警告
この作品は<R-18>です。
18歳未満の方は
移動してください。
4 仲間
全ての店に顔出しを終わらせ、店に戻った。
時間にして20分程度だったはずだが、すでに店内は満タンだった。
休む間もなくカラオケが続き、マイクを持ってフロアを走り回り、灰皿交換や
氷の注ぎ足しでフロアとカウンターを往復し、女の子のドリンクの注文を受けては
またカウンターの往復。
退店したテーブルをスタンバイする。客は満卓で25人くらいが限界で大箱とは言えない。
そこで3店舗合同のウェイティングルームで待っていた客をすぐにそこへ案内する。
こういった一連の作業の繰り返しだった。
あっという間の閉店だった。終礼の途中、ひざが痛くて立ってられなかった。
初の営業売上は61万だった。いきなり俺にも大入りが入る事になった。
営業は終わったが俺達の仕事は終わらない。これからまだ片付けだ。店長が来た。
「マイカワは免許あんのか?」
歳をごまかしている。免許なんてある訳がない。とっさにウソをついた。
「免停中で今無いんですよ」
「じゃ鷹司に聞いて片付けしちゃって」
フロアテーブルや補助ソファを全て集め、掃除機をかけた後、フロアをモップ掛けする。
トイレ掃除ももちろんやる。
酒やリキュール類、ソフトドリンク等の補給は酒屋の留守電に入れて完了。
最後にステカンの回収。これは許可を取っている訳でもなくもちろん違法だ。
警察も毎日回収しているからうるさくは言わない様だ。昼間にキャバクラの宣伝文句が
満載の看板があちこちに立っていると景観的にも悪い。
ビラ巻きは許可が取れる。1ヶ月毎に更新するような形で警察に許可申請をする。
だいたい回収が終わった時点で朝の4時くらいになる。これで1日の業務は終了だ。
送りに行った木村が戻ってきた。
最後は男子スタッフの簡単なミーティングがある。
「木村と児玉のもやってなかったから3人合わせて歓迎会でもするか」
店長がそう言うと鷹司主任が各店の店長に連絡を取った。
こんな時間から飲み食いするところがあるのかと思ったが意外とたくさんあった。
新人の俺たち3人と各店店長が3人、鷹司主任の7人で飲みに行った。
各店長から決まりを一つ言われた。
女の子との食事、飲みに行く行為は禁止、もちろん付き合うことも禁止。
違反した場合は罰金があると言う。
これについて異議はなかった。もっともだと思う。
例えば同じ店に自分の彼女が居たとする。女の子は仕事と割り切って客の横に
座り、そして仕事をするだろう。この場合、決まって男がヤキモチを焼くに違い
ないと思う。
逆に女の子は仕事と分かっていても店の女の子と話していたりするとプライベートの
時にあの子と何を話していたのか、あなたじゃなければいけなかったのか等、
面倒な事になる。
この決まりについては俺や木村や児玉も納得した。
店を出て解散した時に鷹司主任が寮で飲み直そうと提案した。もちろん3人は快諾した。
鷹司主任は3人の店長達とは違った話をしてくれた。
「俺達は学歴も金も無い。だからここで結果を出して出世をするんだ」
物静かでクールな男と思っていたが、意外に「アツい」男だった。
「ヤンチャ坊主なんだから悪さするのは構わん。ただ独りでするな」
一方的に話して「アツい男」鷹司主任は帰っていった。
俺達はその後、3人で飲み明かしていた。木村が口を開く。
「俺達3人の中で誰が先にボーイ長になるか賭けないか?」
「じゃ木村が1番先に入店してんだから有利だろ」
「でもやってみようよ」
俺達はあくまでお互いをサポートしながら切磋琢磨して出世競争をしようと話した。
俺は胸の中に引っ掛かっている事を2人に話そうと思った。
「2人だけに言っておかなきゃいけない事が1つあるんだ」
木村と児玉は目を丸くして俺の言葉に聞き入った。
「俺…実は16なんだ」
「かー!老けてんな」
「あーそう言うなら俺も履歴書の学歴ウソ書いちゃってるな」
「どうでもいいだろそんな事」
面食らったのは俺の方だった。学歴も歳も関係ない。2人とは本当の仲間になれた
気がした。いつも一緒で助け合ってお互いを尊重しつつ、同じ目標に向かって
やっていけると思った。
「分かったよ。誰にも内緒にしとく」
2人は声を揃えて言った。
この時、木村は19歳で児玉は18歳。今後、この2人とは長い付き合いとなる。
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