとしどろもどろになる。
「あ、いや、そんな……。俺が好きで濡れたんですからそんなことさせるわけにはいきませんよ……。あは、気にしないで下さい!」
 自分でも何を言ってるのか判らない。本当に情けない気分になる。
 心なしか少し赤みの帯びた翔の頬を見て、拓海の方はといえばどうして赤くなってるのか理解出来なくて、暫くそんな翔を不思議な感覚で見ていたが、もしかして風邪引いたのかと変な誤解まで生じ始めてきた。
「やはりそのままってわけにはいかないよ。なんか顔も赤くなってきてるみたいだし……。とにかくシャワー浴びてきて。その間にやっておくよ」
 拓海はまだ玄関で突っ立っている翔にそう言葉を残し、玄関横にある小さなバスルームにと直行する。
 バスルームの方からシャワーの音がする。どうやらシャワーだけでは温まらないと勝手に結論付けた拓海が浴槽を簡単に掃除をしてお湯を溜めているらしいことが窺える。
 一人玄関に置き去りにされた翔はこの事態についていけず、ただポカンと馬鹿みたいに突っ立っているのみだった。


 暫く拓海はバスルームから出てくる。そしてまだ事態についていけず、まだぼーっと突っ立っている翔にそっと声を掛ける。
「もう少ししたら入れるよ。まだお湯がいっぱいにならないけどその間、シャワーで身体を温めていてくれるかな?」
 それは拓海ならではの精一杯の優しさと感謝の気持ちだった。
 
 やっとのことで正気に戻った翔は拓海の顔をじっと見詰める。そんな翔に拓海も微笑で見詰め返し、中に入るよう無言で促す。
 やっと事態を飲み込んだ翔は逸る気持ちを抑えつつ、慎重に中にと入っていった。
「俺んち、見ての通り狭いけど……」
 そう苦笑を浮かべながら拓海は翔を決して広いとは言い切れないバスルームにと案内した。
 そしてバスルームの近くに設置してある自動洗濯機の横から洗濯籠を手にする。
「この中に濡れた服、全部入れて。洗っちゃうから」
 それだけを告げると拓海は翔を残して出て行く。
 残された翔はそわそわとバスルームを見渡しながら、それでもぎこちない手つきで制服のボタンに手をつけ始める。
 全部の着衣を脱ぎ、言われた通りに籠の中に入れ、それをバスルームのドアを開けて外側にと置いた。再び閉め、拓海の言われるままにシャワーを浴びる。まだお湯は完全に張ってはいない状態だった。
 そして翔は未だにこの状況に頭が追いついていない。でも今、自分がいるのは間違いなく追い求めている憧れの人の家だ。しかも何故かこうしてその家の風呂まで借りている。
 シャワーを浴びながら翔はただ考える。
 そういえばここには一人で住んでいるのだろうか? 誰かと一緒に住んでいるのだろうか? それすらも判らない。
 でももし一人暮らしだとしたら、今自分は拓海と二人きりというシチュエーションになる。しかも誰も邪魔されない。
 その事実に気付いたら再び翔の身体が痙攣を起こしたように打ち震え始めた。緊張が高まってしまったのだ。
(……お、俺……、好きな人と二人きりじゃん……)
 若さ故の反応だった。

 そう思ったら妙な興奮を覚える。所詮、自分だって健全な男だ。好きな人と二人きりという美味しいシチュエーションに翔はますます身体が火照る。
 それをかき消そうと翔はシャワーの滴を浴びて豪快に頭を振った。
(ダメだダメだ。そんなんじゃダメなんだ! 落ち着け、神崎翔!!)
 心の中で自分に叱咤する翔。
 そんな時だった。バスルームの外側から声が掛けられたのは。そしてそれは勿論、翔の想い人である拓海だった。
「バスタオルと洗濯が終わるまでの間の着替え……、置いておくよ」
 その声にドッキーン! 翔の心臓が飛び出るかと思うぐらいに跳ねた。
「あ……、ありがとうございます!」
 ドキドキしながら、それでもひた隠そうと大声で返す翔。だが反対にぎこちなくなったのではないかと翔は余計に頭を抱える。
(あー、ほんとに俺って何やってもサイテー……)
 ますます自己嫌悪に陥る翔であった。


 そんな複雑な想いと格闘して30分近く入っていた翔はやっとのことで拓海が用意したタオルで拭き、そして着替えて拓海の元へとやってきた。
 顔はすっかり茹蛸のようになり、お風呂の所為だけではないことを物語っている。
 しかし拓海にはその真実は知ることはないだろう。


「お風呂、ありがとうございました」
 拓海のティーシャツと短パンを着用している翔は元々小柄だったため、長身の拓海の服がダブダブに見えて傍目から見ると何ともアンバランスな状態だった。
「ちょっと熱すぎたかな?」
 翔の火照った顔を見て途端に不安顔になる。
「いえ! そんなことないです、ちょうどよかったですよ!」
 確かにちょうどいい湯加減だったのだ。ただ一瞬、色々と妄想と格闘して心拍があがり、体温まで上昇したなんて絶対に拓海には口が割けても言える内容ではない。

 だって言えない。拓海が誰よりも好きだなんて言えるわけがないのだ、どう考えたって。それにそれを告白したところでどうにもなりはしない。かえって拓海に嫌われることは想像できる。
 どうして言えようか。男が同性の男に惚れたなんてそんなの常識から絶対におかしい。下手すれば精神科行きを勧められる。
 拓海に嫌われるのは嫌だ。そして何よりも拓海と二度と会えなくなるなんて絶対に嫌だった。

 ――折角会えた運命の人
 やっと自覚した恋心。もう離れたくない。だからこの恋心を口にすることはないと自分の心の中で密かに思い続けようと決意した。
 友情という関係でも構わない。それで拓海と何時までも一緒にいられるなら。拓海の隣にいられるなら……。


 翔は湯船に浸かりながら自分なりに決めていた。
 どうせこの恋は永遠に結ばれない禁断の恋なのだから――

 だけど自分で決意したはずなのにチクリと胸が痛む自分がいる。なんて複雑で自分勝手な、そして苦しい選択の恋なんだろう。
 翔は拓海を見る度に泣きそうになった。


愛しい拓海のアパートに突入です(違
ともかく翔の拓海への想いはますます昇華していく一方です。

ようやく動き出した翔の恋の行方は?

そして拓海の心理なども、徐々に表現していきたいと思います。
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