警告
この作品は<R-18>です。
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唐突な常連客やっちゃんの提案とアオヤギからの提案。それは信じがたい内容だった。
39 好機
ミリオンを出した翌日、気分良く公休を迎えた。本心はと言うと今日の営業を見たかった。
真価が問われるのは今日以降だからと思っていたからだった。
身支度を整えたが、やっちゃんとの待合わせまでにはまだ時間があった。
「ユイ、飯でも食いに行こうか?」
「じゃそのまま出掛けちゃう?」
「そうだな」
「どこ待合わせなの?」
「ユイの店の近所の寿司屋」
「じゃ駅の裏のラーメン屋行こうよ?」
「寝起きからラーメンね…」
かなり痩せているユイの食事は時間や前後に何を食べたかなんていうのは通用しない。しかも
細身にクセによく食べる。毎晩ではないが酒も飲んでいるが全く太らない。
「らっしゃい!」
ラーメン屋らしい、威勢のいい声がした。
「2名様、カウンターでよろしいですか?」
「結構ですよ」
夕飯時だ。店は混雑していた。
「すいません。後ろ通ります」
「どうぞ」
1人客の男が避けてくれないと入れないところに案内された。
「店長?」
「やっちゃん!」
偶然だった。
「店長の彼女?さすがキレイな人連れてるね」
「ユイです。いつもお世話になってます」
ラーメン屋を出るとユイと別れ、寿司屋へ向かった。
そこでやっちゃんから一つの提案があった。
「店長って独立する気はないんですか?」
「ありますよ。計算上、まだ先ですけどね」
「計算上と言うのは?」
「資金のことです。無駄遣いが祟って、まだ3年くらい先の計算です」
「いくらくらい掛かるもんなんですか?」
「シュミレーションしたら2000万くらい掛かるかなって感じでした。本当は3000万くらいは
持ってないとダメなんですけどね」
「4000万あったら今すぐにでも独立します?」
「どうでしょう?まだ自信が確信になってはいないので、何とも言えませんね」
「じゃ明日、振込むので口座番号教えてもらってもいいですか?」
話が見えない。この人は明日、俺の口座に4000万振込むと言っているようだ。
「やっちゃん?どういうことかな?」
「俺を部下として使って下さい。俺は店長に着いて行きたいと思ってます。誠意は明日、
口座を調べてみて下さい」
疑心暗鬼のまま、コンビニへ行って通帳のコピーを渡した。やっちゃんはこれからキングに
行くと言い、俺は後日返事をするということでやっちゃんと別れた。
20時くらいには帰宅していた。帰ってすぐにユイに先ほどの話をした。
「本当に振込んできたら、条件を聞いてみれば?」
「ちょっと気持ち悪いよな。確かにここ数ヶ月うちに来て、顔は見てれば話してはいるけど
4000万なんて振込まれてもな…」
「私は今か後かしかないんだからチャンスだと思うよ。振込まれてればね」
「かと言ってすぐには辞められないだろう」
「チャンスかそうじゃないか判断すればいいと思うよ。そんな大金借りれる人ってそうは
居ないと思うよ」
ユイはチャンスとして捉えており、もし振込まれていればゴーサインだと言う。
「ちょっと考えてみるよ」
その時、携帯が鳴った。
「マイカワ店長ですか?アオヤギです」
「はいどうも。先日はありがとうございました」
「こちらこそ。早速ですが、店長は今日、時間ありますか?」
「今からですか?」
「急で申し訳ないのですが、弊社、専務と店へお邪魔したんですが公休とのことでしたので」
「じゃ店に参りましょうか?」
「店はいっぱいで数名待ちだったので出てきてしまいました。店から駅の反対にある寿司屋
に居ます。もし良かったらお願いしたいのですが」
「分かりました。30分ほどで参ります」
さっきまでやっちゃんと話をしていた店だ。ユイに出掛けて来ると言い、家を出た。
「いらっしゃい!あれ?忘れ物ですか?」
店の若い衆が勘違いしていた。そう言ってもしょうがない。
「店長!こちらです」
「すいません。遅くなりまして」
「こちらが弊社、専務のイトウです」
「マイカワ店長、初めまして。専務のイトウです」
名刺交換をして席に着いた。
「お休みのところ、呼び出してしまって申し訳ございません。本日は弊社から大切なお話を
したく、ご足労頂きました」
「ハンティングですか?」
「お察しの通りでございます。弊社は30年、この業界に携わっておりますが、このバブルが
弾けてから、組織の再編を考えております」
「と言うのは?」
「店舗数、従業員数、全てを縮小し、洗練された人員、店舗、女の子だけで再構築しようと
考えています。そこで古い体制から脱却する為に役員は私とアオヤギのみを残留とし、
その他は解雇する予定です。そのタイミングで社長は引退する気なのです」
常務のアオヤギが続けた。
「私が専務となり、このイトウが社長となります」
「私に何を期待されているのですか?」
「現場の総指揮として取締役事業本部長にてお迎えしたいと考えております。経営では実質
ナンバー3ということになりますが、私やアオヤギはマイカワさんのやりたいようにやって
頂ければと思っています」
「店舗はどのくらいの規模を縮小される予定なんですか?」
「マイカワさんがいわゆる選抜して頂ければと思います。我々は半分に削減したいと考えて
います。10店舗のプロデュースと管理をお願いしたいという方向です」
「既存店舗の売上はいかほどなんでしょう?」
「各店舗の1日平均で50万前後で月売りは1200万くらいです。純利益は平均100万くらいです。
削減後、経費を考えると平均60万くらい出して頂ければ、会社に利益は必ず出る計算です」
「かなり大掛かりな改革ですね」
「マイカワさんが行った改革を情報誌で目にすることがありまして、その実力を弊社が買い
だと思った訳です。ギャラですが、全店舗の利益の3等分です。マイカワさんが40%です」
「40%もですか?」
「はい。私達が30%ずつということになります。我々の計算上、月に300〜400万がギャラと
なる予定です。」
「どうして私にそのようなお話を?」
「若い世代が居ない弊社では、マイカワさんのような方が必要なのです。弊社社長はもって
あと10年だろうと言っていました。私どものような古い考えでは、その10年も持たないと
判断しています。ぜひ良いお返事を聞かせ願いたいのですが」
「本気で考えて早いうちにお返事させて頂きます。このようなお話を頂き、誠にありがとう
ございました」
今後の俺にとって、とんでもないチャンスが2つも飛び込んできた。
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