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3人の意見が始めて2つに割れた。それは殴り合いまで発展してしまう
10 喧嘩
マコと別れてから仕事に打ち込んだ。新しい企画を考えたり、スカウトに出たり、
積極的に女の子と話をして店の更なる向上を目指していた。

あれから1週間、ジャックの店長の話ではマコはちゃんと仕事に出て来ているらしい。それに
関してはホッとしているのが素直な意見だ。

「お疲れ様です。木村ですけど主任お手すきですか?」
「お疲れ。俺だけど?」
「終わったら今日空いてます?」
「いいよ。児玉は?」
「一緒です。じゃ後程」
こんな時だ。俺も久しぶりに集まりたいと思っていた。

いつものショットバーに集まった。俺が店に入ったときには木村と児玉はすでに来ていた。
「ゆっくり話するの久しぶりだな?」
「あいつ等から聞いたよ。マコと別れたんだって?」
「ああ。ジャックの店長にもバレてた感じだったから俺から話した。お前らの事は言って
 ないよ。お前らはまだ付き合ってんの?」
「ごめん。あの日、地下ガレージのところで話を聞いちゃってたんだ。俺達も考えなきゃ
 いけないと思ってさ。木村は別れるって。俺は店長に話して付き合おうと思ってる」

児玉はアサミと付き合うらしい。木村は俺のように話すといい、それぞれ今回の件にケジメ
を付けるとの事だ。俺は店長との話を少しした。
「店長も言ってた。あの子達が活き活きしてるって。仕事も頑張ってるってな。根底に俺の
 存在があったからだって。でも今の俺には必要無い。流されてたと思う」
「お前にとっては遊びだったのか?」
「必要としてなかったと思うよ。逢いたいと言われて逢って、好きと言われて抱いて。隙間
 を埋めてただけかもしれない。だからどうしていいか分からなくなったのは事実だよ」
児玉が立ち上がり、声を荒げた。
「木村もそんな感じで一緒に居たの?性欲の処理だけか?」
「バカ!座れよ。お前デカイ声でそんなこと言うな」
俺が児玉の腕を引き、座るように促した。
「離せよ。お前ら最低だな…」
木村が児玉の胸ぐらを掴んで店の外へ連れて行った。
「お前に最低だとか言われる筋合いはねえよ。こいつはちゃんとマコと話をして終わらせた
 だろ?毎日店長にマコが来てるかこいつは確認してるよ!」
木村が児玉に叱咤した。木村が立て続けに話す。
「お前は仕事と女と両立出来んのか?俺はマイカワの決断に賛成だと思ったから同じ行動を
 する。俺らなんかまだまだだろう?」
掴んだ木村の腕を振り払い、児玉が木村の顔面を殴った。
「キレイごと言ってじゃねえよ。責任も取れねえのかよ」

その後、どっちがいい悪いで結局3人で殴り合いのケンカになった。

Yシャツのボタンはちぎれ、鼻血を流し、顔を腫らして俺達は座り込んでいた。
「児玉タバコくれよ。俺のどっか行っちゃったよ」
「3本だけあるな。木村もやる?」
「くれ!」
児玉が俺達のタバコに火をつけた。
「おい!木村、前歯どうした?」
「あー差し歯が!探すの手伝ってくれよ」
もう夜が明けるという時間に異様なカッコをした3人は大笑いしながら木村の差し歯を探した。もちろん見付からなかった…。完全にご愁傷様だ。

寮に戻って俺達は話し合った。将来のビジョンがぶれないようにいつも刺激し合って切磋琢磨
すること。3人のうち誰かが踏み外すような事になったら、他の2人がフォローする事。

俺達の絆を更に深めた。そんな中、木村が静かに口を開いた。
「なあ俺達さ、寮出ないか?自立する意味も含めてよ」
「環境も変われば気分が変わるからいいかもな」
「てか俺、部屋借りれないんじゃ?」
「あーお前16歳だっけ!忘れてたよ」
「いや17になった。さっき」
「あ?俺も今日誕生日だけど?」
「え?俺も明日誕生日なんだけど?」
俺と児玉が誕生日が同じで木村が次の日だった。何の巡り会わせだろうか。何だか笑えた。
「ところでどうする?お前らは地元だろうから最悪自宅があるんだろうけど」
「前に聞いたんだけど、風俗営業法で営業してるトコで働いてるやつって保証人付けても
 マンションとか貸してくれないらしいぜ?」
「社長に相談してみっか?」

「いや木村はいいからさ」
「何でよ?」
「その前にやらなきゃいけない大事なことがあんだろうが」
「あ!差し歯直さなきゃ」
「空気が漏れてて聞き取りにくいんだよ!」

後日、社長に連絡を取ると時間を取ってくれた。そして事情を話し、寮を出たいが何か良い
方法はないか訊ねてみた。
「寮を出るというのはいいことだな。また違う責任感も出るだろう。周りにそういう関係の
 人は居ないけど聞いてやるよ」

その日の営業が終わると俺達は社長に呼ばれた。ゴルフ仲間でマンションのオーナーが居る
という。保証人については社長がなってくれるとのことで貸してもらえるという。
しかし1つしか空きが無い。社長は3人で話し合って決めろとのことだった。
「マナブが入っていいよ。俺達なら何とかなるから」
「そうだな。お前が借りればいい」
俺は2人の言葉に甘えることにした。

敷金や礼金、部屋に最低限のモノを揃えたところで貯蓄が尽きた。
店までは徒歩で10分と掛からない。社長も良い物件を教えてくれた。自分の根城を持って
気分は一新、また違う意味で責任感が出て、さらに頑張れる気がした。

引越ししてから半月が過ぎ、恒例の月例ミーティングが行われる。



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