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タイトルはHですが、中身は違います。
第9話:セックスレスは体に悪い
――世を象創(かたちづく)りし十一の要素あり。
――それは即ち火・水・土・風・氷・雷・闇・光・金・木の要素なり。

――十一要素の化身にして具現体、また森羅万象にして数多を司る存在あり。
――その者、力強き(まなこ)にて世界と我々を見据え、比較無き知恵によって我々を導かん…また逞しき豪腕によって地を創り、また雄大たる翼によって空を創らん。

――彼らを誉めよ、崇めよ、讃えよ…さすれば我々は黄金郷へ辿り着く。
――しかし心せよ…その者、不可侵にして決して侵すべからず。
――教えを弁えぬ者は一時の優雅と引き換えに一族三代に渡り、世に有り得し全ての災いを被る。

――努々(ゆめゆめ)忘れるなかれ。
――その者は竜。
――気高き名は竜。

――決して妬んではならぬ、決して疎んではならぬ。
――掴もうとしてはならぬ、得ようとしてはならぬ。
――彼らは見ている…我々の言を、動を、心を。
――ただ忘れず生きよ、ただひたすら敬虔に生きよ。
――生きて待て、彼らの加護を、心開かれる時を。
――彼らが自ら心を開く時、開かれし者は笑みを湛えて覇道行くだろう。


――我々が親愛なる子供らに、いつか輝かしい…竜の心遣いがあらん事を。

願い(エクスペリア)の書、第1節第1項:リュウ】より


***


アイザー's view

――神はこの世界を創った時、自身が行う最後の仕上げに卵を1つ、自ら産み出してこの世界に遣わした。
卵は幾世霜の時を経て孵り、11匹の竜が生まれた。

――11匹の竜は互いに自身が司る力を駆使し、海を大地を…山を川を…そしてそこに住まいし命を造った。
――彼らは母たる神の代行者だったのだ。
――やがて悠久の時を経て彼らが眠りにつく時、世界は命で満ちていた。
――彼らは最後に自身の分身と…皆の力の結晶を、ヒトとして産み落とした。

――こうして世界は竜の手を離れ、各々が命運を歩み始めた。




「…か」

俺は手にしていた本を閉じ、表紙を眺めた。
表紙には金箔押しで『新訳・願いの書』とある。

この世を創った神がこの世界をまとめる為に11匹の竜を造り、その竜達が今のこの世界を作ったとする神話を記した書物『願い(エクスペリア)の書』はあまりにも有名だが、俺が読んでいたのはその神話を分かりやすく、子供でも分かるように別解釈で翻訳した、言わば絵本の類だ。

「11匹の竜が司るは、現在行使されている魔法の主たる属性…つまり魔法はその竜が作った…と、なるほどな」

先日の一件以来、部下一同が凄まじい勢いで魔法の修練に励んでいる。
被害にあったノーリスの奥さんと、同時に見つかった多数の被害女性は全員まとめてスレイアの魔法『復活の抱擁(リライブ・ハグ)』によって忌まわしき記憶と体の傷を無くし、ペリンバルが持つ食料を食べて飲み…エルミタ絹の上等な衣服を着、全員が全員立ち直った。
あの一件で魔法威力+60%、魔法効果範囲+30%と言う補正がかかった状態で放たれた、俺が仕える相手、ルナ様の魔法『蒼雷の超電磁砲ブルーサンダー・レールガン

あんな凄い魔法なら自分も使ってみたい…と言うのが実態。
まぁ俺も立場として部下に魔法で劣るわけにもいかないし、これまで魔法なんざ自身から進んで学ぼうとした事が無いとはとても言えない。
だからこそ原点へ帰り、この国…いやこの世界の歴史から学びなおそう…そう思ってこの本を手に入れたのだ。

「しかし…俺にはまず教養を、いや知力を高める為の教本が必要なようだ……教本、いやいっそのことエチュード殿に、あ…ルナ様に直伝してもらうと言うのもアリだな…エチュード殿は堅苦しそうだ」

魔法を覚えるのに立場は要らぬ。
必要なのは柔らかな頭に固い意思…以前自分に風魔法を教えてくれた同僚、マイトの言葉だ。

「…我が体内に潜みし、顕現出来し内在魔力に告ぐ…轟きて集い、蒼き万雷となりて敵を穿て…狙え、凛と煌く視線は狂い無く闇を切り裂く――蒼雷の超電磁砲ブルーサンダー・レールガン!!」

嘆きの穴で見た実物をイメージしながら右手を突き出し、四苦八苦して覚えた詠唱文を発声してみたが、手が一瞬魔力に包まれただけでウンともスンとも言わない。
…当然だろう。
ルナ様の内在魔力先天属性が雷だから放てるのであって、先天属性が風である俺に使えるはずもない。
ましてや『蒼雷の超電磁砲ブルーサンダー・レールガン』は雷属性攻撃魔法の上位魔法…例え俺が後天発芽で雷属性魔法を習得したとして、あのランクの魔法は無理だ。

もっとも?あんな長い詠唱文を(そらん)じれる自信も無いんだが。

「にしてもこのランクで子供にも分かりやすいと謳うのは、少々おこがましくないか?値段も200レブリス(*1)と割高だし」

この世界において一般家庭に必要な生活費の平均は5ドルグ。
もちろん食費や服飾代、その他趣味嗜好…全てを補ってこの金額だ。

俺は閉じた本を手の中で転がしながら、そんな事を呟いていた。
そしてそろそろ休憩時間が終わるなと城の上で輝く太陽を見た時…

「―……さいっ」

俺の耳に、間違いが無ければ女の…それも悲鳴が聞こえた気がした。
俺は本を懐に押し込み、声がした方向へ颯爽と駆け出した。


***


「ったく、どこのオークだ…女を攫って犯し、子供を孕まそうとしていたのは」
「全くだよ…お陰でどこの遊戯屋も軒並み営業を中止してやがる」
「溜まった鬱憤はどこで晴らせばいいんだよ!?画集なんざ高くなる一方だし、未亡人の家には衛兵まで張り付いてやがる」
「あ~あ、孤児でもガキでもいいから1発ヤらせてくれねぇかな…モノによっちゃ1ドルグ出したってイイぜ?」

昼食時で混み入った定食屋から4人のオーガが出てきた。
彼らオーガはオークの上位種で、全てにおいてオークより上の能力を持つ。
もちろん性欲も精力も。

彼らは名をビービー、オッティ、マーチ、エルグランドと言い…かつて、仲間全員の名前の頭文字を並べて『BOMES(ボムズ)』と呼ばれその昔恐れられた元盗賊の一団。
彼らは元々5人だったが、Sの字を担っていた仲間…ソリオが捕縛されて以来盗賊家業から足を洗い、今ではこの街の土木作業員として汗水流す健全な生活を送っている。

彼らは何よりセックスを最大の快楽としており、盗みに入った先に女が居れば仲間全員で徹底的に犯してきた。
だがそれもソリオが捕縛されて以降押し入る事も止めた為、最近では遊戯屋にて名を重ね、倍額を払って生本番に勤しむのが楽しみだった。

遊戯屋とは我々の世界で言う『ソープランド』の事で、ここフィアルダでは己の体を売ってまで生計を立てる者も多く…多くは女性従業員が男性客を相手取り、性的サービスを施すのだが、この街の遊戯屋には逆のパターン…つまり男性従業員が女性客を相手取り、性的サービスを施す店もある。
なお遊戯店は国から営業を認められているし、従業員に関しては全て国が管理している。

基本的に伝染病を懸念して生本番…つまりぶっつけ本番、非避妊のセックスは禁止されているが、店側としても贔屓の客にはサービスをしたい…と言う事で、従業員の要望で生本番に至るのを黙認している店も多い。


だが先日、ノアフォレストの南にある洞窟で誘拐・監禁・婦女強姦・殺人・殺人教唆・死体遺棄と言うとんでもない罪を犯したオークが捕まった。
これを受け王家は国内の全遊戯屋に一時的にだが、店舗維持費及び従業員給与補償の営業禁止命令を出したのだ。
これにより一部(=既婚者)を除き、健全な性欲解消口を絶たれた国民はこぞって画集…つまりエロ本を買い漁り、それに伴い画集の値段は急激に高騰…裏取引にもなると市場相場の4倍相当で取引される場合もあると言う。

このボムズも…もといボムの4人もその『健全な性欲解消口を絶たれた国民』で、ここ数日は自家発電…つまり自慰行為で己を慰めていた。
もちろんオカズはまだ見ぬ絶世の美女…ちなみにリーダー格ビービーはルナにぞっこんで、昔見た彼女をネタにしている。

そんな鬱蒼とした彼らの前に、突如とんでもない事態が訪れた。

「おい、ありゃ…なんだ?」

今晩は脳内のルナにどんな奉仕をさせようかと考えていたビービーに、オッティの訝しげな声が聞こえた。

「何だよオッティ、俺は今脳内の……あ?」

そこには女がいた。
目には少しキツイぐらい明るい黄色の髪を肩甲骨までまっすぐ伸ばし、キョロキョロと辺りを見回しながら歩く不審な女…いや少女。
彼女は簡潔な衣装、今で言う薄手の白のチューブトップと、白のショートスパッツのみを身に付け、あとはマントと首の白いレザーチョーカーのみ。

そしてそのチューブトップは胸に押し上げられ、先端には2つの桜色をしたぽっちが浮き彫りになっている。
またショートスパッツのクロッチはワレメの形にクッキリと食い込み、純白だった生地は湿って下のワレメが薄く透けている。
それ即ち…

「ノーパンノーブラ…しかも乳首は立ってるし、クロッチはずぶ濡れじゃねぇか…なぁ?マーチ」
「全くだ…それに見ろよあの顔と胸、とんでもねぇ美人だしすんげぇ巨乳…尻は小振りだし、俺らオーガ引けを取らぬ身長……ソソるねぇ…そうは思わねぇか?エルグランドよ」

彼女の身長は目測で185cm、3sizeは上から推定で90/60/82と言った所か。
その見事なプロポーションに一同は舌なめずりをする。

「同意見だぜ、いひひひ」

ここは幸いにも路地裏…昼食時ならば人っ子1人通らない。
ましてや相手は女1人に対しコチラは4人…ボムの面々は、股間のイチモツが勃起するのを抑えられなかった。

盗賊家業からは足を洗ったが、ここ最近は満足にイッてもない。
そんな俺達の前にはネギとナベまで背負ったカモが。
据え膳食わぬは男の恥…例えそれが強姦罪に問われる物であっても。

彼らは彼女を襲う事を決意した。
そして決意さえすれば行動は素早い。
ボムの面々は各自がそれぞれ小振りのナイフを取り出し、その女の周囲をグルッと囲む。

「待ちなねぇちゃん」
「……?」

ビービーがありきたりなセリフを発しつつ周囲を囲み、同時に彼女の進行方向を塞ぐ4人。

「な、なんでしょうか?」

ともすれば聞き取れないほど小さくか弱い声で少女が言った。
表情は怯え、体は小刻みに震えている。

「おねえちゃんさ、娼婦か何かだろ?」
「俺達今めちゃくちゃ溜まっててさ…」
「相手してくんないかな?おっと、誰かに助けを乞おうなんて浅はかな考えは止めておけよ?」

エルグランドは言いつつナイフをチラつかせる。
そのセリフでビービー・オッティ・マーチもまたナイフを少女に見せた。

「ぁぅ…わ、私は…娼婦なんかじゃ……急いでいるので通して欲しいですぅ…」

胸の前で手を組み、自らを通すよう伝える少女。
組んだ腕でその大きな胸が形をムニュムニュと変える。
ボムの面々の喉が大きく鳴る。

「ゴチャゴチャうるせぇ!」
「ひぅっ!!」
「お前は黙って犯されりゃいいんだよ!俺達にな」
「だいたいアンタも誘ってるんだろ?こんな真っ昼間から路地裏で1人」
「しかもそんな見事な乳を下着で隠しもせずぶるんぶるんさせやがって…ノーパンだしなぁ?」

悲痛の訴えを逆ギレでいなし、自分たちが何をするつもりか下品に告げる。
少女は怯えた表情でその場に座り込んでしまう。

「嫌です…来ないで下さい、触らないで下さい、犯さないで下さい…」
「来るな触るな犯すな?無理な話だ」
「諦めなお嬢ちゃん」
「そんな格好で路地裏を一人歩くアンタが悪いんだよ」

少女の訴えを無視し、ジリジリとにじり寄る4人。
少女は座り込んだままゆっくりと後退する。
だがそれも結局は功を成さず、彼女の逃げ道を自身で絶ってしまう結果となった。

「見ろよ、自分で壁際まで誘ってやがる」
「へへっ…いいぜ?たっぷりと犯してやるよ」
「アンタが自分で来たここは周囲に家も店もない」
「誰も助けに何か来ちゃくれないさ」

いよいよ逃げ道がなくなった彼女に対し、肉欲に染まった視線を向ける4人。
特にリーダーであるビービーはもうズボンを脱ぎ、ギンギンにいきり立ったペニスからカウパーを大量に滲ませている。

「嫌ぁ…誰か…助けて下さいっ」

彼女が叫んだ…その時だった。

「おいコラそこの変態オーガ共、こんな路地裏で女の子襲おうとは…不埒にもほどがあるぜ?溜まりすぎてんじゃねぇか?」

彼女が背にした壁の上から、男の声が降ってきた。
*1…レブリス エクスペリアにおける通貨の1種で、純銀の硬貨。
200レブリスは銀硬貨2枚である。ちなみに1000レブリスで1ドログ。
由来はドログと同じく、Silver(銀)の逆ムリ読みです。


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