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  HAREM☆HOUSE 作者:品薄
今話は視点がコロコロ変わります…
気付いている方もいるかと思いますが、この小説内では、その時の語り手(視点)の人間の会話を「」で表し、その他の人間の会話を『』で表しています
今回は説得が主なので退屈で分かりにくいかも?です…すみません
☆25☆ 一途
 
 ★鈴凛side★

私達は、あれから一週間以上…一切の口をきいていない…
こんな事は初めてだ…
そりゃあ私達だって…今までだって喧嘩の1つや2つはして来た…

でも、その場の一時の言い合いで自然と仲直り出来てきた…
お互いに解っていたから…自分には相手がどれ程に必要なのかを…
唯一無二の家族…唯一無二の愛する人間…

私と欄婪は常に…
2人で1人の弱い人間の欠片だった…



『鈴凛…』

私が今日の仕事を終え、あらからずっとお世話になっている駁斗様のお部屋へと向かっていると
彼……駁斗様が私に声をかけてきた…

「は、はい…!?あゃ…駁斗様……?」

『ふふふ…鈴凛……ちょっと良いかな…?』

ドキッ……!!
「…………//////」

彼は私に、何故か何時もと違う…少し濡れた様な…まるで心を直に突き刺す様な…そんな艶やかで鋭い笑みを浮かべた…

そんな何時もと違う彼の妖艶な笑みにより…
私のひ弱な心臓の鼓動は自由を失い…まるで体全てを震わせているかの様に暴れ出す…

その時…私は…彼の言葉…その瞳に心身全てを支配されている様に錯覚したのだった…


「は……はいデスね…」

私はやっとの事で、それだけ言葉を発すると…
まるでその彼の妖艶さに操られるかの様に彼の後へついて行った…


‥…☆‥…☆‥…☆

 ★水杞side★

私は先日…駁斗様からある相談を受け、正直な所その内容…その頼みにとても驚愕した…

でも…他でも無い…彼の考え…彼の依頼…
誰よりも私が望み…
誰よりも私が必要とした彼の望みなのだ…

そしてそれは当然…彼自身の為では無く…
彼女達自身の為…
此処に居る全ての子達の為なのは、彼が何を言わずとも…痛い程に私に伝わってきた…

正直…怖い…本当に怖い

1歩間違えれば…ホンの少し甘えを持てば、即…自分の手で人を地獄に落としてしまう…

そして…改めて思った…

彼はとても強い…

そしてとても優しい人…

私は…この家を…
此処に住む彼女達を…
此処に住む私の家族達を
…そして私自身と、その全てを…
彼の手に委ねた事を強く誇りに思った…


だからこそ…私は逃げてはいけない…
私は私の全てで…彼に答えなければならない…
彼を信じ…彼を助け…
彼と…そして彼女達の為に…私は例え地獄へも望んで逝く覚悟を決めたのだった…



「欄婪さん…」

『はい?あぁ…水杞様…どぅしたアルか?』

私は震える声と指先を必死に隠し…出来うる限りの笑顔で話しかける…

「欄婪さん…少しお話させて頂いてもよろしいでしょうか…?」

『はいぃ…!!』

欄婪さんはここ最近の自分達の仕事ぶりを叱咤されると誤解したのか、一気にその可愛らしい顔を強ばらせた…

(……私……そんなに恐い女にみられているのかしら…)

こんな状況でも流石に少しだけ年頃の女として、その過剰とも思える脅えた反応に気を取られた…

(いけない…いけない…今はそれどころじゃ無かったわ…)

私は女として…そして人としての体裁を捨て…
もぅ一度気を取り直す…


「ふふ…そんなに脅えないで下さいな…
ただ少しだけ…欄婪さんと2人だけでお話がしたいと思っただけですわ」

『はぁ…そ…そぅアルか…良かったアル…』

「うふふ…それでは参りましょうか…?」

『はいアル…//////』


そぅして私達は…
進むべき未来…もしくは這上がれぬ地獄への入り口へと…共に歩いて逝くのであった…


‥…☆‥…☆‥…☆

 ★駁斗side★

俺は鈴凛を連れ…流那に準備を任せてあった所定の場所へと向かう…

此処は第1号館…つまり何時もの居住スペースとその離れにある武道館の地下に当たる場所で、その広さは地下とは思えぬ程に広大な広さがある

そして此処への入室は…特尉以上の人間が同行…もしくは許可と指示がなければ入れない場所である…

つまりは特別入室許可証は無く…内部の特別管理室からの指示で開けるか、もしくは特尉の血液、指紋、瞳孔、声紋照合により漸く入室出来ると言う、この屋敷の中でも最も警備が厳しく…

そして唯一、警備部の監視…管理を一切受けない
清掃やメンテナンス等の全ての管理を機械で行い
当然…発電から管理コンピューターその全てが独立のものである


『あの…駁斗様…?此処は何処なんデスか?』

「あぁ…ここは綾禰の全てが詰まっている、言わば最重要機密施設だよ」

『ぁ!!あゃゃ!!?そ…そんな所に鈴凛が入っちゃ不味いデスね!!』

「ふふふ…平気だよ…この内部の部屋は全て特尉の厳重な承認を得ないと入れないから…」

『いやゃ…でもデスね』

「平気さ…俺は一応、特尉だよ?」

『やゃ!?そ…それは分かっているデスが…』

「さぁ…着いたよ…」

『あやぁ〜…』

ピピピッ…ピィーッ…
…ガシャン…ウィーン…

そして照合を終え目の前のまるで宇宙船の中の扉の様な取っ手も壁の切目もよく見えない場所が自動で上に開いた…

『あゃ〜…こんな所に扉があったデスか…』

この地下室の廊下は、凡そ3m程の幅があり半円型の作りになっている
そしてその両側の所々に、液晶画面らしき物とその下に手を開いて入れられる程度の平べったい穴が開いている…

それ以外には、ぱっと見では壁の繋ぎ目…切目すらも確認出来ない…
そこは正に白一色の蟻の巣の様な広大な迷路と化しているのだ…

(しかし…何度も下見済みとはいえ…少し気を抜くと直ぐに迷ってしまいそうだな…)

まぁ当然それも防犯の1つであるのだが…
特尉の資格が無いと画面で現在位置の確認も出来ないので大変だ…

まぁ今は、流那がいる指令室と繋がっている
耳に付けた小型のイヤホンとマイクがあるから問題はないが…

 
『あゃぁ〜…噂には聞いていましたが…本当に凄い所デスね…』

「あぁ…本当に…俺も初めて見た時には、金持ちのあまりの愚行に目眩がしたよ…」

『こんな施設作ってなにしてるデスかね?』

「うーん…まぁ機密保持もあるんだろうけど…
恐らく麗羽さんの個人的趣味かと…」

『あはは♪確かに麗羽様なら面白そうと言うだけで作りそうデスね』

「しかしこれだけ警備が厳しいと、かえって使い勝手が悪すぎるよ…
機密保持にしてもこの10分の1の広さでもあれば十分だろうに…」

『でも…なんか秘密基地にいるみたいでドキドキするデスね…♪』


そぅ…その為もあり此処を選んだのだ…
これから起こる事をある種の現実から程良く切り放す為に…
敢えて上の現実から切り放す空間を選んだのだ

まぁ…それがどの程度の効果があるのかはかなり未知数だけどな…


「さぁ…鈴凛入ろうか」

『はいデスね…』

普通ならば、そんな外界から隔離された空間に連れ込まれ様としたなら、何かしらの危機を感じ取りそぅな物だが…

まぁ…ある種の高揚感と幻想的な視覚に左右されているのだろう…
それから見ても此処を選んだ効果がある程度見てとれると言うものだ…


さてと……此処からが…本番だよ……

………鈴凛………

 
‥…☆…‥☆…‥☆

 ★欄婪side★

私は水杞様に案内され、
此処に来てから10年程になるが、今の今まで1度足りとも来た所の無い白一色の空間へ連れて来られていた…

そして暫く何処も同じに見える通路を歩くと、その半円型の通路の壁に1つに空間が開いていた

「あの…」

『あぁ…此処ですわ』

「はぁ…此処は一体何処なのアルか?」

『場所的には1号館の地下にあたりますわね…
そしてこの部屋は…そうですね……ちょっとしたプレイルームですわ』

彼女はそんな答えともなっていない様な答えを言うと、私をその部屋の内部へと招き入れた…


『さぁ…お入りになって…欄婪さん…』

「ぁ…はいアル…」

私は促されるまま部屋の中へと足を踏み入れる
すると背後の通路に繋がる空間が、機械的な音と共に上部から降りてきた壁に塞がれる…

ウィーン…ガシャ…ッ

「………!?」

『さ…そこにお座りになって…今お紅茶でもお入れ致しますから…』

私はその非日常な空間に、少しの脅えと不思議な高揚感を感じていた…
しかし彼女は私のそんな心情を知ってか知らずか、いつも通り上品に…そして全てが当然の様に振る舞っている…

(なんだろぅ…私がおかしいアルかね…)

彼女のその極普通な姿を見ていると、戸惑いを覚えている自分の方が不自然なのだと思えてしまう


『さぁどぅぞ…確か…欄婪さんは林檎がお好きでらしたわね…?ですから今日はアップルティーにしてみましたわ♪』 

「わぁ…良い匂いアル」

『うふふ♪お好みに叶った様で良かったですわ』

「で…でも、私が林檎が好きだなんて良く知ってたアルね…?」

『えぇ…そりゃあ…こう見えましても一応、管理メイドの長ですから』

「はぁ…流石アルね…
あんな事で…あんな私情で仕事を投げ出す私とは大違いアルよ…」

私は自分のここ最近の余りの不甲斐無さに、ホトホト嫌気がさしてきた 


『ふふ…♪確かに…そぅですわね…?』

「ううぅ…」

『でも…そぅいう人間らしさも生きて行くにはとても大切な事ですわ…
当然…公私のケジメは大切ですけれど…
私の様に潔癖で頑固な人間は、仕事でそぅいった迷惑をかけない分…その他の私生活で迷惑をかけていますから…
ふぅ…中々巧くは行きませんわよね…?公私のケジメと言っても所詮同じ人間…双方にどぅしたって影響を及ぼしますからね…』

「そ…そんな事無いアル!水杞様は凄いアル!
公私共に厳しくも優しくて…皆も…私もずっと尊敬してたアルよ!」

『うふふ♪ありがとう』


彼女はそぅ柔らかに微笑むと、私の髪を優しく撫で…私の頬にそっと口付けてきた…


(へ…………//////)


ああ…何が起こったアルか……?

何かぼぉ〜っとするアル

あれ?何か凄く良い匂いがするアルね…
この香りは花の匂い…?
凄く良い香りアルよ…


『うふふ♪欄婪さん…どぅなさいました?』

「へぁ?いや…別に何でもないアルよ…」

『そぅですか…では…早速ですが…今日此処に来て頂いた訳なのですが』

「あぁ…はい…
そぅだったアルね…どぅしたのアルか…?」

『えぇ…実は私…少しばかり欄婪さんに興味がありまして…♪』

「へぁ!?きょ…きょ…興味って……!!?」

『あら…オカシイですか?私も女であり人間ですわ…他の人他の女性へ興味を持っても不自然では無いと思うのですが』

「いや…だだだ…だって私達は女同士アル!それに鈴凛がいるアルよ!!」

『うふふ…♪おかしな事を仰有いますのね…?
鈴凛さんも女性…そして何よりも実の姉妹ではないですか…?』

『そ…そぅアルが…』

『別に…世の中の勝手な価値観など…私達には大した意味など無いではないですか…?
何よりそれは欄婪さん自身が1番解ってる事ではありませんか?』

「……で…でも……」

『うふふ…♪鈴凛さんの事を気にしてらっしゃるのですね…?』

 …………!!?

「…ち…違うアル……」

『良いのですよ…欄婪さん…その優しさはとても大切なものですよ…
如何なる理由があれど…誤魔化したり…嘘を吐いたりするものではありませんわ…』


「水杞様…」


『うふふ♪でも…
欄婪さん?貞淑…貞操とは如何なる意味があると思いますか?』

「え…?好きな相手を傷付けたりしない為アル」

『えぇ…そぅですわね…
それぞれ誤差はあれど…
女も男も…欲望…欲求と誠実…潔白である事の狭間に何時でも立たされていますわね…』

「……………」

『人は醜いまでに強欲で…身勝手な思考を持たずにはなかなか生きて行けませんから…
欲望に負け…己の快楽の為に他を切り捨てる人…
清廉潔白を通し…他の為に己を押し殺す人…
そのどちらも弱く悲しい人間ですわね…』

そぅ呟くと…水杞様は初めて悲しそうに笑った…

『ふふ…本当…私や貴方の様に…他を切り捨てる覚悟の持て無い者には…中々生き辛いですわね…
でもね…?欄婪さん…
今の貴方は相手の為に欲望と戦っているわけではありませんわよ…?』

「え……?」

『ふふ…気付いてらっしゃいますでしょう?
貴方は今…貴方自身…貴方だけの為に耐え…意個地になっています』

『そ!そんな事!!』

『いいえ…今の貴方はただ…鈴凛さんを独占し…
ただ自分の都合の良い人間…自分だけの相手として、自分の手元に置いておきたいだけですわ…』

「くっ……!!」


『ふぅ…ごめんなさいね
意地の悪い事を言って…でもね?欄婪さん…
貴方達は他と自分達の間に壁を作りすぎていますわ…もぅ孤独では無いのに…こんなにも貴方を…
貴方達を必要としてくれている人達がいるのに…
過去の孤独に捕えられ…自分の欠片に依存する事で、人と向き合う事…信じる事から逃げ回っているだけですわ…』

「……人は……人は裏切るアル……
欄婪達の両親だって…唯一の両親だって!!裏切って私達をゴミみたいに捨てたアル!!
私には鈴凛だけで良いアル!!鈴凛は私アル!!私達は2人で1人アル!!」


 ………ギュ………


『欄婪さん…』

私が取り乱し…泣き叫び…水杞様に掴みかかっていると…彼女は私を…

優しく抱き締めてくれた



暖かい…凄く…暖かい…


『欄婪さん…確かに…人は人を裏切ります…
それこそ…世の中には笑いながら人を貶める人達も沢山いますわ…』

「…………」


『でもね…?一体それが何だと言うのでしょう』

『……え……?』

『その人が人を貶める人間なら…それで良いではないですか…
私達に必要なのはそんな人間達ではありません
騙して貶めて…それで喜んでいるのなら勝手にさせておけば良いのです…
私達はただ…私達の求める人間を1人でも多く一生を賭け…見付けていけば良いのですから…
そして…一生の中でただ1人…たった1人でもそんな人間に出会える事が出来たのなら…
それはとても素敵な事ではありませんか?』

『水杞様…』

『人は有りもしない生きる意味を求めます…
出来もしない信頼を求めもします…
それならばまず…貴方自身が変わり…与えられる様に前に進まなければ…
きっと何も見付かりはしませんよ…?』


「……水杞様は…本当に凄いアルね……強いアル
私なんか…本当…到底敵わないアルよ…」

『うふふ♪あら?そんな事はありませんのよ…?私もね…こんな偉そうな説法を説いてはみましたけれど…
実際の所はそれに遠く及びませんわ…
何時までもウジウジと過去の傷をひけらかして…
心の中で他人に罪の全てを擦り付けてね…』

「……水杞様……」

『でもね…?欄婪さん…
私も彼に会い…彼を知り
ホンの少しづつですが…変わろうと進み出す事に致しましたの…
彼の様に過去を己で消化し…他人を本当に慈しむ事が出来る様にね…?』


「水杞様……彼って…」


『うふふ♪そんな事はどぅでもよろしいですわ♪
それよりも今は…欄婪さん…貴方ですわ…♪』

「は…はい…?」

『ふぅ……取り合えず…
貴方達は互いに依存しすぎなのです…
確かに…生きると言う事と依存する事は、そぅそぅ切り放せるものではありません…
誰もが大抵…何かしら…誰かしらに、度合いはあれど依存していますわ
仕事…恋愛…趣味…物…見栄…力…
それこそ全てと言って良いほどに…
でもね…?1つに固執するって事はとても危険な事なのですよ…?
世の中では無責任に一途や誠実かの様に言われがちですが…
逆に言えばそれは他を寄せ付けず、己とその物だけで自己完結を図っているだけなのですから…
そして、それを失う事になったら…その、他を受け入れる事を知らない人はそれだけで絶望し…
自分を想ってくれる人達を省みる事無く…身勝手に結論をだしてしまう
例えば仕事を放棄し…自分は1人だと勝手に意個地になってしまう、今の貴方達の様にね…』


「……………」


『一途…誠実も大変結構ですが…何事も度合いと言うものがあります…
他を寄せ付けぬ依存には、最早…固執するだけの価値も意味もありません
他人にとっては勿論…自分自身にとってもね…』


「そぅ…かも…しれませんアル……結局、私は…鈴凛さえも拒絶し…傷付けてしまったアル…」

『うふふ♪まぁ…人間関係なんて物は、傷付け合ってその絆を確認し…強くしていくものですわ…
兎に角…今の貴方に必要なのは他を受け入れる勇気……そしてその経験と温もりですわ…♪』

「へぇあぁ!?ちょっ…ちょっと!?水杞様ぁ!?」

すると突然…それまでのシリアス全開の気高く美しい顔から…
艶やかな悪戯っぽい妖艶な笑みを浮かべて水杞様が私に迫ってきた…


「へぇ!?いぃ…?な!!何でぇ〜〜!!!?」




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