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  HAREM☆HOUSE 作者:品薄
いよいよオリンピック開幕ですねぇ〜〜♪
(^-^)
先日、早々と1敗してしまった男子サッカーの事は都合良く取り合えず忘れ。今日から早速、期待の出来る柔道と競泳です。本当に楽しみですねぇ〜〜……♪
( ^_^)/
品薄も小説執筆しながら応援頑張ります!
(*_*)笑
 
☆206☆ 憧れと嫉妬
 
 ……ふぅ〜〜っ……

「よし……どうやら此処のようだな……?」

 そして駁斗と刃月の2人は、その彼の明らかにルールを無視した、綾禰家内の入室許可の一時復帰作業を終え……。
 そしてその許可を出す代わりに、どうしても自分も一緒に着いて行くと、あの全てを賭けた筈の戦いの結果も忘れ、何とも都合良く我が儘に言い張る刃月の事を、彼は仕方無く引き連れ……。
 そしてその、今は使われていない元医療部施設の前へと、既に周囲に広がった夜の闇と、再びチラホラと降り出した白く大きな雪の粒の中に紛れ隠れる様にして、その2人は全身黒づくめの何とも怪しげな格好をして、やって来ていたのだった……。


『あぁ……。でもさ? 本当にその流那が幽閉されている場所ってのは、そもそも此処で間違い無いのかよ……?』

「んっ? あぁ、それはまず間違い無いだろう……。哀璃だけで無く、クリスまでもこの家に戻ってるって事は、此処以外に流那を綾禰から隠せる様な場所は、他には考えられないからな……」

『……ふ〜〜ん……』

 そして刃月は、そう自分で彼に質問をしておいて、然程興味も無さげに彼にそう受け答え。その今は使われていない為、非常灯のみがついている薄暗く静かな施設の中を、何の緊張感も無く。ただボォっと眺めていた……。


 ビィーーーーッ……!!

 ビクッ……!!

『きゃあぁっ……!?』

 ビィーーーーッ……!!

 するとその時、突然その薄暗い施設の中に、けたたましいサイレンの警告音が響き渡り……。
 そして刃月の何時もの彼女らしくも無い、大袈裟に跳び上がり甲高く叫ぶ声と共に、その施設内の廊下の所々に取り付けられていた、赤い警告灯が回り光り出した……。


『なっ、なな、何なんだっ!? 一体何が起きたんだよっ……!?』

「いや、それは分からないが……。だが、もしかしたらこの中で、流那達の身に何かがあったのかもしれない……」

『って、おいっ……!? 此処は仮にも、元医療部の施設だったんだぞっ……!? 中にはまだ、恐らく危険な薬品とかだって沢山あるんじゃないのかっ……!?』

「……くそっ……!! 刃月っ!? お、お前は取り合えず、一度中央警備室に戻って状況の確認と復帰を頼むっ……!!」

『わ、分かったけど……でも駁斗はっ……!?』

「俺の事は平気だ、自分の身ぐらい自分で守れる……。今は兎に角、この原因さえ解らない状況では、どうしようもないんだ……。頼む刃月、急いでくれっ……!!」

『くっ……わ、分かったよ……。でも、くれぐれも無理はすんなよ!?』

「あぁ……心配するな」
 
 そして刃月はその彼の言葉を、立ち去るその背中で確認する様に、急ぎ今来た暗い夜道を引き返して行った……。
 
 
 ビィーーーーッ……
 
 ビィーーーーッ……
 
 ……ふぅっ……
 
「待ってろよ、流那……。今行くからな……」
 
 そして彼は、一度その覚悟を確かめるかの様に重く息を吐き……。
 そしてその、今は警告灯で赤く染められた。サイレンが鳴り響く室内へと、その足を急ぎつつも慎重に、1人進めて行った……。



‥…☆‥…☆‥…☆


   クリス side


 ………流那………


 私は今日まで、ずっと彼女の事だけを見て。彼女の事だけを考え生きて来た様な気がする……。

 しかしそれは、所詮今から思えばと云う。全てを無意味にしてしまう前提条件を加味した上での話なのだが……。それでも私は、そう今は確信にすら思える程に自覚し、感じているのだった……。


 ………………

「……流那……。私の流那……。私の……」

 ………………

 そして私はただ、夢遊病者の様にたどたどしく。その白一色に囲まれた薄暗い部屋を、まるで血の様に赤いその警告灯が四方の壁を染める中、1人ジッとその全ての決着の到来を待ち……。

 そしてあの彼女と出会ってからの、漸く生きる意味を知ったかの様に感じた自分の荒み汚れただけの人生を、ただ散漫な思考で思い返す……。

 ………………

 私が彼女に会ったのは、あの某国の戦争孤児として産まれ育ち。その意味も、その理由も何も分からぬままに、ただ当然の成り行きとして誰かも知らない大人に拐われ売られた私を、あの哀璃様が買ったその次の日だっただろうか……。

 そのボロボロに崩れた衣服と云うよりも、ただの布切れに近い布片に身を包んだ私は、その時その私を買ったと云う女の妹であった貴方に、初めて出会った……。

 その私とさして年齢の変わらない貴方は、今までの私には到底見た事も無い程に、美麗で立派な衣服を身に纏い……。
 まるでお城の様な立派な家に住み……。
 そして母国の文字1つ読み書き出来ない私と違い、貴方は全ての学業に対し優秀で、全てにおいて聡明であった……。

 そして当然の流れのままにそんな貴方は、漸く始まった私の人生の、初めての憧れになり……。
 そして初めての、嫉妬と云う感情を私の中に植え付けた……。

 ………………

 そして私は、哀璃様の為……。そして何より、憧れる貴方の側に、ホンの少しでも近付く為だけに、ただ懸命に努力をして生きてきた……。
 貴方に負けない程の語学力……。
 貴方に負けない程の薬学の知識……。
 貴方に負けない程の人を殺す為の技術……。

 貴方に負けない、貴方に負けたくない……。私にあるのは、ただそれだけだった……。

 ………………

 でもそうして、ただ懸命に働き。そして任される仕事が増えて行く内に、それまで見えていなかった。その柊の家の者としては、明らかに位の低い扱いを受けている貴方の存在に気付く様になった……。

 そして程無くしてその理由を、漸くホンの少しの信用を与えられた哀璃様から知らされた時、私は例えどうあがこうとも、永久に貴方に敵う事が無いのだと、嫌と云う程に知らされた……。
 
 そう……。貴方は産まれた時から既に、明らかに特別だった……。
 
 何故なら貴方は、人では無く。何故なら貴方は、その為だけの、特別な生命だったから……。
 
 ………………
 
 だから私は、貴方と同じ裏の仕事を自ら望み。貴方以上に汚れ堕ちて逝きたいと願った……。
 この片目を自らえぐり。その色の違う偽眼を埋め込む事で、例えホンの少しだけでも人では無い貴方に近付きたいと願い続ける程までに……。
 
 ………………
 
 そう……。私はきっと、貴方と同じ……。
 
 そう……。貴方はきっと、私と同じ……。
 
 私はただ……その身も心も、化け物である貴方にだけ憧れた……。
 
 
「……流那……。貴方は渡さない……。貴方は私、絶対に渡さない……」
 
 ギィィッ……
 
 するとその時、哀璃達を閉じ込めた部屋と廊下の間にあるこの部屋の扉が、ゆっくりと開き。
 そしてその彼女の予想通りの、その待ち侘びていた終焉を与えてくれる筈の男が、ゆっくりとその黒ずくめの姿を彼女の前に現した……。


「……漸く来たようね……。神楽 駁斗……」


 ………………


『……クリス……。流那を返して貰うぞ……』




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