警告
この作品は<R-18>です。
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エピローグ〜悪魔DEメイド隊!!〜
ー学生の朝は忙しい。
「ん・・・」
カーテンから漏れた朝日の光を浴びて、ネロは眼を覚ました。
鳴る前の目覚ましを止め、ノロノロとベッドから体を起こす。
ハンガーに掛けてあった白い学生服に手を通し、
自室から階段を降りると一人では広過ぎるリビングでテレビを点け、キッチンで朝食の準備に取り掛かった
ーーティーナ達がいなくなってから一週間。
ちょうど夏休みが終わったネロは一人無気力な生活を続けていた。
ラピスは兄が逮捕され、今までの悪事が明るみになったため一人で教会を切り盛りしている。
落ちた信用を取り戻すのは大変だが、念願の人々を救う仕事が出来て頑張っているらしい。
「私も魔物と人が手を取り合って生きていける世界を作れる様頑張りますわ」
あのパーティーが終わった翌朝、家を出て行くシスターの顔は何処か誇らしげだった。
ウルルは心の整理が出来たのか朝から出て行くまで終始笑顔だった。
別れる際フランが中々ネロから離れなかったのは驚いたが、それも彼女が「愛」を知った証なのかもしれない。
「さよならは言いません。ネロ様にまた会えるって信じてますから!」
(また会いましょう。お兄ちゃん)
喋れる筈なのに立て札で別れの挨拶をした人造少女の姿は今も忘れない。
予想外と言えばティーナが、結構サバサバしていた事だ。
パーティーの時本心を聞いてしまったため「嫌じゃ〜!離れたくない!」と泣きつかれるかと思ったが、朝からさっさと準備をして出て行ってしまった。
しかし家を出る際に決して少年の方を振り返えらず、肩や腕が震えていた事をネロは見逃さなかった。
(皆、元気にしてるかな・・・)
朝食のパンをオーブンにセットし、ゴロンとソファーに体を預ける。
ティーナ達も魔界で頑張っているのだから自分もしっかりしなければいけないのだが、どうにも虚しさを感じてしまう。
それだけ少年が夏休みに過ごした日々はかけがないの無い物だったのだ。
ーーピンポーーン!
「?誰だろ・・・」
と、突然家のチャイムが鳴った。どうやら誰か来たらしい。
こんな朝早くに誰が?と思ったが、仕方なく少年は手早く人間の姿に変身し、玄関に向かった。
「準備は良いか?行くぞ?」
「ほ、本当にやるんですか?外したら眼も当てられませんよ?」
(ドラマもやった事だし大丈夫じゃないでしょうか)
玄関へ向かうと何やらドアの向こう側でひそひそ話が聞こえて来る。
何だろ?と思い、少年がそっとドアを開けた瞬間何かが飛び出して来た。
「さぁ!始まるぞよ!!」
「い、行くでやんす!!」
「ウガ」
「えっ?う、うわああぁーーー!」
勢い良く開け放たれたドアから三つの影が入って来た最初、驚いて腰を抜かしてしまった少年だったが、次の瞬間表情が固まる。
「ティ、ティーナ!?」
ネロが思わず声を上げると先頭に立っていた影が笑う
そこには何故か魔界に帰った筈のティーナやウルル達が、変わった格好で立っていたのだ。
「フフフ!帰ったぞよ、ネロ!いや、坊ちゃん!」
颯爽と黒いマントを靡かせながら踏ん反り返るお嬢様バンパイア。
何故か彼女はいつものゴスロリドレスでは無く、黒のタキシードにマントと言った格好だった。
「え?ど、どうして人間界へ?て言うか坊ちゃんって何?」
「む!この格好を見て分からんのか?せっかく〇物ランドから本人達の衣装を借りて来たと言うに・・!」
状況を把握出来ないネロに何故かティーナがプリプリ怒る。
良く見るとウルルはいつものメイド服では無く、カーキ色の服にちょっと大きめな茶色のズボンを履いているし、フランに至ってはブカブカの水色のスーツにストライプシャツと言った格好だ。
「や、やっぱり普通に帰って来れば良かったんですよ!ティーナ様!」
(まぁ、ドラマも終わってますし、ネロ様が分からなくても無理は無いんじゃないでしょうか?)
顔を真っ赤にして恥ずかしがるウルルと服を引きずりながら冷静に分析するフラン。
ただ一人少年だけが状況を理解出来ず眼を丸くするばかりだ。
「むぅ・・仕方ないの〜!感動の再会と行きたかったが、仕切り直しじゃ!」
あれで感動させたかったのかと突っ込みたくなるが、敢えて黙っているとティーナが指を鳴らし、三人の服が元に戻る。
するとお嬢様バンパイアは腰に手を当てながら言い放った。
「実はの?妾はもはや魔王様の愛人ではない!正式にネロのメイドになる許しを得たのじゃ!
あっ、ちなみにウルルとフランも一緒じゃぞ?」
ティーナが言うと、後ろにいた二人も肯定する様に頷く。
そこで、腰を抜かしていたネロはまた驚きの声を上げた。
「えぇええ〜〜〜!!だ、だって良いの!?ティーナ達はその、兄さんの・・・」
少年が話すのを躊躇っているとお嬢様バンパイアが手を前に出し、それを制す。
言わなくても何を言いたいのかは分かっているのだろう。
「お主は魔王様を信じられんのか?決死の覚悟で言ったら拍子抜けする程あっさりとOKじゃ。
まぁ、色々準備しとったら帰って来るのに時間が掛かってしまったがの♪」
(衣装を取りに行かなければ一日で帰って来れましたね)
高笑いするお嬢様バンパイアの後ろでフランが冷静に突っ込みを入れる。
それまで驚いてばっかりのネロだったがそこでようやく笑顔が戻った。
「そ、そうなんだ?皆・・おかえり!!」
「うむ!ネロ〜〜!会えなくて淋しかったぞよ〜〜!!」
少年が立ち上がり、喜びを爆発させると、ティーナもまた抱き着いて巨乳を押し付けて来る。
すると、玄関に立っていたメイド達の背後にもう一つ人影が現れた。
「・・全く、久しぶりに来てみたら貴女達は何をしてますの?」
態度程大きくない影がやれやれと肩を竦める。
現れたのは退魔シスター、ラピスだった。一週間前と変わらず、シスター姿である。
「ら、ラピスちゃん!?」
「む!お主何故ここにおる!?教会はどうした!」
ティーナがさらにネロに密着すると、ラピスが慈愛に満ちた笑顔を浮かべる。
余裕のつもりなのだろうが何だか背後に黒いオーラが見えて怖い。
「父や母の代からの信者さん達が力になってくれましたの。大変だろうけど頑張ってって・・・。
それに本部からも新たな神父様が来られたので教会はもう大丈夫ですわ」
そう言うとラピスはツカツカと歩いて行き、ティーナからネロを引き離してしまう。
そして対抗心向きだしの眼でまたお嬢様バンパイアを睨み付けた。
「で・す・か・ら!今日からはあまり長居は出来ませんが、私も遊びに来させて頂きますわ!ネロ君を悪しきバンパイアから守らないと行けませんからね〜?」
「何を!!この淫乱聖職者がーー!!」
売り言葉に買い言葉でまたしてもティーナとラピスが喧嘩を始める。
バチバチと火花を散らす二人を見てネロも苦笑を浮かべた。
「ハハ・・二人共止めなよ〜!!」
「ウフフ!何だか一週間前に戻ったみたいですね。フランちゃんもそう思いませんか?」
「ウガ」
笑いながら喧嘩を止めようとするネロを見て、ウルルやフランも笑顔を浮かべる
夏休みと共に終わってしまった少年の賑やかな日々。それがまた新学期と一緒に新たにスタートしたのだったーー。
ーー一方、魔界では水晶玉を通して魔王もまたネロ達の様子を見ていた。
魔王が座る王座の周りには四人の愛人達もいて人間界の映像を見ている。
「本当に良かったのですの?魔王様。ティーナ達を手放してしまって」
魔王の膝に持たれ掛かりながら半漁姫が聞く。力が絶対の魔界にとって、魔王が愛人にフラれるなど前代未聞だったからだ。
「ティーナがネロを新たな主と選んでしまったのだから仕方あるまい。
それに奴らが言い出さなくても最初からそのつもりで魔界に呼び寄せたしな?」
王座に肩肘を付きながら魔王が笑う。
やはりネロは自分と同じ人の上に立つ素質を持った者だったのだ。
「ええ!本当ですかぁ〜〜!!さすが魔王様ですぅ〜〜!!」
キャーキャー言いながらミイラ少女が抱き着く。
元々ティーナ達を行かせたのは人間界で何やら不穏な動きがあると知ったからだ
念のためネロの警護と、自分の仕事のために送ったのだが、馬鹿な人間共は全て片付けられたのだからもう心配ないだろう。
「ああっ。ネロは我ですら変えられなかったティーナ達を変えてみせた。
奴の方が我より主に相応しいのは見ていて分かったからな。
まぁ、愛人はまた作れば良いし、無理に我の側に置く必要は無い」
魔王がおどけて言うと、周りにいる愛人達が口々に彼を褒めたたえた。
この柔軟な考えこそ、今の魔界に必要だとサガナエルは考えていた。
そして人間も魔物も関係なく、二つの世界を結ぶにはネロの様な優しさを持った者が必要だともーー。
神とも協定を結び、魔界は少しずつ変わりつつある。
まだまだ道のりは遠いが、いつかはネロを迎えに行ける日が来る事を、彼は信じていた。
(それまで人間界で幸せに暮らせ、ネロ。お前が手に入れた新たな家族と共に・・・)
口には出さず、魔王が水晶玉の中で笑う少年に呟く。
魔王としてでは無く兄として、サガナエルはネロとメイド達を見守っていたーー
☆終・わ・り☆
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