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  HAREM☆HOUSE 作者:品薄
あぁ……もう、ついに9月ですよ……。(-_-;)
初めの完結予告をしてから、一体どれ程延びて行くのでしょうか……。
纏め下手は勿論の事、先を読む能力も、作者はかなり欠落してますよねぇ……。(-_-;)笑
それでも! 今度こそ絶対、多目にとっても9月中には完結しますので、どうぞ此処まで付き合って下さったその御広い御心で、御勘弁を……。
m(__;)m 笑
☆226☆ もう1人
 
 ………………
 
 そして時は、一度再び現代へと戻り。
 その遠い昔の2人の男女が、密かに逢い引きをしていた。凡そ20年程の年月が経った今でも、その様相は何ら変わっていない様にも見える。同じ地下の一室で、その遠い昔の彼等の様な、甘い雰囲気など微塵も無い。現代を生きる彼等2人は、ジッと互いに何も無い前だけを見つめ。変わらず隣同士で座りながらも、その視線を交し合う事も無く。彼はただ、耽々と続いてゆく彼女の遠い昔話に、その耳をジッと傾けていたのだった……。
 
 
 ………………
 
『……そうして彼等2人は、私には勿論、他の人達にも一切隠し……。こっそりと、しかし他の何よりも強く。その恐らく共に初めてで、共に最後となった不馴れな愛を、大切に育んでいたようです……』
 
 ………………
 
「そうか……だが一体どうして、麗羽さんの兄である秀羽さんまで、亡くなってしまったんだ?」
 
 すると駁斗は、漸く何かの呪縛から解放されたかの様に、何処かぎこちない様子のまま、僅かに彼女の横顔を盗み見て。
 そしてその隣に座る彼女に向け。まるでその、散々勿体ぶられた話の結論を、堪らず急かそうとするかの様に、ストレートに問掛けた……。
 
 
『うふふっ…もう……。そう、焦らないでも良いでは無いですか……? どうせまだ、満足には動けませんのでしょう?』
 
「いや、俺の身体の事ならもう全然平気だぞ? まぁ…全くもってシャクな話だが……。アンタの手慣れたこの止血のお陰で、すっかり出血も止まったみたいだしな……?」
 
 すると駁斗は、そう僅かにバツが悪そうに、再び彼女の方から視線を反らし。その未だ一応、敵である彼女に、そんな礼ともつかない物言いをして。その固く包帯で絞められた自分の肩の傷口を軽く数回、確かめる様に叩く。
 
 
 ……はぁっ……
 
『いいえ……幾ら止血はされているとは言え、既に流した血の量を考えれば、これ以上の無理をした場合。本当に大袈裟な話では無く、命の保証さえ出来ませんよ……? 今までずっと使われていなかったこの場所では、輸血用の血液のストックもありませんから、出来れば直ぐにでも病院に行って。輸血をして安静にする事をお勧めしますわ……』
 
「あぁ…それならちゃんと行くぜ? あの粗雑な馬鹿男や麗羽さん、それに恐らく流那も其処に居る。あの駅向こうの病院にな……?」
 
『ふうっ……全く……』
 
 すると哀璃は、そんな彼の何とも懲りない。無謀で、何の考えも無いかの様な物言いを、半呆れ顔で横目で見つめ。
 そして彼女は、最早無駄な説得をする事を諦め。その気を取り直そうと、1度大きく溜め息を吐き。そんな急かす彼の問掛けを、軽く交しながら、再びその昔話を再開してゆく……。
 
 
『それに、その秀羽様の事をお話する前に、他に話しておくべき事がまだありますでしょう? 私が今から2年近く前に、此処から追い出される事になった理由も……。それに、柊の鬼の子が持つ。百眼と呼ばれる能力の事も……』
 
「えっ? あ…あぁ……。だが、アンタが此処を出る事になった理由ってのは、ようはこの医療部が潰れたからだろ? つまりは、その話の流れからすると、流那がアンタ達を裏切ったせいか、それともその研究とやらが失敗したせいとかじゃないのか? それにその能力の事にしたって、身体に取り込んでしまった。あらゆるその毒物を、身体の中で浄化出来るって、アンタがさっき……」
 
『いいえ……。先程お話しした毒の浄化は、ただの能力の副産物に過ぎません……。それに流那が私達を、正式に裏切る…と言いますか……。私達の道具に過ぎなかった彼女自身が、私達柊の家の者達を裏切ると、ちゃんと決断出来たのは、少なくとも貴方が此処に来てからの事です……』
 
 すると哀璃は、少し悪戯な何時もの微笑みを彼に見せ。そうまるで、彼が流那を唆したとでも言うかの様に、彼を遠回しに責め立て。しかし、何故か何とも嬉しげなそんな手慣れた嫌味で、彼を揶い横目で見つめる。
 
 
「えっ? そ…そうなのか……? だって流那の様子が、俺に対する物と他の人達に対する物で、俺が此処に来た当初から明らかに違った様だったから……。俺はてっきり、その先にこうなるであろう事を見込んで、流那が俺を味方に引き入れておこうとしていたのかと……」
 
『ふふっ…いいえ、それはありませんわね……。だって以前のあの子なら、例え同じこの決断に至ったとしても、絶対に他の誰かに頼ろうなどと、微塵も考えも及ばなかった事でしょうからね……?』
 
 ………………
 
「そうか……。いや、確かにそうなのかもしれないな……。俺も結局、最後の最後は頼りにしては貰えなかったみたいだしな……」
 
 すると駁斗は流那が自分からその身を、自分にさえも一切黙って、哀璃に明け渡したと聞き。そう少し寂しげな悲しげな表情をして。結局、本当に肝心な所では、何ら頼りになってはいなかった現状に、更に自分自身に対する強い苛立ちを、沸々と募らせているかの様であった……。
 
 
『ふふっ…いいえ……。きっとそうでもありませんわよ……? 流那は、貴方がこうして此処に来た場合は、私達が貴方に手を出す事には、すんなりと引き下がり許諾致しましたから……。きっと、その心の何処かには、僅かなり貴方の助けを期待していたのかもしれません……』
 
「……えっ…流那……」
 
『つまり、私達がその流那自身の身柄との交換条件に出された事は、天華さんの身の安全の保障のみです……。まぁきっと、貴方の考えに引っ張られ。共に、もし天華さんまで無理をしてしまったらと、流那は心配したのでしょうね?』
 
「えっ…流那が……? いや……そうなの…かな……?」
 
『………………?』
 
 すると駁斗は、自分が当然天華にそれらの事など伝えるワケも無い事ぐらい、自分達の関係をよく知っている流那には、当然分かりそうなものだと思い。少しその彼女の出した結論に、何かの不自然さの様な物を感じていた……。
 
 
「ま…まぁ、良いか……。それで? それなら何で、綾禰の医療部は潰れたんだよ……?」
 
『……違うわ……』
 
「……えっ……?」
 
『……潰れたのでは無く、潰されたのです……。あの綾禰家の当主、綾禰 麗羽の独断でね……』
 
 すると哀璃は、その柊の絶対的な主人である筈の、綾禰家当主である麗羽の事を、冷たく敵意の隠った瞳をして。初めて冷たく呼び捨てにしてその名を語った……。
 
 
「あ…哀璃……? な、何があったワケでも無いのに、麗羽さんが潰したとでも言うのかよ……? 否、そんな事をする人じゃ無いだろ? 幾らなんでも……なぁ……?」
 
『いいえ……それは柊の百眼の能力を欲したからなのか、それとも柊の特別な能力に対する。ただのつまらない嫉妬なのか……。そのどちらにしても、彼女は我々が長年築きあげて来た信頼関係を、いとも簡単に裏切り……。私達を無下に追い出したのよ……』
 
 すると哀璃は、底々手慣れの彼ですら、明らかな脅えを覚えてしまう程の、冷たく凍る様な視線で明らかな強い殺気を見せ。その心の中のずっと覆い隠していた確かな激しい怒りの感情を、彼女自身この時初めて表に露骨に出していた……。
 
 
「……哀璃……。しかし…そんな争い事を起こしてまで、奪い合わなきゃいけない柊の能力って、一体なんなんだよ!?」
 
『いいえ…ですから、今のこの世では、つまらぬ…他に幾らでも代用のきく能力です……。何故なら柊の百眼とは、いわゆる五感と呼ばれる感覚を研ぎ澄まさせ……。見えぬものを視て、聞こえない物を聴き、感じ無い物をかぎ分ける……。人の知覚範囲を、遥かに越えて知覚出来る能力の事ですから……』
 
 ………………!!
 
「……つっ……!!」
 
 すると駁斗は、その思考の何処かで気付きながらも、必死に自分自身の中で、無意識下のままに覆い隠していた結論に、その瞳をただ激しい驚愕に更に大きく広げ。
 そしてただ愚かしく、その本来の彼ならば、とっくに気付き。分かっていた筈の事実を前に、ただ合わせたく無く。ずっと無意識に逃げてきたパズルを埋められて、明らかに不自然な程の驚愕を、誰にとも無く示し続けていたのだった……。
 
 
『………………?』
 
 ………………
 
「そ…それじゃぁ……。それじゃやっぱり……」
 
『えっ…どういたしました? 駁斗さん……?』
 
 ………………
 
「……そ…そうだよ……。もう1人居たんだ……。だから流那は…あえてたった1人で……」
 
『……えっ……?』
 
 そして駁斗は、力無くその場の床に崩れ落ち。
 そして、まるでうわ言でも呟くかの様に、そんな悲しげにも見える。最早逃げようも無い、明らかな真実を示す重い言葉を、1人呆然と呟いていたのだった……。
 
 
『は…駁斗さん……?』
 
 ………………
 
「……鬼の子は……もう1人…居たんだよ……」
 
 



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