警告
この作品は<R-18>です。
18歳未満の方は
移動してください。
エピローグ
第6章・産まれたままで…
しばらく、4人が裸で泳ぐ日々が続く。晴奈もみのりも、なつめも、そして泳も。
泳は、なつめとの初体験以来、女性の裸体を見ても慣れて自然な態度をとるようにな
っていた。むしろ、晴奈やみのりの裸身をながめて、なつめに急所をぎゅっと握られる
ことも時々あった。その時、なぜかなつめにさらなる恋心を抱くのだが、泳は、露骨に
は表に出さない。
女の中に男が一人だが、泳は体毛がかなり薄いので、一緒にいても違和感はなく、よう
やくそばに近づいてみて、独り胸が平らで肩幅が広めで何かブラブラさせているな、と
いう状況が理解できるくらいだ。
そのたった一人の男の泳だが、なつめとの仲を承知しているから、あくまでも態度そ
のものは控えめだが、晴奈もみのりも彼をすごく好意的に見ている。さらに、全裸だか
ら、その好意が、より質的にも量的にも多く思えてくるくらいだった。
「浮気性になっちゃダメよ」
なつめは、泳の男のシンボルを握り、何度かさする。
「あっ、あっ」
泳があえぎ声を上げる。それを見て晴奈とみのりは、喜ぶ。
「もう、二人とも酷いなぁ…」
どこか年上の女達の微妙な母性本能をくすぐってしまう泳のしおれた?姿は、泳本人
にとってはみっともない様子にしか思えない。
「ゴメンゴメン、つい笑っちゃった。泳君、ごめんなさい。でも、なつめさんの方
が、一撃したのは確実よ」
晴奈は、一言多かったが、ごめんなさいと入った。
一方、みのりも笑いを止めて、平謝りだった。
「うん、分かった」
泳はその謝罪を了承しつつ、3人が見えない方向に行った。彼は岩場に隠れ、なつめ
に触られ固く大きくなった自らのシンボルを自分自身でさする。
なつめ、みのり、そして晴奈のよりエロティックなポーズを想定して、自らの中からほ
とばしる物を感じ取っていた。
「(晴奈さんとふたりだけ、みのり先輩とふたりだけ、もちろん…なつめちゃんとも
ふたりだけだったら、それぞれエッチしてたのかもしれないなあ… みのり先輩
は優しくくるみそうな感じで、晴奈さんは僕を飲み込みそうな感じで… もちろ
んなつめちゃんとなら、おたがいを受け入れ合う感じで…)」
泳は、自分の男のシンボルからたぎる物を外へ解き放ち、そのまま、仰向けに海に浮
かび、なすがままに海面を浮遊した。自らの男のシンボルを固くしたまま…
なつめと晴奈、みのりは、水の掛け合いをしている。なつめが潜り、晴奈の方に向か
い泳ぎ進み、目の前近くで両腕を丸く組み、勢いよく海水を浴びせかける。
「わっ、不意打ちとは卑怯なり…」
なぜか、みのりが冗談めかして言ったが、彼女も、晴奈となつめが一緒にいる所を大
量の海水を掛けて、ちゃっかり泳ぎ逃げようとするが、それを感じ取ってか、晴奈は潜
り、猛スピードで泳ぎ、みのりが水面から上がってきたところをすかさず…バシャッと
海水を勢いよく浴びせる。
「みんな濡れ濡れ…」
女3人が、ずぶ濡れになって談笑をしているところ、タイミング悪く?泳が流れ着い
てくる。
「わーっ、立ってる〜! かけちゃえかけちゃえ」
なつめが特に楽しそうに泳の男のシンボルに水を掛けている。勢いが失われていく彼
のシンボルを見ながら、晴奈は一言言った。
「普通だったら、我々女族は、目を背けるブツを楽しそうにおもちゃに出来るなんて
…まあ、泳君の若さとそれから発する輝きがあるのかもね… セックスとかエロと
か性欲とは別に、私達女も含めてそうだけれど、若くて瑞々しい肉体が一糸もまと
わずに露わになっていることがすばらしいという、そう言ったことを言う人もいる
ものね…で、一つやりたいことがあるんだけど…」
晴奈の言葉に耳を貸す、みのりとなつめと泳。
「記念写真取らない?全員の… 無論、素っ裸のままで」
テンションが高くなっていたぶんか、他の3人とも晴奈の考えに賛成した。
そして、4人とも30分程度泳いだあと海から上がり、少し暖かめのシャワーをそれぞ
れ浴びて、そして身体の湿りをぬぐい取ったあと、撮影場所になりそうなあの奥の広間
に向かう。その前に、晴奈は自室にカメラを取りに行く。
「昔のカメラだったら、裸だと、現像を認めてくれない可能性が大きいけれど、最近
はデジカメが発達した分だけ、簡単に画像ソフトで現像に似たことが出来たり、プリン
タで写真として印刷できるもんね…」
そう独り言を言いながら、晴奈はカメラ、無論、デジカメを取り出し、奥の広間に向
かう。裸体と機械、そのアンバランスさが、また独自の雰囲気を醸し出していた。
「お待たせ!」
晴奈はそう言って奥の広間に入り、カメラで自らの股間だけを隠すポーズを取る。ど
うも、昔の写真のリンゴヌードのパロディのつもりのようだ。
「あははは」
心地よい笑いが広間を包む。
「さあ、撮るわよ。誰からにする?」
晴奈の呼びかけに、まず自分がお手本、とばかりにみのりがモデルを引き受ける。
「ハイ、チーズ」
その声に、みのりは前向きのポーズと、うしろで手を組むポーズをした。
「みのりさん、なかなかモデルのセンスあるわね」
晴奈はみのりをほめた。その言葉に少し照れ笑いのみのりだった。
「あ、次、僕行きます」
泳が次の被写体となった。
「前向きの時はどこも隠さないのを1枚撮るからね」
晴奈はそう言った。みのりも確かに隠していなかった。
「じゃ、こんなポーズで」
泳は足を前に組み、むしろ自らの股間が隠れるどころか、強調されるようなポーズを
取っていた。
「やるじゃない、ここ来たときには考え慣れなかった大胆さよ、泳君」
晴奈はそう言って、泳をほめた。
「じゃ、次の僕は横向きで」
横向きのポーズを取った泳。今度は太ももで股間が隠れるポーズになっていた。
「このポーズもかっこいいわね」
晴奈は、少しほほが赤くなった。
そして泳も撮り終わった後、次はなつめの番だった。
「なつめちゃん、いくわよ〜」
なつめは少し両腕を広げて、やや内股気味でひざから下の脚部を開いたポーズを取っ
た。みのりのポーズは、片腕だけ腰に当てたもの、泳のは足を組んで両腕をひじから上
げた形、それなので3人のポーズはおのおの個性的だった。
「次も前向きポーズで行きます」
なつめは、広げていた脚部をかなり狭め、つま先立ちになって、両腕を後方に向かっ
てピンと伸ばしたポーズを取った。
「あ、なつめちゃんってヌード姿も妖精っぽい…って言っても妖精の本当の姿を見た
ことはないんだけど…無論、ほめ言葉よ」
なつめは、晴奈の言葉にさらに微笑みを浮かべ、無意識のうちに晴奈にもう1枚写真
を撮らせてしまった。
「なつめちゃん、プロのモデルとしてもやっていけそうかも」
晴奈は何度もなつめをほめた。なつめはありがとう、と言う感情が顔に表れていた。
「つ、次は私の番か…取るべきポーズがない…」
晴奈はそう言って、みのりにカメラを渡し、ポーズを取る場所に向かった。
「じゃ、味気ない直立不動で微笑みだけ、ゴメン」
晴奈の言葉に、みのりは『そんなこと無いですよ』と言う表情を返し写真を撮った。
「ハイ、チーズ」
その言葉によって写真が撮られた。そして、みのりは晴奈のモデル姿をねぎらった。
「なら、ちょっと女としては異色なポーズを…」
晴奈は、何と、ガッツポーズを…右腕を真横に上げ、さらに肘から先をまっすぐに立
てる。そして、自信満々な表情を浮かべた。
「すごい、晴奈さんかっこいい!」
なつめは晴奈のポーズに見とれた。
「では、ハイ、チーズ!」
みのりはシャッターを押して、これで4人それぞれの単独の写真は撮りおわった。
「では、次は二人ずつ。まずは、わたしとみのりをお願い」
晴奈とみのりの写真を撮るのは、まずは泳だった。
直立不動で、指先だけ触れているポーズの写真だった。
なつめが取ったのは、お互いが向かい合い、見る人が見れば『百合』なポーズだった。
なつめとみのり、晴奈となつめ、少し取る人の嫉妬の気持ちが出た?泳とみのり、泳と
晴奈、そして3人では同じく嫉妬になりかかりそうな泳となつめとみのり、泳とみのり
と晴奈、泳と晴奈となつめのポーズを撮影した。
「じゃ、泳君、お願い」
今度は、なつめとみのりと晴奈の3人がポーズを取る。当然のごとく、まずは隠さな
い前面向きのポーズで撮った。そしてさらに見よう見まねで、絵画の『三美神』のポー
ズで写真が撮られた。
一通り終わってあとは全員撮影か、というときに、晴奈は一言、
「あえて、メインとして泳君となつめちゃんのペアヌードを撮るつもりだったので、
今まで後回しにしていたのよ」
と、泳となつめだけの世界を楽しみにした様子のことを述べていた。
まずは、泳となつめが前を向いて隠さない写真を撮った。
「これだとなんだか男女比較表ね」
晴奈は独り言を言った。
そして次は、おたがいが見つめ合うポーズ。
「こう言うの、恋人らしくって素敵」
みのりも感想を述べた。晴奈はうなずいた。
今度はお互いが背中合わせ。まず立ちポーズ、続いて座りポーズ。
「ん〜、だんだん『ふたり』らしくなってきたわよ」
にわか写真家ヌーディスト・晴奈は、ふたりの裸身をいつくしむようにながめる。
「今度は抱き合って」
晴奈の要求がエスカレート気味になっている。むろん泳となつめは悪い気がしない。
むしろ、自分たちが今は何も着ていないと言うことさえ忘れるほど熱中していた様子
だった。そして、何のてらいもなく、ふたりは抱き合った。そして、それをスイッチと
して、おたがいの唇を合わせるキスまでした。
「わー、素敵… でも、その次の段階までは、さすが自粛ね」
晴奈はそう言って、なつめと泳をもう一度、前面向きのポーズで、今度は手をつなが
せて撮った。
「やっぱり、本物の恋人同士だわ、素敵よ」
晴奈は、感動さえしていた様子だった。
そして、最後の全員撮影に至る。
4人前向きにどこも隠さず並んでいるポーズで、まず撮影した。
「自動撮影か…最近のデジカメは、こういうのもできるみたいね」
晴奈は感心していた。
そして、次はポーズを付けて、でも4人ともテンションが高いから隠さないのは当然
だった。
4人で撮る最後の1枚…
それだけは、泳があまりの緊張で男のシンボルが固くなったので思わず隠してしまっ
たが、多分に全体で一番いい出来だったろう。
隠さなかったら、現像するカメラの場合では絶対に現像は無理だ、という事になりそ
うだったからかもしれない。ただ、デジカメではある。
「撮影終わり!」
晴奈の一言で撮影会は終わった。
その後、またいつも通りの休暇に戻る4人…
第6章・エピローグ。もう一度…
撮影の翌日… あの洞窟に裸でいる、泳となつめ。なつめの裸身は、あの日の撮影の
おかげで、さらに曲線美に磨きがかかっていた。
「もう一度、ここで…」
なつめは泳に身を任せ、泳は自らの男のシンボルをなつめの女の証に入れる。
ふたりは、肉体の契りを満喫したようだった。
やがて、裸のまま泳いで帰る、ふたり。でも衣服は洞窟には置いてこなかった。
ふたりが今まで着ていた服は、浅沖ハイツの洗濯機の中にあった…
そして、服が乾いたのを確認して、何事もなかったように服を着た。
ふたりは、そうして元の宿泊生活に戻っていった。
第6章、終わり。
第2部・終わり。
Nereid・終章
本編終章
裸で泳いだり、みのりの料理を満喫したりする泳となつめの宿泊生活は、しばらく続
いた。飽きもせずこの宿泊生活が終わる4日前の時限まで……そして、楽しく遊んでい
た休暇の最後の一日も過ぎた…
夜が明けて、日が昇った。
「これで遊びもゴールね」
という晴奈の一言で、勉強に戻る泳となつめ。
「頑張れー、もし困ったら現役女子大生の私も手を貸すから〜」
みのりが泳となつめにエールを送る。
「みのりさん、ありがとうございます」
みのりのエールにやる気を上げている泳となつめ。
とにかく遊び終えた泳となつめは、ここに来ていたときのような猛勉強を再開した。
忘れたところを再度計算し直したり書き直したり、食事がらみの時間以外は、徹頭徹
尾、一生懸命、何も目にくれず、ここでふたりが初めての体験をしたなんて言うことさ
えも、もう記憶の外に押しやっていくかのような勢いでの確認作業だったようだ。
そんなふたりにみのりがアドバイスをして、傍目八目的な感覚でレクチャーしていく
のであった。
その作業がかれこれ3、4日続いた。そして、みのりのおかげもあってか泳となつめ
は、無事に夏休みの課題を終えた。
作業を終え、泳となつめは、ふたりだけで風呂に入った。
「これで、ここでのふたりの裸の見せ合いっこも終わりだね…」
泳は、なつめのすらっとした体格に出ているべき所のみ、ふくよかな…例えば胸や腰
のあたりの所…肉付きを愛おしさといたわりを込めて見つめた。
「何でヌードの彫刻に葉っぱが着いているのか不自然に思ったけれど、やっぱ不自然
なんだなってのがが泳君の裸を見ていて今更ながらよく分かったわ」
なつめも、言葉を返す。
そして、ふたりはお互いの身体を洗いあい、たっぷりお湯が入った浴槽に入った。
ふたりは、風呂から出た後、いつもながらの夜に戻り、眠りに就いた。
そして、ふたりの夏休み留学?最後の日が来た。
荷物をまとめて帰る泳となつめ。ふたりは、あいさつして、迎えの車に乗り込む。
「今までお世話になりました。充分いろいろな体験ができました」と泳。
「ありがとうございました。きれいな空気と海を充分楽しませていただきました」と、
なつめ。
「でも、特に昨日一昨日の2日間でふたりとも宿題とか見直してもう一度勉強したも
のね… みのりまでふたりの勉強のアドバイスをして、凄かったものね…」
晴奈は、ふたりの努力をたたえるとともに、みのりの尽力をねぎらった。
「いえ、一応、私としては、後輩になるかもしれなさそうな人に先輩だったとした
ら、一体、何が出来るかな、って、思ってしただけのことです」と答えるみのり。
4人は少しばかり談笑して、その後泳となつめはその場を去っていった。
そして食事場…
「二人だけか… 何か寂しいわね。まあ、今月いっぱいはみのりさんと一緒にいられ
るけれど、夏が終わったらみのりさんも地元に帰るし、私もその後片付けが終わっ
たらここを去らなきゃいけないんだなぁって。また来年もここにいられるといいけ
れど」
寂しそうに晴奈は語る。
「そうですね、浅沖さん。私もなんだか寂しくなっちゃっています… あのふたり
は、来年はここには来ることはないだろうし、私も就職活動しなきゃいけない頃だ
し、浅沖さんもまた祖母が戻ってくるから、ここではしばらくは働かないのかも…
って」
みのりもうつむき加減で答える。
「え、それはないわ。来年から私と祖母で一緒に5年間ほど一緒にやって、それで引
退するって。もう今年で82になったし、この年齢でいつまでも現役を続けていら
れるとは思わないって、一昨日に電話があったから…」と、晴奈。
「あ、じゃ、しばらくここで働けるんだ」と、みのりは晴奈の言葉にほっとした。
「祖母が気が変わってここを売ったりしなければね」と、晴奈。
「でも、資金はあるし」と、みのりは売ったりしないとは思うという主観を示した。
「まあ、よっぽどのことがなければ」と晴奈も祖母の考えは多分に不変だと思った。
それを聞いてほっとして笑う二人。
そして、食事が終わって後片付けをするみのりと、それを手伝う晴奈。
「祖母が戻ってきたら、私が料理とか洗濯とかしなきゃいけないからね。みのりさん
がずっといてくださる訳じゃないから」と、みのりに言う。
「あ、それでしたら、他の職場に就職できなかったら、ここ浅沖ハイツの料理人とし
て就職いたしますので、そのときは改めてよろしくお願いいたします」と、
みのりは、返事を返す。
「愛い奴め、愛い奴め、おらおら」と、みのりをぐりぐりする晴奈。
そうこうしながら、片付けは終わり、みのりは、風呂場へ。
「わたしも、つい、今年の夏は真っ裸でばかり泳いでいたもんね。水着を着ていたの
は初めの日だけ、えへへ。で、身体しまったかな、少し……」
鏡で自分の裸身を見つめるみのり。ある程度の身体のたるみはなくなったものの、そ
れほどは痩せていない自分の肉体に少しだけがっかり。
「ありゃ、でも泳さんが『そんなに痩せてなくても大丈夫』って励ましてくれたから
別にいいか。これ以上は太らなければいいんだし」と、すぐ気を取り直すみのり。
いろいろ言いつつも、自分の裸身を確かめていたみのりのそばに、晴奈が入る。
「私も一緒に入るわ」と、一枚ずつ着ている服を脱ぐ、晴奈。そして、みのりの目の
前に生まれたままの姿をさらす。
「マスター、いい身体してますね、出るところ出て引っ込むところ引っ込んで…」
みのりは、晴奈の身体に改めて見惚れる。
「でも、みのりさんぐらいの肉付きでも充分いいスタイルの身体よ。それは私の主観
ではなくて、多分みんな同意してくれるってこと」と、晴奈は返す。
みのりと晴奈は、そこそこ他愛ない話をしながらここでの残り時間を十分に満喫しよ
うとする。食べ物の話、恋話、暮らしの話など…
そう言う類の話を続けているうちに、みのりは、晴奈が頼もしく思えてきた。
「ヤボな話ですが、もしマスターが男だったら、私ここであなたとセックスしたり、
そして、結婚したりしてもいいですよ」と、赤面しながらみのりは話した。
「大丈夫よ、実は、私、男も女もいける口だから、別にそんなに気にしなくても…
まあ、結婚は出来ないけれどね」と、晴奈は自分自身の意外な『傾向』を話した。
そして晴奈は、みのりを背後から抱きつき、慈愛の眼差しで照れるみのりを見る。
「わ、私も浅沖さんとなら、女同士でも大丈夫って気がしてまいりました」と、
みのりの気持ちもそちら側に流れていく様な気がしたところ、それは少しやばいと
心配した晴奈が一言、みのりに正気に返るように言った。
「まあ、冗談よ。それより一緒にお風呂に入りましょ」と。
風呂場でお互いの身体を洗いあうみのりと晴奈。『同志』とか『戦友』と言う言葉ま
では行かないまでも、仲間意識がますます強まっていく二人だった。
お互いの身体を洗いあう様子は、やはり、普通の友情だけでは測ることの出来ない、
ものすごく特別に親密な感じを印象づける。
そして、入浴。
二人が一緒に入る姿は、まるで観光名所の温泉の露天風呂の広告写真を連想させる。
「いい湯だな、あはは」 「いい湯だね、るるる」と、二人は鼻歌交じりどころか、
むしろ朗々とした声で歌っている。
「極楽極楽」と風呂ではおなじみの言葉が、なぜだか、若い娘達の口から出ている。
それほど充実した日々を二人も送ってきたのがこのことで分かることだろう。
そして、二人は風呂上がり。
タオルを巻き付けて、晴奈とみのり、おのおのが瓶入りの牛乳を持ち出し、その蓋を
開け、腰に片手を当てて…顔を上げ気味にして牛乳を飲む。
「うぃ〜っす、風呂上がりにはやっぱりこれだね。牛乳」と、晴奈。
「わ、私は、いちご牛乳派です」と、みのり。
そして、二人は歯を磨き、お互いの部屋に戻り、就寝する。
お休みなさい------いつもの言葉を言いながら、二人は眠りに就く。
しかし、少し寂しい気持ちだけは残っている。それに、泳となつめが無事に帰れたか
も心配ではある。そう考えるとさすがに寝付きは悪いが、それでも疲れの方が優先され
て、完全に眠りの方が、勝ることにはなる。
そして、朝。
目覚める、みのりと晴奈。みのりはいつも通り、朝食を作る。
そして、いつものごとく食事場で食事を取る二人。
「うまいうまい。これこそ手作りの醍醐味」と、晴奈はまたまた堪能し満喫する。
「いつもいつも、ありがとうございます」と、みのりは晴奈に返事する。
そして、昼食の準備をしようとするみのりが、電話のベル音を聞いて、晴奈を呼ぶ。
「電話です、泳さんとなつめさんから」
晴奈は押っ取り刀で電話を取り、泳やなつめと話す。
受話器越しにではあるが、晴奈は目の前に人がいるかのごとく、
「無事だったの、良かったね。で、今度は受験に合格するのよ。次の電話は、実際合
格じゃなきゃ真面目に話さないから」と。
「では、良い受験環境を」と、晴奈と代わったみのりも泳となつめにエールを送る。
そして、その日の浅沖ハイツ、ここではほとんど海の家と称されている場所だが、和
気あいあいとした雰囲気が満ちていた。
そんな夏の日々もやがて終わりを告げ、秋、冬とそれぞれが訪れ、半ば手持ちぶさた
な晴奈にまた電話が来る。晴奈の実家の電話だ。
「晴奈、電話よ。夏にお世話になった人から」と晴奈の母。
「あ、私、美潮なつめですが、桜満開です!」と合格を報告する。
「ご、合格! とにかくおめでとう!」と、なつめを祝う晴奈。
「で、泳君は?」ともう一人の方をたずねる晴奈。
「見るの忘れちゃった。昨日で18になったのに、小学生でもしないはずのドジ…」
なつめは、そう言って反省していた。
「もぉ…… 春から大学生なのよ、この調子じゃ思いやられるわ…」と、晴奈。
「二度としないよう注意いたします」と、丁寧な口調のなつめ。
一方、みのりの実家にも、電話が。
父親が、取る。若い男の声が、みのりの父親の耳に響く。
「あ、あ、摂津さん、いらっしゃいますか」泳の声だ。
「おい、みのり、親に黙って他の若い男と…」と父親。
「あらこんな事になってたんですか? もう、みのりったら…ママは心配よ」と、
母親。
「いや、男っ気のなかったお前がこんな朗々しい声の若者、多分顔かたちも良さそう
な青年と交際をしているとは、これで婿の心配もなかろうとな!」と、
歓迎している父親。
しかし、みのりの父は何か勘違いをしているのだろう。
「いえ、違います…私が出ますから」と、みのりは父親に代わって受話器を取った。
「あ、私、摂津みのりですが、南浦泳さんで良かったんですよね、受験どうでした?
え、合格?おめでとう!これからの大学生活を充分エンジョイして、沢山の知識も
得られるよう祈ります」と、みのりは泳への祝辞を送る。
「なつめも合格したって話聞いて、僕にとってはすばらしい誕生日プレゼントとなり
ました。実は僕、なつめより一日だけ年下だったんです…」と、泳。
泳の意外な告白に驚きつつも、みのりは、改めて一言、
「この合格を浅沖さんにも伝えてください」と、泳に言った。
「あ、今すぐにでも…」泳は、電話を切って晴奈の方にかけ直そうとした。
「どうしたんだい…」みのりの父親はみのりに改めて電話について聞いた。
みのりは、かくかくしかじかといきさつを話し、
父親は「ああ、まだ男に縁無しか、やっぱりあの婿だけか…」と、なぜか残念そうな
様子を分かるように大げさに示していた。
「忘れたんですか、婚約者が出来れば、それはそれでいいはず… それをわざわざ無
しにすると、周囲に色々誤解されかねないことを言わないでください、あなた」
と、呆れつつ夫をたしなめたが、みのりの母親は、安堵の表情をすぐに取り戻した。
摂津実俊、55歳、摂津みすず、51歳の晩冬の日だった。
一方、晴奈は、泳からの合格の報告を受け、喜び、
「おめでとう、泳君。私、これで安心したし、君を誇りに思うよ」と、
受話器越しに泳に話して、まるで我が事かのように、ガッツポーズを取った。
Nereid 本編終章・終わり。
まるで蛇足な?エピローグ
あの夏の日からもう5年が経つ。浅沖ハイツは、晴奈が切り盛りしていた。
あれから5年後の客も、泳となつめを思い出させる美少年・美少女の仲良し2人組だ。
一 方、泳となつめが結婚したという報せがこの浅沖ハイツに届いた。
「あの時から5年間我慢していたけれど… やっぱり我慢できないし、とにかく共働
きでも自立できるので入籍しました。なお、私にとってはなつめは一日だけ姉さん
女房です。また、機会があったら浅沖ハイツに旅行したく思います」という内容が
記された結婚を知らせる手紙だ。晴奈は、泳となつめの結婚祝いをどうしようかと考え
はじめることにもなってしまった。
一方、当然のごとく、と言うべきなのか… この浅沖ハイツでは新しい女子大生が、
料理場で働いている。その新人に優しく指導しているのは、あの婚約者と入籍・結婚
した、摂津みのり、その人であった。
みのりは、「まずは、慣れが大事ですから」と女子大生を見守る。
祖母はどうしたのだ、と言うことなら、意外だが引退したと言うことでなく、無論、
亡くなった、と言うわけでもない…
祖母は自分の息子・晴之とその妻・奈美子、要するに晴奈の両親だが、晴之は60歳
にもなっても、自分の母親に頭の上がらない状況が、続くことになるかもしれない状態
------新しい民宿の共同経営者になっている。無論、浅沖ハイツもその民宿の経営母体
の傘下に入っているのだ。
「お婆さんたら、87歳にもなるのに、元気がいきなり復活しちゃって…」と、
晴奈は半ば呆れ、そして、その一方で半ば感心した様子だった。
晴奈は、自室の引き出しの中にある写真が入ったクリアケースを取り出し、独り言を
ぶつぶつと言った。
「普通、お年寄りがこの手の写真を見るとご逝去あそばせかねないんだけれども…」
クリアケースの中に入っているA5版の写真…
「これ見て元気が回復してしまったと言うんだから、それも『まだまだ若い者には負
けられない』って…」
その写真は、泳、なつめ、みのり、そして晴奈の4人が……
「お婆さん、この写真が『回春剤代わり』と言っていたわ…」
泳、なつめ、みのり、晴奈、4人が5年前に撮った記念写真……。
「でも、お婆さん、『今時の若い男はだらしないねぇ』って、泳君の姿見て残念がっ
ていたみたい」とも独り言をする晴奈。
記念写真は、泳、なつめ、みのり、晴奈、全員が全裸で、泳が股間を隠している以外
はどこも隠さない、前面向きのポーズだった。
裸の4人の生き生きした姿は、あの日の夏を象徴するものだった。
Nereid 完全に終結。
評価
ポイントを選んで「評価する」ボタンを押してください。
ついったーで読了宣言!
― お薦めレビューを書く ―
※は必須項目です。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。