警告
この作品は<R-18>です。
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久しぶりにフルタイムでフロアに立っていた。接客力は落ちていなかった。翌日、小松とイシハラの見舞いに行くことにした。
99 見舞い
イシハラ入院の一報をスタッフ達に言付けることをすっかり忘れていた俺。久しぶりに営業に
フルタイムで入ることになった。正直、フロアは2時間でバテた。
何とか、26時までフロア業務をこなした。原田の仕切りの下、終礼が始まった。
「本日もラストまでお疲れ様でした!ご着席ください」
原田が業務連絡と日払いや送りの有無を確認した後、支配人に振る。
「お疲れ様でした!連絡が遅れましたが本日から3〜4日間、店長が不在となります。営業に
支障はありませんが何かあれば私に言ってください。それではバテてるボスお願いします」
「みなさんお疲れ様でした。朝礼に店長のことを伝えれるはずが全く持って忘れてました。
フルタイムでフロアに立って、営業を見てましたが、みんな素晴らしい接客をしてます」
これは本音だった。隙が無いようにビシっとした身なりをしているが、女の油断も見せる。
客はこの堅そうで緩いギャップが良いのだ。胸チラやパンチラがあれば、なおのことだ。
「みんなが頑張ってくれてるので、2周年のタイミングでドレスを新調しようと思ってます」
「やったー!」
キャストが一斉に歓喜し、拍手をする。
「また、さらに高水準で売上を記録し続けると、去年のように旅行を企画するので、みんな
力を合わせて頑張りましょう!以上、本日もラストまでお疲れ様でした!」
終礼後、小松がキャストのシフト確認と集計をしていた。
「支配人、最終出た?」
「はい。187万です」
「火曜日にしては、結構行ったな」
「良い方ですね」
「今、支配人以下の役職ってどうなってる?」
イシハラ店長、小松支配人、大島ボーイ長、原田、大橋がボーイ。岩井が正社員に昇格して
現在、ボーイとのことだった。先手も来月には社員になりたいという。
「そろそろ、昇格させてもいいと思うの居ないか?」
「原田ですね。誰より一番、頑張っているかもです。岩井は社員になってから頑張ってます」
「大島は主任になるだけの実力は無いか?」
「そうですね。一息付いてる訳じゃないと思うんですが」
「分かった」
「誰も手を抜いた仕事をしてないのは確かです。あくまで私目線ですけど」
「そうか。イシハラとユイにも聞いてみるわ。明日、イシハラ見舞うけど行くか?」
「はい。お迎えに上がりますよ。時間は?」
「買い物してから行くから、午後一には来てくれよ」
「分かりました」
翌日、小松が迎えに来た。買い物を済ませてから病院へと向かった。
「あの盲腸で入院してる、イシハラってのは居ますか?」
「503号室にいらっしゃいますよ」
「生意気にも個室じゃねえか」
ナースステーションからイシハラの居る病室を確認した。
「小松、これ被っていけ」
503号室のドアをノックした。
「どうぞ!」
俺と小松は、無言で病室に入って行く。
「ぶー!いてっ!」
イシハラが俺達の姿を見て吹き出す。俺と小松はリアルに出来ている馬の被りモノをして、
椅子に腰掛けた。小松の被っているものは、雌馬でリボンをしていた。
「ちょっとボスでしょ!やめてくださいよ!」
俺と小松、いや牡馬と雌馬は見つめ合って、キスをした。
「だーはははは!いたたた…」
キスをしながら、ゆっくりと小松の胸を揉みしだく。小松は様子がおかしい素振りをする。
「くくく…腹痛いってば!」
俺達は一連の動作中、ずっと無言だった。沈黙を守ったまま病室を出て行った。
病室を出ると走ってトイレに入り、大至急、着替えた。病室に戻ってノックをする。
「どうぞ!ってボスでしょ?」
「イシハラさん!検便の時間ですよ!」
「パンツ下ろしてここで脱糞してください!」
ナース姿に子供用のお茶碗と箸を持って、イシハラに詰め寄った。
「つまんねえけど笑える!だから腹痛いからやめて!」
「じゃ体温を測りますので、パンツ下ろしてください!」
俺が室内の温度を計る板に付いた室内計を出した。
「だーあははは!そんなじゃケツ切れるから!」
「いーひひひ」
「…。傷口開いちゃう…」
イシハラを猛烈果敢に笑わせているとマコが入ってきた。
「何大騒ぎしてんの?誰?ボス?あははは!」
マコは俺達の姿を見て大笑いした。つられてイシハラも大爆笑した。
「ふふ…ははは…だーはははは!」
俺も堪えきれず、小松を指差して大爆笑した。それを見て部屋に居るみんなが大笑いとなる。
「イシハラさん!そんな大騒ぎしてると傷口開きますよ!」
騒ぎを聞きつけて、ナースが怒鳴り込んできた。
「すいません…腹痛いです」
よく見るとイシハラの右下腹部に血が滲んでいた。それを見て俺達はさらに大笑いだ。
「止血処置するから、ちょっとそこ押さえててください」
ナースが慌てて、処置道具を取りに行った。
「小松、アレ仕掛けて」
すぐにナースが戻ってきた。ベッドの横の取っ手を回し、リクライニングを起こす。
「あまり下腹部に力が入るようなことはしちゃダメですよ」
「すいません…」
ナースが処置を終えてパイプ椅子に座った瞬間だった。
「ブー!ブリビリブリ!」
小松が仕掛けたブーブークッションが威勢のいい音を轟かせた。
「あらやだ」
「ぎゃははは!」
ブーブークッションの音よりもナースのリアクションの方が笑えた。
「こら!」
「すいません!もうやめますから」
さすがにナースに注意されてしまった。イシハラが懸命に笑いを堪えている。
「あーあ。面白かった」
「笑えましたね!じゃ帰りますか」
「おいおい!イタズラしに来ただけかよ!」
立ち去ろうとした俺と小松が振り返った。
「悪い?」
「問題ありますか?」
「ぎゃはははは!」
パーティグッズによくある、ヒゲと鼻が付いたメガネをかけた俺と小松が振り返った。腹を
抱えて、イシハラがうずくまって悶えている。
「ボス…勘弁してください」
「マコ!」
俺がマコに馬の被りものを渡して、小さな声で促した。
「分かった。イシハラ悪かったよ」
「マジ…勘弁してください…」
痛みが治まり、顔を上げたイシハラの目付きが変わる。
「マコ、笑えないからヤメロ!」
「お前怒んなよー!患部いじっちゃうぞー!」
「ボスなら本当に笑いながらしそうだから…」
「で、いつ退院予定なんだ?」
落ち着いて話をしようと、椅子に腰掛けたときだった。
「ブッ!プスー…ス」
ナースが残していったブーブークッションの残りが鳴った。大爆笑したのは言うまでもない。
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