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六 新しき朝(あした) 終話
「あれ・・・?」

 障子に当たった朝日の明るさで目が醒めた。

 隣には、小吉の大きな背中がこちらを向いている。
 竜胆丸は起きあがって臑を外に出して座り、頭を振った。

 昨夜は小吉に激しく責められ・・・いつ眠ったか覚えていない。蕾と下腹がまだ熱い。でも小吉は俺に愛をいっぱいくれた・・・
 竜胆丸の体に幸福感がみなぎっていた。

「あ・・・いけない。朝餉作らなきゃ」
 竜胆丸は、床の間に掛けてある愛染明王の図に向き直って、しばし一心に祈っていた。そして勢いよく廊下に飛び出した。

 竜胆丸が駆けていった廊下の中庭の芝垣に、さわやかな日差しを浴びて、布団が干してあった。




*)愛染明王 
 忿怒の形相で六臂の座像の姿でよく表されています。愛染は既述のように愛欲による煩悩という意味らしいです。現在使用されている『愛』という字の概念はそのころと違っていたと考えられています。明治時代に『LOVE』を訳しかねた翻訳家(多分有名な人・・・汗)が愛を当てはめたとも言われています。有名な直江兼続の兜の前立てに『愛』の字のものがありますが、愛染明王の『愛』であって、彼としては、煩悩に苦しむ敵を平らげてやろうなどという意気込みを表したものかも知れません。
 竜胆丸が一生懸命祈ったのは、愛欲と嫉妬に身を焦がす自分をいつかは明王が滅ぼすだろうという予感があったのかも知れません。その時は念者の小吉を赦して欲しいと・・・


あとづけ

 最後まで読んで頂き有り難う御座いました。
 お気づきになった読者もいるかも知れませんが、これはある歴史小説の2次創作となっております。登場人物と設定は類似しておりますが、原作とは関係ありません。
 一応、原作者にはキャラの借用の許可を取ってあります。
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