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決算前の取締役会を開いていた。空位になっていた専務職をイシハラに決め、新たに常務職に小松を据えた。
139 損保
取締役会で役員報酬と役員の変更を決定した。

代表取締役に俺、専務取締役にイシハラ、常務取締役に小松、取締役にシズカと親分とした。
役員報酬も変更し、ユイの専務給をイシハラと小松に振り分け、親分名義で役員報酬を捏造し、
裏金作りをすることにした。取締役会は、シズカと親分は出席しなかった為、委任状を添付させ
議事録を作成した。そして決算を迎えた。

「今回は、ユイの喪中ということもあって、旅行へは行かない」
「はい」
「とは言え、去年度との売上は各店で上下したものの、会社としては、若干の増益となった。
 俺は不参加でいいから、従業員をどっか連れて行ってやってくれ」
「俺も不参加ではダメっすか?」
「私もボスが行かないなら…」
「誰か仕切らないとしょうがないだろ?」
「グループ全体で既知なことですから、今年は喪に服すとして通達しましょう」
「利益はどうする?」
「設備投資しませんか?」
「構わないけど、例えば?」
「送迎用の車の購入と事務所及び各店舗にパソコンの導入ってのは、いかがでしょう」
「今年はいくらくらい残る計算なんだ?」
「2000万ちょっとですね」
「増えてないか?」
「今年はイニシャルがなかったのでランニングのみです。接待交際費が満額までいったくらい」
「そうか。送迎車は原田達に1台ずつで3台か?」
「そうですね。管理は彼らに一任します」
「いいよ。パソコンと合わせて見積取って」
「分かりました」
「小松、後さ損害保険業をしたいんだけど、調べてくれる?」
「分かりました。なぜ損保を?」
「ダラダラしてたときに、グループの各店舗を回ったんだよ。従業員や店も入っておいた方が
 いいかなって思ってさ。どうせなら会社の部署の1つとして運営しようかなって」
「久しぶりの新規事業っすね!」
「やるなら付帯事業ですね」
「何が必要か調べてくれ」
「あの…」
「どうした?」
「私が持ってます。損害保険募集人という資格で、しかも特級を…」
小松が大学時代に銀行か保険業界に行くか迷っていたという。そのときに資格だけはと思い、
代理店をいつかは開業したいと考えていたそうだ。小松の持つ特級とは、普通、初級、上級の
さらに上で、最上級の資格だといい、取り扱える保険の種類、マージンも格段に違う話だ。

「じゃ小松に任せていいかな?」
「はい、分かりました」
小松をハイエナジーから異動することとした。事務所勤務とし、代理店を事務所に設置した。
「でも事務所の人員が多過ぎませんか?」
「2人の事務員が辞めちゃうんだよ。以前から言われててな。考えてたところだ」
「そうなんですか」
「イシハラはハイエナジーで人員が足りなかったら、補充していいよ。それとマコも事務所に
 働きに来ていいからさ」
「店は大丈夫です。マコは是非、お願いしたいですね」
「子供は、1歳になった?」
「なりましたよ。1歳と3ヶ月です」
「子供も連れて来ていいよ。給料出してやるよ」
「ありがとうございます」
ハイエナジーは7人から6人へ、事務所はアルバイトの2人から小松とマコで会社の庶務業務と
損保業務を従事することとした。

これによって株式会社マイカワは、店舗プロデュースでハイエナジー、託児所キッズスペース、
日焼けサロンのマーメイド、美容院のディープスカイブルーの本店、2号店、出張サービスに
加えて、全店舗と全従業員を対象とした損害保険業に参入することとなった。

「あー、みんなっていうかお前ら2人しか居ないけど、伝えとかなきゃいけないことあったわ」
「何すか?」
「シズカに子供出来た」
「マジっすか!」
「おめでとうございます!」
「予定日は?」
「3月上旬って言ってたかな?女だってよ」
「そういうことは、ついでみたいな言い方しないでくださいよ」
「ボスはシズカさんを受け入れたんですね」
「そんな偉そうな問題じゃないけどさ、いつまでもユイだ、思い出だとか言ってるのも可哀相
 と思ってさ。半年前に初めて男女の仲になったんだけど、ユイの遺影の前だったからさ」
「罪悪感に苛まれました?」
「正直、かなりな。自分が偽善者かなって思うところまでいったよ」
「その辺りがボスが1番、元気無かったときですよね」
「自分で自分が嫌いになったって、初めてだったからな」
「シズカさんの男が居たって話、聞いたことなかったから、念願叶って良かったんじゃ?」
「ああ、俺が初めての男だ」
「ええ!」
「世の中にあんな美人のバージンなんて、残ってるもんなんですね」
「そういう表現するな」

「そろそろ小松も嫁さんもらうか?いくつになった?」
「私はボスの6つ上で専務の4つ上ですから27になります」
「小松さん27なんだ」
「小松にはシズカが良いと思ってたんだけどな」
「ボスに好意を持っていたのは、みんな知ってましたから」
「ルミやヨウコじゃどうもな。美人で良い女なんだけどな」
「ユキも良い子なんですけどね」
「別に身内じゃなくてもいいか」
「今はボスと専務と居る方が楽しいですよ」

早速、グループの全スタッフに対し、喪中である故、慰安旅行は行わないことを通達した。また
事務所のレイアウト変更を行い、代理店業務と事務所業務を一括した。そして決算を迎えた。

3周年記念イベントは、イシハラが企画した、仮装パーティを3日間行った。仮装用の衣装は、
キャストが個々に持ち寄った為、コストが掛からず、売上は平均200万を記録した。

損保業務が新年度からスタートし、社員の自動車保険と全店舗の保険、キャストやアルバイトも
かなりの人数を入れた。小松が特級を持っていた為、手数料収入はかなりの金額だった。

俺個人としては、営業に顔を出すようになり、キャストやスタッフのフォローや常連客などに
挨拶回りをするまでに戻っていた。

株式会社マイカワの4年目のスタートも順調だった。


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