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すべてにおいて完璧だったはずの倉知美和子。けれど、彼女は決して満たされてはいなかった……
第23話 仮面の下
「美和子はプライドが高く、知的に偏向したところのある生徒でした」
 高野禎文は言った。
「ものごとを感情的に受けとめることが苦手で、それを知識や理論に置き換えて自分自身を納得させているように見えました」
「抑圧されたエロスが向かう先は、権力への意志です」
 向坂は分析的に答えた。
「愛を失った者が、自らの価値をそこに見出そうとする心の働きのあらわれです」
「そう」
 高野は頷いた。
「だから彼女は医学部へと進学した。強がって自らの傷を覆い隠そうとするかのように……ね」
 美しい容姿、明晰な頭脳―――すべてに恵まれながら、同時にすべてから見放された一人の少女―――倉知美和子。
 そのさみしげな、けれどいじましくも気高い横顔が、瞼に浮かぶようだった。
「保健室だけが彼女にとっての安らぎの場所だった。あの子に友人はいなかった。それほど深く彼女は傷つき、自身で自身を疎外していたのだ」
 教師としての自分を取り戻したかのように、高野禎文は言った。
「それであなたはどうしたのです?」
 向坂は訊いた。
 ここが攻め所―――直感がそう囁く。
「倉知美和子を救おうとした―――ちがいますか」
「美和子を救う? そんなことはできません」
 高野の顔が奇妙に歪んだ。
 笑い―――だろうか?
 不気味で不快なそれ……
「そもそも救いとは何なのか―――人間の最終的な自己実現というやつが、真の意味での救いであるといえるのか―――」
 高野の周辺が奇妙に薄暗く見えた。
 まるでそこだけが落ち窪んでいるかのように。
 高野の顔に、それまでに見たことのないような表情が貼りついていた。
 そう、禍々しく、奇妙にねじれたそれ―――
 仮面の下の素顔―――そんな気がした。
 そう、すべては仮面、それを取り外した時、人間は……

 これが人間というものの本来の素顔なのだろうか?

                                    第23話 終
仮面を失った時、人はどんな表情をするものなのか……。人生の真の「意味」とは?

性と実存の問題を問いかけるグラビアアイドルの日記、ブログでも取り上げさせていただいています。よければ見て下さいね。リンクは欄外にあります☆ たま〜に新刊情報も載せているので、気がついた人は本屋さんへGO!(2009年4月以降ですけど……「Mother」が読めるなら、新刊ともウマが合うと思います☆)

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クリヤマアイコさんある意味、一部JCの間で囁かれた都市伝説です……