警告
この作品は<R-18>です。
18歳未満の方は
移動してください。
対マルサとの対応策を進めていた。休みの日、自宅から出掛けようとしたそのとき、奴らはやって来た。
109 令状
2周年記念イベントが大成功のうちに終了した。目標としていた2日間での売上380万を大きく
上回る、初日242万、2日目238万、トータル480万もの売上が計上された。
最高の形でイベントを終え、またその様子がナイレポに掲載された。ハイエナジーにとって
追い風になることは間違いなかった。
久しぶりに予定のない店休日はゆっくりと15時に起床した。ユイを起こさないようにリビング
へと向かった。ちょうどシズカが起きてきたところだった。
「ボス、おはようございます」
「シズカ、おはよう」
「コーヒー入れますね」
「さんきゅ。体は辛くないか?」
「ボスに制限されて金土日しか出勤させてもらってないですからね」
「そうそう、3店舗目がなかなか見つからなくてな。自由が丘じゃないから情報無くてよ」
「大丈夫ですよ。はい、コーヒー」
ドタドタとルミが階段を下りてきた。相変わらずシャツとパンツ姿だ。
「おはよう、ルミちゃん」
「しーちゃん、ボス、おはよ…」
「何だお前?声がガラガラじゃねえか」
「営業中、騒ぎ過ぎちゃった…お風呂入らせて」
「おうよ」
ユイとヨウコも起きてきた。
「ボス、イベントで頑張ったんだから、どっか連れてって」
「確かにみんな頑張ってたな。いいよ、どこがいい?」
「その前にお風呂入る」
「おいヨウコ!今、ルミ入ってるぞ?」
「面倒だから一緒に入る」
「ユイも!」
「さすがに狭いだろ?」
「じゃユイちゃん、私と一緒に入ろ」
「うん、いいよ」
「じゃ俺も?」
「ルミちゃんとヨウコちゃんと一緒に入れば?」
「それはいい…」
1時間ほど4人の支度を待ち、健康ランドに行く予定となった。
「じゃ行くか」
「ほーい!」
玄関を開けたそのときだった。
「マイカワさん?」
とっさに玄関ポーチに立て掛けてある傘を握った。
「怪しいものではありません。国税局の者です。ちょっとお話を聞かせて頂きたい」
「ここじゃ人目につくから中へ」
黒いスーツを着た男や女が10人ほど玄関前で立っていた。仕方なく、部屋の中へ招いた。
「同居の方もちょっとお時間をください。リビングから出ず、携帯で外部との連絡もせず、
しばらくお時間をください。こちらが捜査令状です」
俺は小松に渡された弁護士の名刺を差し出した。
「ずいぶん準備が良いんですね」
「あれだけ派手に自由が丘で、俺や会社のことを聞きまわってたら、俺の耳にも入るよ」
「マイカワさんには所得税法違反の容疑が掛かっております」
「言いたいことがよく分かんねえから、弁護士に連絡させてもらおうか」
「正当な権利です。どうぞ」
小松に渡された名刺の番号へ連絡した。小松が手を回していたらしく、すぐにこちらへ来ると
言う。弁護士が来るまで何も話すなとのことだった。
30分もすると弁護士が会計士を連れてやって来た。国税局の担当と話をしてくれていた。
所得税法違反。俺の容疑は、銀行からの融資を目的とした粉飾決算だという。これは明らかに
おかしい。我社は粉飾する必要もない利益を出している。小松の付き合いで銀行から融資を
得たに等しい。その銀行へも必要がない為、10ヶ月で返済しているくらいだ。
「帳簿内容を監査していますが、そのような事実はありません」
会計士の担当が語気を強めて、反論していた。
「身柄の拘束は絶対に許されない。どのように礼状を執行したか分からんがこれは越権です」
会計士と弁護士がやけに強気だ。
俺の法外行為は、白銀さんとやっている『トイチ』の金貸しくらいだ。それがバレるはずが
なかった。あとは数回行った、回銭だ。あれは当の本人が逮捕されている。
「あくまで任意ですが、事情聴取をさせて頂きたい。ここと事務所の家宅捜索は強制執行と
させて頂きます」
「事情聴取ね。行ってもいいよ。そっちが赤恥をかかなきゃいいけどね」
「マイカワさん!それはよくありません。取調べは密室なんです」
「先生、大丈夫ですよ。俺は何もしちゃいませんから。事務所の方を立ち会ってください」
「事務所と家宅捜索は私の立会いでやってもらいます」
俺は国税局の局員と共に国税局査察部へと向かった。取調室では弁護士が言っていた通り、
数人の取調官と密室の中でのやり取りとなった。しかし数分もすると事態が急変する。
「マイカワさん!間に合ってよかった!」
弁護士が仲間に連絡を取り、ここへやって来させた。捜査官による違法、不当な取調べや
虚偽の自白による冤罪を防ぐ為だといい、立会いとビデオ撮影の下、取調べをしろとのこと
だった。
8時間にも及ぶ、取調べの末、身柄の拘束が解かれた。
「先生ありがとうございました。助かりました」
「何か大きな力が働いていたのでしょうか。やけに向こうも潔かったです」
「今後、何かありそうですかね?」
「いえ。何も無いと思います。ただ何かおかしいと思いました」
「深く考えるのはよしましょうよ。こうやって無罪放免になってるんですから」
「もし賠償請求をお考えなら、相談に乗りますので」
「その気になったら連絡します。今日はありがとうございました」
「ボス!」
「よう!」
ユイが駆け寄ってきた。その後ろにはイシハラや小松、シズカやルミ、ヨウコの姿があった。
「何もされなかった?大丈夫?」
「あはは。大丈夫だよ」
「ボス、お勤めご苦労様でした」
イシハラの掛け声に合わせて、ルミとヨウコが頭を下げた。
「お前ら、ふざけんな!」
「ボス、出てこられて良かったです」
「小松が弁護士に話をしといてくれて、助かったよ」
弁護士や会計士がおかしいと連呼していたことを小松に告げた。
「私も例がないことだと思います。調べて報告します」
「いや、いいよ。弁護士もこの先、何も無いって言ってたからさ」
「御意!」
確かにおかしな出来事だった。逮捕、拘束する目的ではなかったのだろうか。あまりにも
簡単に引き下がったのも気になる。とにかく国税に1日貴重な休みを奪われた。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。