警告
この作品は<R-18>です。
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◆23話
もっとスピードを上げる為、手に持っていた刀を腰に挿そうとして思ったよりも刀が長いことに気づいた。
私が元々持っていた刀よりちょっと長い。
これって特注かな?
何で長いんだろう?
それとも私の刀が短いだけとか?
疑問を感じつつも走る足は緩めなかったからすぐに菱沼屋に着いた。
「表に見張りが1人。後は裏口から店に入るって言ってました」
そう斎藤さんに言うと、斎藤さんは頷く。
「見張りは後にしろ。逃げられてもかまわん。俺が先に店に入る」
「はい」
斎藤さんが刀を抜いたので、私も刀を抜く。
「ちょっと待てよ!」
突然後ろから声が聞こえ、振り返ってみれば原田さんだった。
寝起きだったのか、髪はボサボサ。
寝巻きの前は完全に肌蹴、腰紐のおかげでかろうじて前は隠れているような姿だった。
手には槍を持っている。
「俺も混ぜろ」
不敵な笑みを浮かべて立っていた。
「承知、では表を頼む」
「了解!」
担当を言い渡され、承知すると斎藤さんは裏手へ走っていった。
「あ、じゃあ私に言わせてください!」
「何を?」
顔をひそめる原田さんを無視して、私は店先に走って行き、その戸を力いっぱい叩いた。
「新選組だ! 御用改めである!」
声を張り上げてそう告げると、とたん、中から物音が上がった。
そして次の瞬間、裏の方で男の叫び声が上がる。
私は素早くそこからどいて、場所を原田さんに譲った。
「私は見張り役を探しますので、ここを頼みます」
「あ、ああ……」
戸惑いつつも、店先に原田さんが立つのを確認し、私は見張り役を割り当てられた卯田っていう人を探した。
そしてすぐに向かいのわき道の入り口で刀を構える卯田さんを見つけることが出来た。
「無駄な抵抗をしたら切ります! 手荒なことをしたくはありません。素直に捕まってください」
そう言うと、卯田さんの瞳が揺らいだ。
「何か事情があってこんなことをしたんだとは思います。後でゆっくり聞きますから、刀を捨てて両手を上に挙げてください。そうすれば絶対何もしないって私も誓います」
「……わ、わかった」
卯田さんは私の言葉に頷き、刀を下に落として両手をあげた。
「ありがとう」
素直に従ってくれた卯田さんに私が笑いかけると、何故か卯田さんがもじもじした。
……えっと、私、見た目は男だよね?
どうして赤くなるの?
理解出来ないまま、卯田さんを路地から連れ出すと、原田さんが私に近づいて来た。
「よう。終わったぜ」
「あ、ご苦労様です。助かりました。えっと、縄とか何か結ぶ物持ってます?」
「あ〜とりあえず獲物だけ持って出て来たからな。コイツ以外何も持ってないぜ?」
そう言って原田さんは自分の槍を振った。
その切っ先は赤いモノで濡れている……。
「あ、俺のこの紐使うか?」
そう言って、自分の腰に巻かれた紐を叩く。
それ外したら、着物をどうやって抑えるんですか……。
「いいです」
私が断わると、斎藤さんが、男の人を連れて戻って来た。
「店の亭主だ」
かっぷくのいい。
いかにも店主って感じの人が頭を下げる。
「助けてくださってありがとうございました」
「店の者が2人ほど切られたが、他は大丈夫だ。あんたの言ったとおり、店には3人の男がいた」
「すげぇな。言った通りか……」
斎藤さんの言葉に、原田さんが関心したように呟く。
「そんじゃ、後は斎藤に任せて俺らは帰りますか?」
「え?」
「お前さんは土方さんの説教を拝聴するっていうお勤めがあるからな」
そう言って笑って、私の持っている刀を指で弾いた。
「あ……」
そう言えば、蹴りをいれちゃった上に、土方さんの刀を奪ってきちゃったんだ。
すごい怒ってたもんね。
「じゃあ、後は頼んだ。俺ら、屯所に戻るぜ」
「ああ」
原田さんは斎藤さんに手をあげ、私の腕を掴んで引っ張ると歩き出した。
「ちょ、引っ張らなくても歩けます!」
「確実に土方さんの前まで連れていかねぇと、俺が代わりに説教をくらっちまうからな。しっかり捕まえておかないと」
引っ張られるまま歩いていき、しばらく行くと、後ろから誰かがついてくることに気づく。
振り向いて見れば見張り役をしていた卯田さんだった。
「う、卯田さん? なんでこっちに着いて来てるんですか?」
「あ……。貴方は信じられる人だから、私、ついて来ました」
「ええっ〜」
痩せこけた体を揺らし、恥かしそうに答える卯田さんに、原田さんもあ然としている。
「やるなぁ〜。男も虜にしちまうのかよ」
「なっ! 変なこと言わないでください」
こうして私の長い夜がまだまだ続くのだった……。