警告
この作品は<R-18>です。
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1・欲しい
人は、手に入りにくいものほど手に入れたがるものだ。
私も例外ではない。
手に入らない、手に届かないもの。
あのひと。
どうしようもなく、手に入れたい。自分のものにしたい。
どんな手を使ってもいい。一生手に入らないのであれば、たった一日だけでもいい。あの人を私に。
私にください。
私は普段と変わらぬ澄ました顔で、教室の席に着きながら、そんなことを考えていた。
見つめても見つめても、あのひとは手に入らない。私のことを気づきもしないだろう。
葵あさこ。(あおいあさこ)
私の全て。
なのに、葵あさこには彼氏がいるのだ。
私はただのクラスメイト。
彼女のことは何でも知っている。玉葱が苦手なことも、何のシャンプーを使っているかも。自分から彼に告白したことも。
入学式の時から、私をとりこにした葵あさこ。笑う時必ず首を傾げる、澄んだ瞳の葵あさこ。
百六十五センチの長身に、スレンダーでしなやかな体。スポーツ万能に見られるけれど、体操が苦手な彼女。髪を縛ると見える、左耳の後ろにある小さなほくろ。いくらか癖毛の入った、肩までの髪。大人びた切れ長の涼しげな瞳。
どれも自分にはないものを持っている葵あさこ。
髪を伸ばしてみたものの、くっきり二重が幼く見える顔つき。アンバランスに豊満なバストが、いかにも頭が足りなさそうに見える。おまけに低い背丈。自分のどれもが嫌だった。
これは憧れ? いや、違う。彼女が好き。どうしようもなく、たまらなく、好き。
でも、このままではいつまでもただのクラスメイトだ。
彼女のしなやかな腕を愛撫したい。そして、あの桜色の唇に触れてみたい。
何とかして思いを遂げたい。
私は考えた。
そうだ、誘拐しよう。
彼女を目隠しして、誘拐してしまうのだ。幸い、葵あさこはよく友達のうちへ泊まりに行く。一日くらい家へ帰らなくてもうまく誤魔化せるだろう。彼女は友達の家へ泊まるといって、彼氏と過ごすのに成功したと言っていたくらいだ。あまり厳しくない親なのだろう、きっとうまくいく。
高校二年の冬、南さやは、同級生の葵あさこを誘拐する計画を立て実行したのだ。