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第十六話「気の迷い」
 ジェネシス帝国の協力を得られる事になった俺たち。
 だが色々と手順があり、しばらくジェネシス帝国へ残ることになった。
 何はともあれジェネシス帝国が魔王討伐連合に参加してくれたのは良かった。
 苦労のかいがあったというものだ。
 今日は皇帝ことリリア(本人にそう呼べと言われた)にある部屋へ連れられていた。
 会わせたい人がいるらしい。
 その部屋というのはーー見渡せば本、見上げれば本。
 本しか無い部屋だ。
「ここは何だ?」
「姉上の部屋だ」
「書物倉庫とかじゃなくてか?」
「書物倉庫ならもう少し片付いている」
 書物倉庫より本で溢れかえっているという事か。
「姉上。カズキを連れてきました」
「リリア……遅い」
 ドシャ!
「うおっ!」
 本の山が崩れたかと思うとそこから現れた白髪の女性。
 黒色のローブを羽織っており如何にも魔術師という感じだ。
 年齢は俺より少し上ぐらいか。
「でも……ありがとう」
「どう致しまして」
 白髪の女性は微笑するリリアから俺に視線を移す。
「……」
 姉上って事はーー皇帝の姉ってどれくらい偉いんだ?
「……」
「……」
「……おいで」
 どう話をしたら良いか考えているとその女性に手招きをされた。
 人を犬か猫と勘違いしているのか、ただ馬鹿にされているだけか。
「こういう人だ……行かないと話が進まないだろうな」
 どちらでもないばかりか少し面倒だ。
「……可愛い子」
 何故か頭を撫でられる俺。
 可愛い? んな事を言われたのは初めてだ。
「そして……可哀想な子……知らない世界に引っ張り出されて……」
 無表情で言われてもな……せめて表情を変えてから言って欲しい。
「こういう人だ」
 リリアは笑いをこらえているようだ。
 そんなに可笑しいか?
「私は……レイア・ジェネシス……レイアと呼んで」
「あ、どうも……俺は……」
「知ってる……カズキ」
 俺ってば有名人だねぇ……素直に嬉しくはなれないが。
「それで……俺に何か用ですか?」
「……魔王軍の様子が変」
 いきなり本題に入ったな。
「一週間程前までは確かに魔王軍は戦争に向け準備を進めていた」
 リリアがレイアの言葉を繋げ説明してくれる。
「……それが?」
「その動きがピタリ止んだーーそれだけだ」
「ジェネシスが連合に加わって警戒しているんじゃないか?」
「そんな甘い連中ではないーーよからぬ事を考えていなければ良いが」
 向こうが動かないならこちらも無闇に動けない。
 確か魔王の土地は遥か東方にあり、荒々しく、強力な魔物達が住まうらしい。
 攻めるにはとても不利な場所のようだ。
「どうする?」
「決めるのはーーカズキ。君だ」
 そう。何時の間にか俺は魔王討伐連合の総大将になっていたのだ。
「どうにかして魔王軍を引っ張り出せないか?」
「此方に攻め入るきっかけを作ってやれば良い」
「例えば?」
「悪魔の公開処刑。それも奴らのプライドをズタズタにするようなーー」
「ダメ」
 リリアの無茶苦茶な提案を一言で却下するレイア。
「冗談です。姉上」
 だがどうする?
 攻め込むかーー攻め込む?
 そうか……考えるまでもなかった。
「これは先に動いたら負ける戦いなんだな?」
「良く気がついたな」
 感心するように頷くリリア。
 試されたらしい。
「だが、何時までも待っている訳にはいかないだろ?」
「ああーー早めに手を打たないとな」
 だが、何故だろう。
 俺には魔王軍との戦争までそう遠くはならない気がしたのだった。
 場所は変わり魔王の寝室。
「いけません……魔王様」
「良いじゃないですか……ほら、気持ちよくなりなさい」
 ベッドの上には和美とそれに弄ばれる悪魔のメイド。
 服の胸部分だけ破かれ露出した乳房をいじられる度にメイドは可愛らしく鳴き声を上げる。
 和美にそちらの趣味がある訳ではない。
 ただ楽しいからだ。
「邪魔なパンツを脱ぎなさい」
「は、はい……」
 和美に命じられたメイドは大人しく下着を脱ぐ。
 魔王である和美を怒らせればどうなるかを想像するのは容易い。
「ほら、見せて」
「はい……」
 メイドはベッドに座ったまま足を広げスカートをたくし上げた。
「オナニーとかしたことある?」
 メイドの泌部を指で撫でながら和美は問いかける。
「あ……あります」
「誰かを想像して?」
「はい……うくっ!」
 膣口に和美の指が当たり、メイドは体を仰け反らせる。
「誰?」
「許して下さい……」
「なら……体に訊きます」
 和美は唇をメイドの膣口にくっつけると舐め始める。
「ひゃう!?」
「気持ちいい?」
 メイドのクリ○リスを指で弾きながら和美は舌による愛撫を止めない。
「あ、頭が可笑しく……!」
「くすっ……素直な子にはご褒美をあげます」
 和美はメイドのクリ○リスをつまみながら膣口に指を差し込む。
「きゃう……!」
 絶頂に達したメイドを和美は見下ろしもう一度問いかけた。
「誰を想像してオナニーを?」
「ま、マルコシアス様です……!」
「……へぇ」
「お願いします……この事は……」
「オナニーの事ですか? それとも私にイかされた事?」
「ど、どちらもです……」
 和美は妖しく笑うーーその時だった。
 コンコン。
 ドアがノックされる音。
「マルコシアスです」
 メイドの顔が羞恥に赤くなる。
「入りなさい」
「ま、魔王様!? マルコシアス様にこんな姿を見られたら……」
「失礼します」
 ドアが開かれマルコシアスが入ってくる。
「陛下。ご用とは何でしょうーー」
 メイドを見て固まり顔を赤くしていくマルコシアス。
 当然の反応だ。
「この娘を抱きなさい」
「え!」
 和美の命令にマルコシアスはメイドを見る。
「魔王である私の命令に逆らうつもりですか?」
「う……すみません」
「私……マルコシアス様になら……」
 和美は二つの肉体が重なり合うのをただ楽しげに眺める。
 だが、すぐに飽きてしまう。
「つまらない……会いたいよ。兄さん……」
 魔王の瞳から流れた涙を誰も知りはしない。
 悲劇のヒロインを名乗るつもりはない。
 自分は悪名高い魔王。
 今の立場を不満などないし気に入っている。
 だが兄と会いたいと願ってしまうのは罪か。
 和美はそんな弱音を一笑した。
「いけない……私は極悪非道の魔王なんですから……兄離れしませんと」
 絡み合う二人の悪魔を観察しながら和美は実に魔王らしい笑みを浮かべるのだった。



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