警告
この作品は<R-18>です。
18歳未満の方は
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ママのとった行為が許せずにキレた。しかし向かった先はやばいところだった。
29 意地
タクシーで駅に着くと俺とイシハラは無言のまま別れた。
帰宅するとユイが起きて待っていた。目に涙いっぱい溜めながら俺に抱きついた。
「ママね?何かされたの?」
一部始終をユイに話した。
「許せない…」
「ユイ、今回は俺とイシハラが油断した結果がこれだ。俺が後始末をつけるよ。もう女とは
思わない。睡眠薬なんか使いやがって」
「分かった。信じてるから」
「心配させないようにするから、寝てな」
俺は部屋を出た。すぐさまイシハラに連絡を取った。
「おう。グッスリ寝たから起きてんだろ?ママのヤサ調べられっか?」
「分かりました。仲間に調べてもらいます。どれくらい時間もらえますか?」
「なる早に決まってんだろ?休みは今日しかないんだ。今日中にケリつけるぞ」
「分かりました。すぐ折り返します」
「あと何か武器らしいものは手に入れられないか?」
「金属バットくらいですかね。併せて聞いてみます」
30分もしないうちにイシハラから連絡があった。
「店長!ヤサ分かりました。ユミさんに悟られないように聞きました。結構、有名ですぐに
分かりましたよ。詳しくは合流してからで」
「店に来いよ」
店でイシハラと落ち合った。
「住所は?」
イシハラがメモを渡してきた。
「でも店長ここはヤバいっすよ。ヤクザの組長が親代わりらしくて…」
「バーカ。そんなの関係ねえよ。お前は来なくていい。俺一人で行くから。道具は?」
「俺が盾になんなくてどうするんですか?どこまでも着いて行きますよ。道具はナイフ
くらいしかありませんでした」
メモに書いてある住所に行くと大きな屋敷があった。
「いいのか?引き返してもいいぞ」
「冗談でしょ?少し離れたところで降りますか?」
「いや正面から入ろう」
大きな屋敷の正面玄関のところでタクシーを降りた。すると門が自動的に開いた。
「いらっしゃいませだとよ」
俺達は門をくぐった。そこには一人の男が立っていた。
「マイカワマナブくんかね?」
俺は黙って頷いた。
「あいつの言うとおりか。こちらへ、ついて来なさい」
男の言うとおり、ついて行くと大広間のようなところに通された。
「お前は俺のことを知って、ここに来ているのか?」
「アンタのこと?ヤクザで組長だってこと?」
「それでも尚、来たのか?」
「そういうことになりますかね?」
「何がお前をここに来させるまでにさせた?」
「恥辱を受けた。報復したいという意地ですかね」
「そうか。横に居る彼はどうなんだ?」
ヤクザの組長と名乗る男はイシハラにも問い掛けた。
「この人を一人で行かせられなかっただけっす」
「わはは。素晴らしい男だな」
ずっと強張った表情で腕組みをしていたかと思うと、急に笑い出した。
「この度は俺の親友から預かっている男だか女みたいなのが、大変失礼した。本人から事の
一部始終を聞いた。そしてお前らがここにやってくるかもしれないと言う事もな」
俺達は話すのを黙って聞いていた。
「済まないが今回は引いてやってくれ。条件はあいつはもう商売はさせない、店も閉め
させる。そしてお前らの前には一切、姿を見せない。どうだ?」
「それでは意地が通せていません」
「じゃあ、やつを叩き殺したいか?」
その問い掛けには、答えられずにいた。
「そうは思っていないだろうな。即答出来ていれば俺達の世界に居るはずだ」
一瞬の沈黙の後、俺は静かに口を開いた。
「本心は商売は続けて欲しい、店も閉める必要は無いと思っています。商売に関しては、
尊敬しているくらいです。ただ自分の思い通りにならなかったからとケジメがついた話を
掘り返して、自分の欲求を満たした。この行為は許せないと思っています」
「ではどうして欲しいのだ?」
「ワビを入れてくれれば引きます」
俺の言葉を聞いた瞬間、小さく頷くとその男は廊下にいる若い衆に声を掛けた。
「つれて来い!」
ママはとなりの部屋で話を聞いていたようだ。男の横へ座った。
「お前も聞いていただろう?こいつの言うことは筋が通っている。言うとおりにしろ」
「この度は誠にすいませんでした」
男に促され、ママは詫びると頭を下げ、土下座した。
「これでいいのか?」
「誠意見せてもらいました」
「最後に一言言っておく。お前がどんな筋を通そうが本来、俺には関係の無い。ユミからの
連絡が無ければ、お前とも話をすることもなかっただろう。当たり前の話だ。俺がどんな
人間か知っていて、それでも正面切ってうちの屋敷に入ってきたんだ。面子が潰されたの
と同じ事だ」
「え?ユミさんが?」
「お前の話を聞いてやってくれと電話があった。もしもお前の話の内容に納得出来なければ
好きにしていいと言っておった」
なんとユミさんが動いてくれていたのだ。
「お前は俺の条件を飲まずに、まだこいつを仕事上では尊敬していると言った。その言葉は
おそらくお前にとって保身でもなんでもないのだろう。それで話をまとめることにした」
俺達は揉める事もなく、無傷でヤクザの組長の家を出られることとなった。
「どうした?もう納得したんだろう?なら早く帰れ」
「すいません。早く帰りたいのは山々なんですが、足が痺れちゃって…」
歩けるようになった俺達は屋敷を出た。再び門をくぐると自動で門が閉められた。
「イシハラ、メチャメチャ怖かったな。俺チビりそうだったぞ」
「そう見えませんでしたけど。俺もまだ膝がガクガクしてますよ。あの組長のは迫力ったら
なかったですね」
「ああ。でもユミさんにはバレバレだったんだな。お礼言いに行くか」
俺達はその足でユミさんのマンションへ向かった。
「ユミさんが動いてくれてたとは、助かりました」
「ユイから連絡があったよ?同級生だからアタシのところに連絡があるんじゃないかって。
確かにあそこの親父は昔、よく遊んでもらったから私が話した方が効果はあったけどね」
「ユイが…?」
「すごい表情でアンタが出て行ったって、ついて来るなって言われたってね。泣きながら
電話してきたのよ」
「そうだったんだ」
「泣いてるのに必ずアタシのとこに連絡があるはずだって、そしたら親父さんに連絡入れて
くれって頼まれたのよ」
俺はまだまだ一人前になっていない、ただのガキだ。周りの助けがないと今回の暴走も無傷
ではいられなかったはずだ。
俺にはすこしの運とユイが居た。
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