警告
この作品は<R-18>です。
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3・好き
正体不明の輩に連れ去られ、真理谷ときこは不本意ながらもはつを抱いてしまった。行動を起こせば二人のあられもない姿が映った映像がばら撒かれることになると警告された後、二人は解放されたのだった。
真理谷は自分のことなどどうでも良かったが、はつにまで手が及んでしまったこの事態を打開しなければと、連日深夜までその映像の行方を嗅ぎまわっていた。
ことはうまく運び、二人が映っているマスターテープは無事回収することができた。真理谷の依頼人に敵対する相続人の女に接触して、逆にビデオ取りしてやったのだった。
あれから数日が過ぎていた。真理谷は忙しくてはつとはほとんどすれ違いだった。が、それだけではない、二人の生活は何かぎこちないものになっていた。
「はつ、風呂あいたよ。入ったら?」
「う、うん」
久しぶりに顔をあわせ、真理谷が髪を拭きながら声をかけると、はつは顔をそらしてサッと逃げるように行ってしまった。はつが風呂から出たところを見計らって真理谷が居間へ行くと、今度は慌てて自分の部屋へ逃げ込もうとする。
避けられていると思った。
「はつ、違う所に別に住んだ方がいいんじゃないかな」
部屋へ行こうとしたはつを遮り真理谷が思い切って言った。
「えっ? それはいや」
以外な答えだった。
「でもこれじゃ……あのことがきっかけでしょ? 私といると嫌なことを思い出す」
「違うの、マリアといると……」
そう言うとはつはいきなり真理谷の首に抱きつき、背伸びをしてキスをした。
「はつ?」
「私変になりそう、抱いてほしくなるの。マリアに触られたい、こんなにどきどきしてる」
そう言って真理谷の手を自分の胸にあてた。
真理谷はあまりにも動揺したために、その手を胸から離すのを忘れたまま言った。
「そ、それはきっと違う、勘違いしている」
「ううん、マリアが好き」
はつは真理谷に寄りかかるように身を寄せて再びキスをし、舌を絡ませてきた。
――違う、これはきっと違う。
はつを素直に受け入れることはできなかった。
真理谷は厳しい顔をしてはつを引き離した。
「はつ、それは好きとかじゃないよ」
「マリア、私じゃだめ?」
「大人をからかうな。私はあんたの保護者」
「私、本気だよ」
そう言って真理谷を見上げているはつの瞳は潤んでいた。
そんなはつに、真理谷は感情を押し殺して事務的な言葉で突き放した。
「そういう台詞は、大人になってから言いなさい」
「マリア、もう、私大人だよ」
「まだ十八。二十歳までは子供」
「違う。マリアは逃げている。私を抱えるのが怖いんだ。大丈夫、私絶対マリアのお荷物にならないから」
「はつは、いるだけでお荷物だ」
「そんな……マリアの馬鹿!」
泣きそうな声で、はつはそう言い捨てて自室へ駆け込んだ。
今までも、はつは熱を帯びた視線で真理谷を見つめることがあった。真理谷はずっと気付かないふりを通してきたのだ。そうしないと、二人の共同生活は成り立たない。真理谷は保護者なのだから。そう自分に言い聞かせていた。
それなのに、今回の出来事ははつに火をつけてしまったのだ。
はつと深い仲にはなれない。自分にはそんな資格はないのだ。
「これでいい」
真理谷ときこは、自分を納得させるように呟いた。
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