警告
この作品は<R-18>です。
18歳未満の方は
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今話は、菅能小説の欠片も無く。BLでも無いのに、登場人物は全て男のみです……。(^-^;)
しかしこれまた必要なので、どうぞまたまた御勘弁を……。笑笑
☆176☆ 危険人物
そして日が変わり、時計の長針が3週目を過ぎようと云う頃……。
彼はあの綾禰が経営する、麗羽が今現在入院中の病院の前へと、まるでその夜の闇に紛れ。只でさえ少ない人目から身を隠す様に、静かに1人やって来ていた……。
「ふぅ……。さて、これからどうするかな……」
そして彼は、その病院の裏口の前にある木の陰に立ち、ジッとその裏口の灯りを見つめ。そう囁く様に1人呟いた。
そんな彼の怪しげな態度は、そのまま今現在の彼の綾禰での立場を表しており。それは決して大っぴらには、彼には此処に来れる道理が無い事を明確に示していた……。
「まぁ、もうこんな時間だから、大半の奴等はもう既に休んでいるとは思うが……。あぁ、クソッ! 此処でこうしてても、何の意味も無いしな……。もう逸そ開き直って、堂々と正面突破してみるか……?」
すると駁斗は、そんな思案の甲斐も無く。結局、何の打開策も思い浮かばず。そう開き直りで腹を決めて、その裏口の夜間通用口の前へと進み出た……。
シュッ……!!
「……へっ……?」
すると次の瞬間、斜め前方の病院の窓の辺りから、鍔の無い刃と柄が一体で造られた金属製の小型のナイフが、目にも止まらぬ程の高速で、彼の心臓を的確に捉え飛んで来た……。
「うおぉっ……!!!?」
キンッ……!!
そして正に間一髪で、駁斗がそれを斜め後方に飛び退き、何とか回避すると。その病院の3階辺りの窓から、1人の男らしき人影が音も躊躇も無く飛び降り。
そしてあまりに突然の驚愕で、呆気にとられて時が止まっている彼の前へと、その姿を堂々と現した……。
『へぇ……。まぁ確かに、普通の其処らの軟弱男ってワケでは無さそうだな……?』
「お、お前は確か……」
『おぉ……。俺の名は、綾禰家 特殊部隊所属の壱尉、張飛 雷我様だ』
するとその無駄に態度のデカイ男は、そう何とも偉そうにふんぞり反り。たった今自分がした、常識では到底考えられない行いを、詫びるでも気にするでも無く、呆気らかんとその名を彼に名告って来た……。
「って! それよりてめぇ!! 一体いきなりどう云う了見だっ……!? 俺が避けなきゃ、良くて大怪我。下手すりゃ死んでるところだぞ!?」
『ふん……。別に俺からすりゃ、死んでくれて大いに結構……。第一それは、てめぇの未熟さ馬鹿さで勝手に死ぬんだ……。そんなもん、俺の知った事じゃ無いね……』
(な……何て危険な野郎だ。この男っ……)
そして駁斗は、その挑発的な彼を睨みつけ。その彼の明らかな静かな殺意に気付き。何時でも機敏に動ける様、臨戦態勢を即座に反射的にとっていた……。
「ふん……。俺は、よく知りもしないお前なんかに恨まれる覚えも、ましてや殺される覚えなんか全く無いんだがな……? それとも何か? 綾禰の壱尉の中には、殺し屋まがいの行いを、気軽にやる様な危険な野郎がのうのうと存在してるって云うのか?」
……キッ……!
『ふん……。綾禰の事なんて何も知らねぇ余所者の分際で……。何処の馬の骨とも解らねぇてめぇの意見なんざ、俺が一々聞いてやる筋合いは微塵も無いね……』
すると雷我は、その身体から更に明確な殺意を漂わせ。その前に立つ彼に向け、静かに激しく不明な圧力をかけ……。
そしてまるで彼をその眼光だけで、刺し殺そうとでもするかの様な獣じみた瞳で、彼へ睨み返して来た……。
「……くっ……」
(クソッ……コイツと此処で対等にやり合うのは、どう考えても俺に分が悪いな……)
そして駁斗は、所詮自分が身体能力と経験だけの手狭な立場に対し。彼の方はその自分が持つ能力にプラスし、知識や体術などもマスターしていると云う決定的な差を感じ……。
そしてその額に、珍しく脂汗を滲ませ。その心中で、そう苦々しくも呟き。そのどう考えても明らかに不味い状況を、再度認識し、確認し直していた……。
……はぁ〜〜っ……
「俺は別に、綾禰は勿論。アンタや他の奴等にも、何らかの危害を加えるつもりは毛頭無い……。ただ俺は、麗羽さんに直接会って。少し話を聞きたいだけだ……」
そして駁斗は、未だその背筋に嫌な汗の存在を感じながらも、そう何とか表面だけの平静を装い。自分の今まで廃れた人生の中でさえ、決して感じた事の無い程の刺さる様な殺気を感じ。その目の前の彼を警戒しつつ、そう言葉を掛ける……。
『ふん……だから、そのてめぇの勝手な言い分を、俺が信じる道理は無いって言ってんだよ……』
「くっ……お前、風嶺の仲間なんだろ? アイツに聞いて見ろ。俺は別に、少なくとも今の所は、アンタ等の敵では無い……」
2人は互いに緊迫した雰囲気のまま対峙し。その場から一歩も動く事無く、そう微妙な距離を保ち、言葉を掛け合う。
『ふふっ……別に風嶺は、俺の上司でも俺の仲間って訳でもねぇ……。一応チーム分けはされていても、俺達の仕事は基本的に単独で動く。それに此処の警備の事は、全て俺に一任されてんだよ……。アイツをどう丸め込んだのか知らねぇが、アイツの意見を聞く必要も、アイツの制止で止まる必要も、今の俺には全く無いね……』
「はぁ……クソッ……」
駁斗はそのどうにもならなそうな状況を前に、下唇を噛み。そう苦々しく表情を歪める。
(駄目か……。コイツが相手じゃ、全く話にならない……。どうする? マトモにやり合って、俺に勝ち目があるとも思えないが……)
そうそれが短期決戦であるならば、彼でも底々対等にやり合える可能性もあるのだろうが……。
格闘術等をマスターし長年懸命にやって来た人間と、そうで無い通常の力や運動神経だけの人間との一番の決定的な違いは、恐らくスタミナだろう……。
例えセンスや体力が元々あったとしても、人を殴る蹴る、攻撃を防ぐ避けると云う事は、かなりそれだけで何時もは使わない筋力と体力、そして精神力を使う……。
そしてそれは決して元から備わっている物では無く。日々の継続的な練習と、長期間に渡る数多くの経験により、漸く身について行く物だ……。
只でさえ、これ程の殺気と緊張感の中での勝負となれば、彼のホンの僅かな動きを見て。それがフェイントなのか、攻撃ならそれがどう云う軌道で来るのかを、その都度即座に判断し……。
それと同時にその時の彼の体勢や体重移動から、彼に出来得る次の攻撃の予測範囲を狭めると云う事だけで、かなりの集中力とかなりの体力を使ってしまう……。
それプラス何の策も無い自分の攻撃を、百戦錬磨の彼に当て。ましてやその、マトモにあるかどうかも解らない程の少ないチャンスだけで、彼を倒せるとも到底思えなかった。
………………
(そうだな……。どう贔屓目に考えてみても、俺が奴と対等にやり合えるのは、精々5分から10分程度だろう……)
………………
……はぁ〜〜っ……
「クソッ……仕方無い。出直してくる……」
すると駁斗は、一瞬の思案の後。大きく肩を落とし溜め息を吐き、そう諦めた様に両手を挙げ。
彼にそう降参だと言葉を掛け、その緊張と構えを解いた……。
すると雷我は、拍子抜けした様にポカンと口を開け。頭をガシガシと不服そうに掻くと、その彼へ向けていた殺気を渋々ながら緩和させる。
『何だよ、つまらねぇ……。随分簡単に下がっちまうんだな……? 折角、延々と暇してた所に、漸く俺にも出番が回って来たってのに……』
(こ、この野郎……。それが俺の邪魔をする、一番の理由かよ……)
「はぁ……。まぁ無駄な争いで、無駄に怪我をしたくは無いしな……。何、きっとその内、やるべき時が……。やらなくてはいけない時が、きっとが来るさ……」
『ほっほぉ〜〜っ……。ふふふっ、俺とアンタの実力差を理解した上で、随分とまた言ってくれるじゃねぇか……?』
そして駁斗は、そう心底嬉しそうに不適に微笑む彼を、横目でヤレヤレと疲れた様に見つめ。
そして気を取り直した様に、彼に背を向け一言だけ言葉を掛けると、その目的をあっさり諦め。その場から静かに立ち去って行った……。
「まぁな……。次に此処に来る時には、せめてもう少しはアンタとマトモにやり合える様に、俺も色々と策を練って来るとするよ……」
『ふふふっ……。あぁそれじゃぁ、その時を楽しみに待ってるよ……♪』
「はぁ〜〜っ……。何か本当、益々ヤレヤレって感じだな……」
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