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◆21話
 部屋で休んでいると、廊下が騒がしい。
 突然襖が開かれた。

「松坂、飯だ」

 土方さんは簡潔にそう言うと、開けた襖をそのままにして背を向ける。
 私は重い腰を上げて、土方さんの部屋に入る。

「あれ? どうして井上さんもいるんですか?」

 部屋に入って気づいたが、部屋は真ん中で衝立のようなもので仕切られ、手前には土方さんがいて、奥には井上さんがいた。

「いくら幹部でも個室を持てるほどここは広くねぇんだよ。ほら、座れ」
「あ、はい」

 私は井上さんに頭を下げると、土方さんの向かい側に置いてあるお膳の前に座った。

 お膳には白いお米は所々に見える麦飯。
 お付け物と、葉しか入っていない味噌汁。
 メザシみたいな干した小魚が2匹。

 それがお膳に乗っているメニューだ。

「……どうした? 食べろ」
「あ、はい。いただきます」

 素直に挨拶をしてお茶碗を手に取る。

 私は気にしないけど、成人男性が食べる夕食にしては貧相なメニューだ。
 土方さんのお膳を見ても同じ量だった。

 新選組って貧乏なのかな?

「お前の世界とは食い物が違うのか?」

 まじまじとお膳を見ていたことに気づかれ、味噌汁を飲んでいた土方さんが口を開く。

「違くはないんですけど、量も少ないし、ちょっと栄養のバランスが偏っているかな?って思って」
「ばらんす?」
「あ、ええっとつりあいって意味です」
「これしか食うもんがないんだ。黙って食え」
「はい」

 私達の世界と違って、流通面が発達していないし、色んな保存方法も確立していないんだろう。
 そう考えると食べられる品種が限られてしまうのも納得出来る。

 ま、私は好き嫌いがないから、何でも美味しく食べられるし、この世界なら農薬とかの薬品の心配もないから安心食材だよね。

 土方さんと2人の食事はそれほど嫌なものじゃなく、私は美味しく夕食を食べることが出来た。







 井上さんから食後のお茶を頂き、飲み終わると、さっさと土方さんの部屋から追い出された。

 この時代の光と言えば、灯篭とかしかないんだろう。
 当然、私の部屋には灯りなんてのはなく、部屋は暗い。

 月明かりが差し込むおかげで、ある程度は見えるのは助かる。

 やることもないし、疲れたこともあって、さっさと布団をしく。
 一緒に用意されていた寝巻きに着替え、隣の土方さんに向かって一声かけると、布団の中に滑り込む。

 この世界の布団にも怪我の治療中で慣れた。
 枕が替わっても平気な方なので、すぐに眠りへと引き込まれていった……。