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◆13話
 土方さんはある部屋の襖を開けた。

「入れ」
「はい」

 言われた通りに中に入ると、数人の男性がくつろいでいたが、私の顔を見た途端、空気が凍った。

「楠……。貴様、生きていたのか?」

 いかにも運動系の顔した男が言葉を発する。
 ツンツンの短い前髪、後ろで1つにひねり上げている。

 すごく真っ直ぐで真面目な印象を受ける。

 その人の横には、ざっくばらんに切ったような焦げ茶の髪を首の後ろで1つに纏め、きりりとした眉が印象の土方さんにも負けないくらい美形の男の人が座っていた。

 部屋の右奥の柱には、前髪がうっとうしそうなぐらい長いものの、後ろはさっぱりと短い。
 眉は太く、炯々とした男が座っている。

 右の襖の前には姿勢のいい男性が本のようなものを持っていた。
 いかにも頭が良さそうで、この人も生真面目そう。
 髪型は一般的なマゲを結っている感じに近い。

 もう1人は本を読んでいる人にお茶を渡していた。
 人の良さそうなおじさんで、年齢も1番上みたいだ。
 短い髪を綺麗に結び、後ろで団子のようにしている。

 部屋には5人の男性がいた。

「斎藤、他のヤツを呼んできてくれ」

 そう土方さんが言うと、右奥に座っていた人が頷いて立ちあがった。

 すごく背が高い。
 この人があの斎藤 一……。

 じゃあ、並んでいる2人も幹部の誰かだろう。

 斎藤さんが部屋から出て行くと、土方さんに座るように促され、素直に適当な場所に座る。
 その間、まだ部屋にいる2人の視線は注がれたままだった。

「土方さん……」

 焦げ茶の美形さんが土方さんを呼ぶ。

「全員揃ったら説明する」
「……」

 土方さんにそう言われると、本を読んでいた人は本を閉じて、懐に本を入れると、真ん中へ進み座りなおした。
 それに伴い、他の人達もそれに習い、次々と真ん中に座っていく。

 良く見れば、いない場所に人が座れば、左右対称に2列出来る。

「失礼する!」

 野太い声が聞こえ、先ほど私を捕まえた時にいた松原さんが部屋に入ってきて、右側の前から4番目に座った。

 説明すると、まず、右の1番前には土方さんが、その向かい側の左には、さっき本を読んでいた人が座り、その横にお茶を入れていた人が座っている。

 その人から少し空けて焦げ茶の美形さんがいた。

 右の土方さんの隣には誰も座っておらず、そこから1人分空けた場所にツンツン頭の生真面目そうな人が座っている。
 松原さんはそこからさらに1つ空けて横に座っている。

「松坂、オマエの席は1番後ろのそこだ」

 適当な場所に座っていた私に、土方さんが列の1番最後の間を差した。

「……」

 立ち上がって言われた通りの場所に移動しようと、本を読んでいた人の後ろを通る。
 その間、みんなの視線がつきささっていた。

 針のむしろってこういう感じなんだろう。
 貴重な経験なのに喜べない……。

「声をかけてきました」
「ああ、ごうくろう」

 戻って来た斎藤さんは、ツンツン頭の人と松原さんの間に座る。

 私もその前に指定された場所に座るけど、いたたまれない気分だったので、何人かの視線がそらされるは嬉しかった。

「藤堂です」

 まだ若くやんちゃそうでいて人懐っこい顔の人と、真っ黒で綺麗な髪を頭の上で1つにまとめて毛先を綺麗にカットした爽やかそうな男性2人が入ってきた。

 藤堂って名乗った人はお茶を入れていた人の横に座り、綺麗な髪の人は土方さんの横に座る。
 その後続いて3人の男性が入ってきて、席はすべて埋まった。

 しばらくすると足音が聞こえ、近藤さんが現れた。

「遅くなった」

 それだけ言って、私の向かいで土方さんと本を読んだ人の間の上席にどかりと音を立てて座ると、私に優しく微笑みかけてくれた。

 近藤さんはいかつい顔をしているけど、笑うとえくぼが出るんだ。
 何か、誰からも好かれていたって、私も判るかも。

 何となく、嫌いになる人なんていないんじゃないかってぐらい、近藤さんは好感が持てる人だ。