警告
この作品は<R-18>です。
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第十七話「息抜き」
人様の物であるジェネシス城の生活にも大分と慣れて来た。
人様の城だという事もありシェリルも襲って来ないし、安心だ。
今、俺はジェネシス城の中庭で何をするでもなくのんびりと過ごしていた。
そんなに照らさんでもーーというぐらいの快晴だ。
「……よし。特訓でもするか」
隣で昼寝をしていたアズリアはそう言うと立ち上がる。
俺には関係ないーー頑張ってくれ。
「……良い天気だな」
「何やってんだ? 行くぞ」
「俺もか?」
「付き合ってくれ」
悪いが俺の体力はアズリア達と比べると無に等しい。
とてもじゃないが付き合えない。
「パスだ」
「見てるだけで良いから」
何時もなら直ぐに引き下がるアズリアだが、今日は食い下がって来た。
「今日はやけに絡むな」
「たまには良いだろ?」
見るだけなら良いか。
「わかった……それで何をするんだ?」
「そうだな……リーゼ、ローゼ」
「はっ……」
「……ここに」
片方は木の上から、もう片方は茂みから現れる。
いつからスタンバイしていたのだろう。
いや……寝てたな。
「最近。たるんでるようだから鍛え直してやる」
「……」
「……」
すっごい不満そうな顔をする双子騎士。
「終わったら好きにして良いから、頑張れ」
「……」
「……」
アズリアの妥協に双子騎士がピクリと反応する。
「町に……」
「……出かけても?」
「ああ。許可してやる」
「……」
「……」
「わかったら、かかって来い」
双子騎士は顔を見合わせほぼ同時に動き出す。
「こら待て! 誰が二人いっぺんにと言った!?」
(平和だな)
俺は死闘に近い訓練を眺めながらそう思うのだった。
しばらくして特訓とやらも終わり、アズリアは満足した様子で戻って来た。
「全然たるんでなかった……あいつ等なりに鍛錬は欠かしてないみたいだ」
「嬉しそうだな?」
「まあな……そうだ。あいつ等を町へ出すには少しばかり不安があるんだ」
「ついて行くのか?」
「ああ。アタシも行くが……カズキも付き合ってくれよ」
そう来たか。
だが俺も町を見回ってみたいと思ってたしな。
「許可は皇帝ーーリリアから取れば良いのか?」
「ああ。アタシが行って来る……カズキはあいつ等を頼む。迷子になられては困るからな」
去っていくアズリアを見送ると俺は双子騎士の方を見た。
誰が迷子になるんだ?
「……」
「……」
二つの眼が俺を見つめていた。
そう言えばこの双子騎士とはまともに話したこと無いな。
「よっ……元気してたか?」
とりあえずフレンドリーに挨拶をしてみる。
「はい……」
「……それなりに」
予想していた以上に短い答えが返って来た。
もしかして会話終了か?
「……」
「……」
喋らない人間は苦手なんだよな。
どうする。ここが元居た世界ならドラマの話で一時間は稼ぐ自信もあるが。
「二人はアズリアの部下なんだよな?」
「私達は……」
「……アズリア様の剣」
「……まあ、あんなに強かったら務まるだろうな」
素人である俺から見ても二人は凄かった。
その二人を相手にしていたアズリアはそれ以上だが。
いかん。次の話題を始めなくては。
「どっちが姉なんだ?」
「私……」
「……リーゼがお姉さん」
なるほど、姉の続きを妹が話すのか。
ややこしいな。
見分ける方法は無いのか?
二人とも同じ軽鎧で同じショートヘアーの髪型。
見た目ではまだ見分けられる自信がないな。
みんなは最初に話すのがリーゼで後に話すのがローゼと覚えてくれ。
「救世主様……」
「……質問が」
向こうから話をふってくるとは……質問?
「何だ?」
「救世主様にも……」
「……家族は」
「居るよ。元に居た世界だけどな……親父とお袋にーー妹が一人だ」
何でこんな話をしてるんだろうなーー避けてたのに。
出来るだけなら元に居た世界の事なんて話したくない。
もう戻れないかも知れないーー少なくとも、今はここが俺の世界だ。
泣けるなら泣きたいね……人前で泣くなど死んでも嫌だが。
「妹……」
「……」
無表情だった表情を複雑そうにする双子騎士。
いかん。顔に出たか?
「まあ、リーゼみたいに素直な妹じゃなかったけどな……」
俺を兄として扱わない時があるからな。
何を考えてるんだか。
しかし、あいつは兄である俺と違って優等生だ。
心配するような事はないだろう。
「……ま、気にするな」
「え……」
「……あ」
二人の頭を撫でてやる。
少し前の俺なら絶対に有り得ない行動だ。
何でかな。この世界に来て良かったーーと思い始めている自分が居る。
「おい。許可が出たぞ」
何やらご機嫌の様子で戻ってくるアズリア。
「アズリア様……」
「……早過ぎ」
「早かったら問題でもあるのか? ええ?」
ニヤニヤしながら双子騎士を見下ろすアズリア。
何だって言うんだ。
「ご主人様。早く行きましょう」
シェリル……いつの間に。
そういう訳で俺たちは町の方までやって来た訳だ。
見渡す限り人ばかりーーそれも女ばっかり。
慣れてしまった自分が少し怖いぐらいだ。
「色々あるな……」
「流石は大国と言ったところだ」
食べ物からアクセサリーなど色んな店がある。
それにしても平和だな。一応戦争の前なんだからもう少しピリピリしてそうだと思ってたが。
「ご主人様。どこから見ていきますか?」
「任せる」
パッと見たが俺の見たい店も無い。
「アタシは少し飲んでくるーーカズキも来るか?」
「未成年だ」
「そうかい。じゃあその三人を頼むわ」
アズリアは手をひらひらと振りながら人混みの中へ消えて行く。
飲みたかっただけでは?
「リーゼさんとローゼさんは何処か行きたい店あります?」
「……」
「……」
二人して指差した先はーーアイス?
赤や青と様々な色がある。
この世界でもお目にかかるとは
「見に行きましょう」
俺はシェリルに手を引かれ双子騎士はその後をついてくる。
……選択肢間違えたか?
双子騎士が興味を示した店でアイスを買い(俺は遠慮した)一休みも兼ねてベンチに腰を下ろした。
見ていると普通のーーいや。鎧とメイド服のせいで普通には見えないが。
とても戦地に赴くようには見えない。
「ご主人様」
「どうした? 当たりでも出たか?」
「? よくわかりませんけど……どうぞ」
そう言って自分のアイスを差し出して来るシェリル。
「いらな……」
「ご主人様が食べないなら私が口移しでーー」
「頂きます」
一口かぶりついてから気づいたがアイスを口移しなんか出来るのか?
……こいつならやりかねん。
「私たちも……」
「……食べて」
何か色々と誤解を招きそうな事を言うんじゃありません。
……これも王道パターンか。
王道パターン好きだよな神様とやらも。
「そう言えばご主人様」
「今度は何だ?」
「魔王討伐連合設立宣言のお言葉はお考えになられましたか?」
……はい?
当然。初耳だった俺だが間の抜けた返事どころか、苦笑すら出来なかった。
私に短編小説は無理だーー(ナニ)
最近、ランキングで二位に入る事ができました。
皆さんのお陰です。
これからもこの才能薄作者である白桜と「凡人&凡骨&平凡&普通である俺の戦記」をお願いします。