警告
この作品は<R-18>です。
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20・欲望(3)
「ふふふ」
歌うように優花は笑った。
楽しくて仕方がないという感じで。
その傍らに、真理谷は横たわっている。一糸まとわぬ無防備な姿。
「あなた、子猫ちゃんじゃなくて女豹だったのか」
「素敵な喩え」
優花は笑顔を絶やさない。一方、真理谷は始終硬い表情だった。
油断した。婦人警官ということもあり、策略とは無縁の人種と、勝手に思い込んでしまったのだ。
真理谷の急激な体の変調は普通ではなかった。薬を盛られたとしか言いようがない。
いつもの真理谷であったなら、相手を注意深く観察し、そういう素振りがあろうものなら即座に見破ったものを、こと女性が絡むと観察眼も鈍ってしまうのだった。
かくして、真理谷は優花にたっぷりと弄ばれ、声にならない声を上げることとなった。
自分の甘さを恥じて、真理谷は唇をかんだ。
「もう動けると思うけれど……こういうのもたまに良いでしょう」
優花は愛おしそうに真理谷の引き締まった腰の辺りを撫ぜた。その肢体はまだほてりが覚めやらず、冷たい廊下に横たわって動こうとしないのをいいことに、優花は自分の体を密着させてきた。
薄地のノースリーブの下に隠れている胸が真理谷の頬にあたった。張りのある居心地の良い谷間からは甘ったるいバニラの香りがした。
この香を征服したい。
欲望が胸の奥底から疼いたが真理谷はそれを押し殺しながら無表情で質問した。
「何が目的でこんなことを」
「あら、マリアを手に入れたいって言ったでしょう」
「それだけだとは思えない」
真理谷はようやっと誘惑を振り払って起き上がり、優花を押し倒した。
思ったより身軽に動けた。優花が言うようにもう薬の作用は抜けているようだった。ただ、情事の後のけだるさだけが残っていた。
「そんなに怖い顔しないで。本当にそれだけだわ」
きつい顔をしていないと、優花の甘い香りに誘われてしまいそうだった。真理谷は尚も睨みつけるようにして優花に詰問した。
「ではなぜ、ビデオをとる必要がある?」
廊下にある小さなコンソールの上に花瓶がある。その影にビデオカメラらしき銀色のフォルムに、ブルーの小さなランプが小さく点灯しているのがダウンライトの薄暗い明かりの中で、わずかに見えていた。
「え〜! わかっちゃったのね、すごい。やっぱり探偵さんね」
ばれても焦るわけでもなく、優花は素直に感心していた。
「誰かに頼まれたのか」
「ん〜」
真理谷の下で小首をかしげて、言おうか言うまいか思案している優花は、自分の損得を素早く打ち出したに違いない。
「じゃあねえ、ちょっとだけ教えてあげる。マリア、とっても可愛かったから」
そう前置きして優花はウインクし、ほんのちょっとだけと念を押してから、真顔になってこう続けたのだった。
「夏川ほのかの件は単独事故ということでもうおしまいにしたほうがいいと思うの」
「どういうことだ」
「それ以上はいえないわ」
いくらひっくり返して調べようとも事実であれば何もでてはこないだろう。調査をするなということは、違う事実があると言っているようなものだ。
再調査を恐れている人物がいる。
こんな小さな事故。関係者は限られている。
真理谷の頭には一つの名前が浮かんでいた。
「ふふん、大きなヒントをありがとう。優花ちゃん」
「どういたしまして。どちらかというと、私はマリアの味方よ」
「いつから?」
「たった今から」
優花は両腕を真理谷に押さえつけられているにもかかわらず、余裕の笑みでそう答えた。
「どちらかというと、ってねえ……」
誰と天秤に掛けているのか。
「うふふ。だって、マリアって素敵なんですもの」
「優花ちゃんはつかみどころがないね」
真理谷は苦笑した。
真理谷が気抜けして力を緩めたその一瞬の隙に、押さえつけている手をすり抜け、その両腕を真理谷の腰に巻きつけて目の前にぶら下がる乳房に舌を伸ばしたのだった。
「あっ」
突飛な刺激に、真理谷は背中を反らせた。
「目の前にいる私が私よ。いつまでも悩ましい姿でいたら、また襲っちゃうから」
そう囁きながらも、優花は舌を使って乳房を攻めるのをやめなかった。
「こら」
そう言うが早いか、真理谷は優花の体を引き剥がし、首筋を片手で押さえてその唇を塞いだ。
押さえつけていた欲望が再び湧き上がり、頭が熱を帯びたようにかっと熱くなった。本能に突き動かされるように真理谷は目の前の獲物に飛びついたのだった。
「だめ、マリアにされたら、溺れてしまいそう」
唇を離したその隙に優花はかすれ声でそう懇願したのだが、真理谷がはいそうですかと引き下がるわけがなかった。
「溺れたらいい」
薄っすらと笑みを浮かべた真理谷は、ノースリーブから今にもはみ出そうな胸に手をするりと忍ばせた。
程よい大きさの乳房はブラの上からでも手になじんで心地良かった。
「あ、ん」
ほんの少し触っただけで、優花は全身をくねらせて敏感に反応した。
先ほど真理谷を弄んだときに、十分に感じて敏感になっているに違いなかった。
「まだなにもしてないよ」
「意地悪……」
優花の瞳が潤んでいた。早くしてとせがんでいるようだった。
「そう、私は意地悪」
胸に忍ばせた手を引っ込めた。期待していた優花の顔が曇る。
オーケーのサイン。
真理谷はそんな表情の変化を眺めて優越感に浸りながら、優花の両腿を掴んで股を押し広げた。
「いやん」
申し訳程度に声だけの抵抗。
タイトスカートが半分めくれあがって黒いパンスト越しに黒いショーツが透けて見えた。
「小悪魔の色だね」
「マリアの、好み?」
「うん」
「嬉しい」
優花は頬を上気させている。
「どうしてほしい?」
「マリアの、好きにして……」
「私の好きにしたら、終わりがないよ。どうして欲しいと思っているか、当ててあげようか」
「え?」
優花は期待と不安が入り混じったような顔をして真理谷を見上げている。
「優花ちゃんは、虐められるのが好き」
真理谷はにやりと口の端を上げたと同時に、優花のパンストを膝の辺りから引き破った。
「ええ〜!」
驚いて優花は足を引っ込めようとしたが、真理谷にしっかりと足を押さ込まれていて身動きできなかった。
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