警告
この作品は<R-18>です。
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ここから「12 再会」の最後の場面に戻ります。シユウが危険を冒してウンニョを探しに来て、テルモピレーのギリシャ軍の中に山から下りてきて、ウンニョに再会したところからです。
19 最後の命令
ウンニョが一人の怪我人の手当を終えて立とうとした時、衛兵に囲まれて来た青年に気が付いた!
松明に照らされたその顔はウンニョと同じ民族!そして見覚えがあった!彼がウンニョを見て叫んだ。
「アスラ・・・!」
思わず故国の言葉をしゃべった。
「おまいは・・・ワイの・・・!」
「そうだ!ワイ族のシユウじゃ!お前と一緒に燕と戦った・・・」
「こんなとこに何しに来た!ここは死地じゃぞ!」
力強い声が奥からした。
「何事だ?ウンニョ、誰と話している?」
ウンニョはシユウにペルシャ語で言った。明らかにレオニダスにもその意志を伝えようとしていた。
「俺はここでレオニダスと共に戦う!」
シユウもペルシャ語で返す。
「馬鹿な!ここに居ると無駄死にするぞ!来る途中で、闇の中を大勢のペルシャ兵が山の向こう側を移動するのを見た!ここを挟み撃ちにするつもりじゃ!」
だがウンニョの目には強い意志が宿っていた。
シユウはさらに言った。
「・・・お前の民はどうする?俺はお前と共に、幾つもに別れた朝鮮族をまとめたい!そして海を渡ってもっと東に行かぬか?そこには豊富な森と砂鉄が取れる島があるという!漢族にも手の届かぬ・・・」
レオニダスが口を挟んだ。
「若い者には夢があるな・・・ウンニョ!お前はこやつと一緒に行け!」
ウンニョは驚いてレオニダスに詰め寄った!
「な・・・何を言う!俺はおまいと契ったではないか!」
「儂はここでスパルタとその未来の為に戦う。だが、お前の戦いではない!お前はお前の愛する一族の者達の為に戦うべきだ!」
レオニダスは剣をたちまち抜き、シユウの肩に付け言った!これは最高司令官として命令を下す時の儀礼だった。
「アスラを連れて戻り、お前達の国を作れ!」
「レオニダス!」
ウンニョは王の懐に飛び込んだ。見上げる真摯な瞳。大粒の涙が後から後から頬を伝う。
スパルタ兵は槍を下げ、持ち場に戻っていった。
前にも記したが、スパルタでは若い同性の恋人を持つことは許されているが、肉欲を貪ることは許されていなかった。レオニダスはその禁をウンニョに対して犯した。だが、誰も告発しようとする者も居ない。(注1)
レオニダスは胸に抱いたウンニョに厳しい声で言った。
「一度ぐらいは儂の命令を聞け!」
シユウはレオニダスに、この世に偶然に生まれた最も気高く美しい魂を追う自分と同じ宿命を見ていた。
だが、彼の旅はここで終わる。後は自分が引き継ぐのだ・・・
「ウンニョ・・・儂はここで死んで鷹となる」
レオニダスはウンニョの髪を撫でながらギリシャ語で言った。
「・・・鷹・・・?」
「お前の住む国の上をいつしか飛ぼう。お前が王として君臨する国の上をな!そして一緒に東の島に行こう」
ウンニョの目から、またはらりと一筋の涙が零れた。
レオニダスはウンニョを抱いたままシユウに目を向けると言った。
「旅人よ。ラケダイモン(スパルタ)に行って伝えよ。予言(注2)のままに我等はここに死すと」
(注1)プルタルコス、「ラケダイモン人たちの古習」より
(出典:「野次馬小屋」様の「ラケダイモン人たちの古習」の訳。"Barbaroi!" で検索の事)
「魂の真面目な子どもたちを恋することは容認されていた。しかし交接は、身体を恋することであって魂を〔恋すること〕ではないとして、醜いことと信じられていた。だから、醜行目的に交接しようとしたとして訴えられた者は、生涯、市民権喪失者となった。」
(注2)『予言』とは、レオニダスがペルシャ軍の到来に関して、デルフィの巫女に受けた神託である。
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