警告
この作品は<R-18>です。
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17 相談
店舗長になれば、今までやってきた事とはまったく関連性のない業務も増えてくる。
営業を回して売上を出し、女の子を稼がせる。女の子のギャラが増えると必然的に男子
スタッフのギャラも向上する。すなわち店の利益につながる。
それだけではないのだ。
男子スタッフは俺を手本とし、仕事が出来る男として尊敬をする。そして俺の分身として
全てに手が回らない俺の代役を勤める。男子スタッフも教育なのだ。
女の子からは信頼される人間でないといけない。フロアは舞台であって、男子スタッフは
裏方である。そして女の子は煌びやかな舞台に立つ女優なのだ。
わがままで難癖もある女の子達から信頼されるのはとても困難だ。
最近、指名客も増え、人気も急上昇の女の子、ルミから相談を受けた。
「支配人、相談があるんですけど営業終わったら付き合ってもらえますか?」
「いいけど?誰かに聞かれたくないならどっかで待ってるか?」
「恥ずかしいので、その方が助かります」
営業が終わり、ある程度の仕事はイシハラや近藤に任せて、俺は店をあがった。待合せの
場所はいつも3人が集まるショットバーを指定した。
「お疲れ様です。すいません。忙しいのに」
「お疲れさん。いいよ。マスター上空いてる?」
カウンターから移動して人目につきにくい2階へと移動した。
「どした?悩み事か?」
「そうなんです。ちょっと聞いてもらえますか?」
ルミが入店する前から付き合っていた彼氏の事だった。彼は昼間、仕事をしておりルミが
キャバクラで働いているのを承知していた。
しかしいつも我慢していた、時間もすれ違ってしまう、辞めて欲しいと言ったきたらしい。
「でも私はやりがいのある仕事で稼げてるし、何より支配人以下、男子スタッフもいい人が
多くて安心も出来る。すごい働きやすい環境なんで辞めたくないんです」
指名客も順調に増えてるが、彼と一緒に居るときは客からポケベルが鳴っても仕事の話が
出来ないと困惑しているという。
「ルミっていくつだっけ?彼はいくつなの?」
「私が19で彼は17で、とび職をして働いています」
同い歳かよと笑いそうになってしまった。
「彼に理解してもらうのは難しいかな。キャバクラじゃなくても水商売で働いていることに
偏見を持ってると思う。ルミの言葉で理解しても感情は理解できないと思うよ」
「別れた方がいいんですかね?」
「それはルミが決めることだよ。俺は今しか出来ない仕事だと思ってる。これでルミが40、
50になって同じくらい稼げるかっていうと難しいよね?今の彼と今のルミを考えて結果
を出してみれば?」
「ですね…」
「これでルミが彼を取ると言って店を辞めてしまってもしょうがない話なんだよ。俺個人
としてはルミはこれからもっとって思ってたから惜しいけどね」
「出来れば別れたくはないと思っています。ただ店を辞める気はありません」
よくある話だ。付き合いたいからとキャバクラをやってることを了承して付き合う。しかし
時間が合わなくなって、彼は睡眠時間を削る。
それも最初のうちで面倒になってくる。女が仕事が順調になれば、稼げるようになればなる
程、ヤキモチといった感情がプラスされる。
悪い方へ発展すると男が暴力に訴えるのが傾向的に多い。自分の彼女が他の男相手に仕事を
していると、変なところで「男」を出してしまうからだ。
これが全く逆の場合でも同じことが言える。ルミ昼間の仕事をしていて、彼が売れっ子の
ホストで合った場合、ルミはどのような気持ちになって、どんなことを彼に要求するか。
普通は彼のような台詞が出てくるだろう。
また彼が「ルミの稼ぎも俺が作る」と言っても裏付けがない台詞だろうし、現段階のでの
ルミは金よりも仕事に対してやりがいを持っているだけに説得力に欠けるだろう。
付き合ったときにキャバクラで働いていることを了承してしまっているだけに彼の立場は
弱いだろうと思われる。
結局、ルミが彼を想っていたとしても今回に限っては別れることになるだろうと想った。
「すいませんでした。長々と相談に乗ってもらったりして」
「これも仕事の内だよ」
「支配人の彼女は仕事何されてます」
「キャバクラで働いてるよ」
「ヤキモチ焼いたり焼かれたりってあります?」
「いやお互いに仕事のプロだと思ってるからそれは無いかな?俺も水商売してるだけルミの
彼よりは理解が出来るところ多いしね」
「彼女ってユイさんですよね?」
「何で知ってんの!」
「この辺りの業界ではユミさんユカさんユイさんと言えば有名人ですよ。容姿も良ければ、
人気もあって人柄も良いって」
「そうなんだ」
「いいな。支配人とユイさんの関係って。若くて仕事が出来て頼り甲斐のある2人だもん」
「俺だって仕事に関しては必死だよ。ユイに関しては俺がイチコロだっただけ」
「ユイさんが支配人に一目惚れしたって噂ですよ?」
「まあ俺の話はいいじゃない。あとは男と女の話だからこれ以上は言えない。ルミもよく
考えて彼と話してごらん。結果がルミにとって1番良いと思えるならどんな結末になっても
賛成するからさ」
そう言ってルミを帰らせ、帰宅することにした。
家に帰るとユイがご飯を作って待っていた。俺はルミの相談内容をユイにも話した。
「私だってヤキモチ焼くよ。今回の2人だけで話をしてたってのも本当は嫌だもん」
「ごめんな。これからちゃんと連絡するようにするよ」
「知ってる?私マナブくんの連絡先知らないの?」
「ウソ?」
「私の教えた時、何て言ったか覚えてる?」
「教えたくなったら連絡してって」
「教えたくないから今まで連絡してこなかったんでしょ?」
「いやそうじゃなくて2回目逢ったときに付き合って、その次の日から一緒に住んでたから、
うっかりしてたよ」
男と女。世の中には二種類しか居ない。組み合わせは無限に近く、何が起こるかわからない。
だから面白いのかもしれない。
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