警告
この作品は<R-18>です。
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第四話「四人目の騎士」
(またやってしまった……)
俺は流されてしまった自分自信に呆れてしまう。
とりあえず、寝息をたてているシェリルの服装を整えベッドに寝かせておく。
「……気分転換に散歩でもするか」
じっとしていても仕方がない。
俺は自分に与えられた部屋を後にした。
そして、すぐに後悔する。
(俺は何処を歩いているんだ?)
部屋を出て歩き出してから数分後。
俺は早くも道に迷っていた。
「地図とかないのか?」
あっても解らんもんは解らんだろうが。
「あ……」
前から炎のように赤い鎧を着た少女が歩いてくる。
「きみは……」
相手も俺に気がつき立ち止まる。
見計らったかのようなタイミング。
まさにばったりと出会ったのは先ほど絡んで来たフレイという少女だ。
「こんなところで何してるのさ?」
「ちょっと……探検を」
道に迷ったとは情けなくて言えない。
「ふ〜〜ん。暢気なものだネ」
このフレイという少女ーーいちいち、言葉にトゲを感じる。
「暇なの?」
「ああ」
「なら、ボクたちの訓練所に来たら?」
素っ気なく吐き捨てるように言う。
まあ、暇なのは事実だ。
「そうさせて貰うよ」
「なら、ついて来ると良いよーーその前に」
先行して歩こうとした彼女は立ち止まる。
「ボクの事はフレイで良いからね」
「あ、ああ……フレイで良いんだな?」
「うん。あんまり馴れ馴れしく呼ばれるのは嫌だけどーー気をつけてくれれば良いから」
つまり、言い方に気をつけろっと言うことか。
ややこしい……。
「きみの名前なんだっけ……」
「佐久間一樹だよ」
「さくまかずき……変な名前」
キャハッという表現が似合いそうな笑い方をするフレイ。
嫌われている訳ではないのか?
「一樹で良いよ」
「かずき……うん。そう呼んであげる」
そう言うと先を歩き始めるフレイ。
何か足取りが楽しげだったのは気のせいだろうか?
「訓練って何するんだ?」
「基礎トレーニングから始まって実戦訓練ーー魔法の訓練かな基本的には」
質問すればフレイは答えてくれる。
少しは気を許してくれたらしい。
「炎騎士って呼ばれてるんだよな?」
「うんーーあんまり好きじゃないけど……だからなに?」
言葉にトゲが戻る。
「いや。かっこいいと思って」
フレイは立ち止まり、振り返ると俺を睨みつける。
「かっこいい? 何も知らない人は気楽だよネ」
からかっている様子はなくその声には怒りが込められている。
「いや。俺にも一応あったんだーーそう言うの」
「……」
「何だっけな……そうそう。帰宅部の一樹だ」
「それ呼び名じゃない? ボクのは称号と同時に位なの」
「まあ、聞け。俺も最初は気に入らなかったさーーでも、呼ばれ続けられるなら慣れるしかない」
「そんなの止めさせれば良いじゃない」
「定着するんだよ呼び名ってのはーーなら、嫌うより少しでも気に入るようにした方が楽だしさ」
フレイはしばらく考え
「……要するに、考え次第ということ?」
「ああ。何で気に入らないか知らないけど」
「……だ、だって……ルカの水騎士は綺麗そうな感じがするし、フィーネのは格好いいじゃんか」
妬みかよ。
「炎も良いと思うけどーー」
「……本当に?」
「ああ。その赤い鎧も似合ってるしな」
女性が鎧を誉められて喜ぶのかは知らない。
「……!」
フレイは頬を赤くし俺から顔を逸らす。
「ば、馬鹿……そんなこと言うかな……普通」
「変か?」
「言われたの初めてだから……変、なのかな?」
頭をポリポリと掻きながら息を吐くフレイ。
「誉められても嬉しくないけどーーありがとう」
フレイはそれだけ言うと再び前を向き歩き始める。
「そうかーー嫌ってるばかりじゃ、良いところなんて見えないんだね」
「ん?」
「何でもない」
よくわからない娘だ。
「もうじき、訓練所に着くよ」
「ああ。ありがとう」
「ボクも行くんだから、ついでだよ。ついで」
ついでをやけに強調する。
「でも、俺だけなら迷ってたと思う」
「……馬鹿」
フレイが使う馬鹿は大体が照れ隠しらしい。
「そんなに感謝してるなら形にしてよネ」
「ああ。考えといてくれ」
「後悔させたげる」
ニヤリと笑ってみせるとフレイは扉の前に止まると開かせる。
「ここが訓練所だよ」
「……」
訓練所の中は
剣で素振りをしている者や
ランニングしている者やで沢山だ。
「フレイ騎士長。今までどちらに?」
こちらに気づき、一人の女性が近づいてくる。
「うるさいな……ボクの勝手でしょ」
ツンとした態度で返すフレイ。
「部下に示しがつきませーー」
その時。
女性と目が合う。
「救世主様! 何故、この様な場所にーー!?」
「あ、ああ……見て回ろうと思ってな」
「良い心掛けです。敬服しました」
なぜ……?
「救世主殿。来て下さりましたか」
恐らく訓練用の槍(刃がついてない)を片手に持ったフィーネが笑顔で現れる。
「カズキ様! もしかして、私に……?」
ルカまで現れる。
どうでも良いが訓練は良いのか?
ルカは俺の隣に居るフレイに気がつき
「フレイさん」
「ルカーー」
気まずい空気が流れる。
この二人は余り、仲が良くないようだ。
「ごめんね」
「え?」
突然謝ったフレイにルカは目を丸くした。
いや。
フィーネや周りの騎士や兵士たちも同様だ。
「さっきはボクが悪かった」
「い、いえ……私も大人気なかった……です」
そんなフレイをみたフィーネが俺に耳打ちする。
(どんな魔法を使いましたか?)
よっぽど有り得ないことらしい。
(知らん)
っとだけ言っておく。
(あのフレイが素直に謝罪するなど有り得ませんから、救世主殿が手を打たれたのかと)
(俺は何もしていない)
とりあえず、俺はフレイの頭を撫でてみる。
「……!」
フレイがビクッと体を反応させ、俺を見上げた。
(怒るか?)
そう思ったのだが、フレイは俺の手を払いのけようともしない。
頬を紅に染めたまま上目遣いに睨んでいるだけだ。
「ハッ……!」
しばらくして我に返ったのか素早く俺の手から逃れ
「く、訓練を始めるよ。みんな」
っと部下らしき女性たちの方へと走り去っていく。
「フレイ騎士長。お顔が赤……」
「うるさいっ! さっさと、始めるよ!」
良くわからんが訓練とやらも始まったようだ。
「救世主殿は罪なお方ですね」
「……救世主は止めてくれ」
「ではカズキ殿」
「罪とはどういう意味だ?」
フィーネはくすっと笑い。
「魅力的な方ーーという事にしておいて下さい」
「……」
「部下たちの訓練を見なくてはならないのでーー失敬」
お辞儀をし歩いていくフィーネ。
見透かしたような視線を感じたのは気のせいだろうか?
「カズキ様」
俺がフィーネの背中を目で追っているとルカが声をかけて来た。
「何だ?」
「いえーー此方に着いてからカズキ様とお話しができませんでしたから」
寂しげに微笑しながらルカは俺を真っ直ぐ見つめ、一礼した。
「フレイさんとの事ーーありがとうございました」
「大した事はしてないよ」
いや、マジで。
「カズキ様って、照れ屋さん何ですね」
「違う」
何でこうも勘違いされ易いんだ?
「訓練見ていてくれますか?」
「あ、ああ」
俺が頷くとルカは嬉しそうに微笑し
「ありがとうございます。ではーー」
ルカは一礼すると、同じように部下らしき女性たちの方へと帰っていく。
「ふぅ……」
「あらあら、お疲れ様です」
「本気にな」
「あの娘たち嬉しそう」
「そんなもんか?」
「そんなもんです」
俺は横に目をやる。
すると、そこには白いローブを着た女性の姿があった。
これはまたとんでもない美女だ
白色の髪を背まで伸ばし、俺に優しげな視線を向けている。
「……貴女は?」
「光の騎士ホリィと申しますわ。救世主さまーーいいえ。カズキさまとお呼びしても?」
早くも四人目の登場だ。
だが、他の三人より戦闘向きには見えない。
「ああ」
俺が頷くとその女性は嬉しげに微笑み。
「私の事はホリィとお呼び下さい」
「じゃあーーホリィ」
「はい」
ニコニコと微笑しながら俺に優しげな視線を注ぎ続けるホリィ。 不思議な連中ばかりと出会ったが、ホリィはそれに輪をかける。
「ーーこれがカズキ様」
ホリィは俺に向かって微笑したまま愛おしそう者へ言うように呟いた。
「え?」
「大きくて力強いーーそして、とても優しい魔力ーーまだ大きくなっていく」
俺の胸が高鳴る。
ドクドク
胸が苦しい。
心臓の音でうるさい。
(待て。確かに美人だが……そこまで高鳴るほどか?)
俺の内から何かが溢れそうになる。 それは鈍い俺でもわかるぐらい危険なのがわかる。
最初の時よりヤバい。
(確か俺の中に魔力て奴が湧き続けるんだったよなーー)
はた迷惑な話だ。
そもそも、何故にこんな力が俺にあるんだ?
「カズキ様……?」
ホリィが心配そうに顔を覗き込んで来る。
少しマシになってきた。
「いやーー何でもない」
「そうですかーーよろしければ、お話相手になって下さりません?」
よし。
苦しみが消えて来た。
どうやら、一時的なものだったらしい。
「構わないがーー余り面白い話はできないぞ?」
「クスッ……私の世間話を聞くだけでもよろしいので」
「……わかった」
俺は上品に笑むホリィの世間話を聞きながら訓練所を眺めるのだった。
女王の自室。
女王は救世主である一輝の事を思い出していた。
女王と言う立場の割にはまだ幼さを残した顔立ちだ。
だが、王族に相応しい気品と美しい肌。
更に長く美しい金色の髪。
彼女はそこらにいる人間とは別格だと言うのがわかる。
「救世主様ーー思ってたよりお若い殿方でしたわ」
自分より少し年上か、そのぐらいだろう。
「女王様」
「シェリル。救世主様はどんなお方なの?」
何処からともなく現れたメイドに女王は驚かずに訊ねた。
女王とメイドというより友人同士の会話に近い。
「お優しいお方でした。きっと、あのお方なら女王様のーーいいえ。この世界をお救いになられるでしょう」
「そうーーそれより」
「はい?」
女王は可愛らしく首を傾げながら
「どうして、手枷をしてるの?」
「そこに手枷があるからです」
シェリルは冗談を口にし笑い女王もそれにつられて笑う。
「シェリル。二人の時ぐらいわたくしの名前を呼んでくれても良いでしょう?」
「リィーナ様。お寂しいのですか?」
「貴女がいるから寂しくーーいいえ。寂しいのかも」
「リィーナ様……」
前女王だった母は病で他界し、まだ幼いリィーナは女王という重要な席に座らさせられた。
シェリル以外に顔を知っている者はいるが、シェリルほど親しい人物は居ない。
「救世主様とどんなお話をしましたの?」
「お話というかーーその」
顔を赤くしたシェリルにリィーナは首を傾げる。
「教えて?」
「は、はいーーごにょごにょ」
シェリルはリィーナの耳に口を近づけると、一輝と交わった時の事を話した。
リィーナの顔がシェリルと同じぐらいーー否。
それ以上に赤くなり、顔を手で覆う。
「どうだった?」
それでも気になるのか、シェリルに話の続きを促す。
「初めは痛かったですーーでも」
「でも?」
「そのうち気持ちよくなってーー」
リィーナは時間も忘れ、シェリルが話す体験談を聞き入るのだった。