ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
警告   この作品は<R-18>です。 18歳未満の方は移動してください。
  鏡のかけら 作者:asami
21・駆け引き
 黒いパンストから白い膝が覗いている。
「ディオールなのにぃ」
「いつかは破れる」
 真理谷は真顔で言った。
「ひ、ど、い……あぁっ」
 抗議の言葉も、すぐに途切れがちになり吐息が漏れた。
 真理谷が舌を伸ばして膝を舐め、両手はパンストの上から足の付け根に向かってそろそろと撫ぜあげ始めたのだ。
もう片方の足のパンストも腿の辺りを裂いた。破れる音で優花は嫌々をしながらも身をくねらせて感じているようだった。
 ノースリーブも、手で容易に引き裂けるくらい薄手の生地だったが、そうはせず、真理谷は脱ぎ捨ててあった自分のジャケットのポケットからナイフを取り出した。
 小型の折りたたみナイフを開いて、わざと優花の目の前に持っていき刃を見せつける。
 スイス製ビクトリノックスの刃が、薄暗い部屋の明かりの中で鈍い光を放った。
「マリア?」
 ほんの少し、優花の瞳に恐怖が走った。
 真理谷は先ほどと変わらず口の端で微笑んでいたが、瞳を欲望でぎらつかせていた。
 その表情は、目前の獲物に欲望を露わにしているようにしか見えなかったに違いない。
 真理谷は無言で優花の胸元のノースリーブにその刃先を引っ掛けて下腹部のほうへと下ろした。つーっと生地の破れる音だけが部屋に響く。
 優花は危険がないお遊びだと認識したのだろう。怯えた表情は消え、顔を上気させて息遣いが荒くなり、興奮で胸が上下に激しく波打ち始めた。そのたびに、生地の裂け目からブラが見え隠れするのだった。
 艶かしく躯体をくねらせる若い女。
 この女をたっぷりと愉しませなければならない。
 可愛い顔を恍惚とさせて艶やかな声を高らかに上げさせ、その可愛い顔に恍惚とした表情がはっきりと浮かび、痴態をさらけ出すように。
 機械的な行為。頭の芯が熱くなるような高揚感はすっかり冷めていた。真理谷は冷ややかな目で優花を見ていた。
真理谷はシャツを鷲掴みしてさっと羽織りながら、優花の両手首を手際よく自分のベルトで縛り上げた。まるで、新聞の束を束ねるように。
「あん……」
 優花は何をしても抵抗しなかった。
 高ぶっていく優花とは裏腹に、真理谷の目から貪欲さはすっかり消えていた。
優花はけっして真理谷の食指が動かないような魅力のない女性ではないのだが、冷めた感情は抑えようがなかった。真理谷もそれを自覚していて優花にそのことを悟られまいとなるべく顔を合わせないように注意した。だが万が一、そんな態度に気付いたとしても虜になってしまった優花は、真理谷の企みから逃れることはできなかったに違いない。
 真理谷は優花の上半身を起こして後ろ手に縛り付けたまま、壁に寄りかからせて両足をM字に押し開いた。
 何をされるのかという期待で、真理谷をうっとりと見つめている優花。
 そんな優花を前にして、真理谷は瞳を鈍く光らせて不敵に微笑んだ。
「優花ちゃん、溺れたら負けだよ」
 欲望に身を任せている優花にはその言葉は聞こえていないようだった。真理谷はおもむろに優花の股間に両手を当てて顔を埋めた。
「はあん!」
 敏感な部分を触る前から、優花は用意万端の状態だったが、容赦なく舌を這わせ続けた。そして、その奥に舌が押し入ったとたん、優花は弾けるように声を上げて腰をよじった。
 真理谷が更に指を押し入れると、優花は悲鳴に似た声を上げたのだった。
「いいよ。優花ちゃん、可愛い」
 真理谷は冷たい視線を向けていたが、囁きは甘い声の演技を完璧にこなしていたため、すっかり身を委ねている優花が気付くはずもなかった。
真理谷の指は巧みに動き、敏感になっている優花をどんどん追い詰めていった。
甘い声をいくら立てられても、真理谷は高揚しなかった。冷静に機械的に、優花の悦びを高めることだけにひたすら徹していたのだった。
「も、もう、じらさないで……」
 優花はかすれ声で懇願した。
 上りつめるかと思えば、手を休めて絶頂を迎えさせなかった。
「どうしてほしいの」
「マリアの指が……欲しい」
 息も絶え絶えに、おねだりした。
「だめ、あげない」
 真理谷は冷笑しながら言い放った。
「こんな、いや……。ね、お願い」
 手を止める真理谷に優花は懇願した。
「じゃあ、答えて。優花の後ろに誰がいる」
「……そんなこと、いま、いや……」
「そう。それなら終わりにしよう」
「いや……」
立花数馬たちばなかずまなの?」
「……」
 目をそらして無言でいる優花……肯定したようなものだった。
真理谷は指先を、優花に再び入り込ませた。
「ああん!!」
「公僕が、ビデオ撮影をネタに脅すようなことをしていいのかな」
「だって、ちょっと、お小遣いがほしかったの……あ、ん。じらさ、ないで」
 真理谷はまだ指を静止させていたが、優花が体をよじった拍子に刺激してしまったようだった。
「でも、ね、マリアにも、興味が、あったのよ……」
 声が上ずっている優花はとぎれとぎれに話した。
「ビデオ、まだそのままだから優花ちゃんしっかり映ってるよ。これどうしようか。婦人警官が淫らな撮影ってどこかに売れるかな。立花は何を企んでいる?」
「もう、だめ……ああっ!」
 真理谷の脅し文句は届いていないようだった。熱く火照った優花の中にある指は、ドクンドクンと脈打つ感覚に押された。
 優花は激しく腰を躍らせて、喘ぎ声を上げるばかりだった。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。