警告
この作品は<R-18>です。
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1・拘束
不意に布で口を塞がれた。皮手袋の匂いとともに、つんとした薬品臭が鼻について気を失ってしまった。
探偵とは名ばかりの、危ない仕事で食いつないでいる真理谷ときこ(まりや)は、突然呼び出され、夕暮れ時に指定場所である公園についたところだった。
犯罪すれすれの依頼も受けてきた真理谷ときこは、恨みを買って狙われることも多い。普段から用心していたのだが、依頼人の声が若い女だということで、多少気が緩んでいたのだ。
真理谷ときこは女に弱い。というか、女が好きだ。健康な二十九歳の女性として男もそれなりに好きだが、可愛い女とは比べ物にならなかった。
真理谷ときこはボーイッシュな外見でもないが、女らしくもなかった。仕事柄、パンツスタイルが多い。いつもノースリーブのシャツ。飾り気がなく冬にはそれがタートルネックに変わり、ベージュのコートを羽織るだけだ。
百七十センチという長身、肩まで伸びた艶のある黒髪。化粧はリップをつける程度だが、二重で大きい瞳に鼻筋が通った涼しげな顔立ちは、それでも充分人をひきつける魅力があった。
真理谷ときこは目隠しをされて後ろ手に縛られたまま、冷たいフローリングの床に転がされ、まだ頭がずきずきしてぼんやりとしていた。
夏だというのに空気がひんやりと冷たい。多分ここは地下室だ。
「気がついたか」
低い声がスピーカーを通して聞こえてきた。変声機を使用しているが、イントネーションが女のように思えた。
ひんやりとした空気。地下室らしき部屋は、微かに甘い花の香りがした。
「これは警告。これ以上かかわるな」
またスピーカーからの声。
かかわるなということは、今回受けた依頼の件だろうか。とすると、遺産相続人の一人だろうか。
真理谷は冷静に考えた。
ドアの開く音がして、誰かが近づく気配がわかった。花の匂いが強くなった。
「誰!」
真理谷ときこは立ち上がり、後ずさりしたが、直ぐ壁にぶつかった。コンクリートの打ちっぱなしの壁が肌に冷たい。
突然、着ていたシャツが裂かれた。
「やめろ! 何を」
逃げ場もなく押さえつけられた。じっと、剥き出しになった肌を見ているようだった。皮手袋をはめた手が胸に触れ、ひんやりとした舌が首筋を這った。背筋がぞくりと冷える感覚。
「う……」
「動くと怪我をするよ」
堂々とした若い女の声。
舐められた首筋に、冷たい感触のものを押さえつけられた。
鋭利な刃物だ。
遺産相続の絡みで拉致されたのであれば、素人のすることだ。本当に傷つけるようなことはしないだろうと予想がついたが、万が一のことがある。真理谷はじっとしているほかなかった。
舌はゆっくりと這いながら降りていき、乳首を弄んだ。相手が女だというのもあるが、極度の緊張下での愛撫は、異常な恍惚感を引き起こした。声を上げたくなるのを食いしばって堪える。
そんな自分が情けなくも感じる。
「悪趣味な……」
呟いて必死に拒絶してみるが、一方でこの状況を愉しんでいる好色な自分がいるのだ。
足元に他の気配がした。両手で足を広げられ、ズボンのチャックが下げられていく。
「嫌いじゃないけれど、ね。こういうことは、されるよりするほうが好きかも」
「騒がしい口。塞いでしまって」
足元で女が苛々とした口調で言い捨てた。
「わかったわ」
胸を責めていた女が含み笑いをしながらそれに答えた。すぐにさっきの冷たい舌が口の中に入ってきた。
「んんっ」
真理谷は強がってみたのだが逆に相手を挑発してしまったのだ。
その間に、股の間にいる女に下着も下ろされていく。
「なめてあげるわ」
屈んでいる女は股間に顔をうずめゆっくり舌を這わせ始めた。
「すいこまれるようね」
女の中指がするりと入り、熱い感覚が体の奥から湧き起こった。
「ああっ……」
真理谷は思わず声を漏らした。
もう一人の皮手袋の女はキスをやめ、乳首の先を舌で弄び、指先はもう一方の乳首をつまんだ。強い刺激に真理谷は身をよじった。
「はあっ」
「体は嫌がっていないようよ」
女が指を出し入れさせながらくすっと笑い、舌をも這わせ始めた。
「立っていられないかしら?」
「うるさいっ……こんなんじゃ、私はイかないんだから……」
真理谷の言葉を無視するように、女は舌の動きを止めないまま、激しく指を動かしだした。
「あぁっ」
緊張と痙攣が体を駆け巡り、波が寄せるように何度かそれは繰り返され、脱力感と供にがっくりと膝をついた。真理谷は壁に背中をもたれて座っているのがやっとだった。
「さあ次はあなたが気持ちよくしてあげてね」
さっきまで真理谷の中をかき乱していた女が、真理谷の乱れた衣服を整えると楽しそうに言った。
「マリア!」
真理谷は目隠しをされたままだったが、その呼び声を聞いてはっとした。真理谷ときこを『マリア』と呼ぶのはただ一人、住み込みアルバイトの女子大生、夏川はつ(なつかわはつ)だった。
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