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二 佐久間一族
 鞍馬の山の奥深く、誰も寄りつかぬ岩山にその修験堂はあった。

 修理に斬られた三人の処刑人の骸はそこに運び込まれていた。
 憤怒の相の孔雀明王の本尊の前で護摩が焚かれ、堂主が呪を唱えている。その後ろに骸、そしてまたその後ろには数名の修験者姿の者達が、胡座をかいて座ってた。
 呪法が終わると堂主はすくと立ち、骸の前に片膝を突いて凝視し始めた。周りの者達も同じ格好をしてその周りを囲む。
 堂主が苦々しく口を開いた。
「・・・治部殿(石田三成)から散々の御叱咤であった!儂等は役目を解かれたわ!太閤殿下は儂等のことは知らぬので、木下殿にとばっちりが行ったがな」
「邪魔が入ったのは必定!誰が一雲殿等を倒したかが問題!」
「関白殿下にそのような助っ人が居ったとは何も情報が無かったぞ!」
「一雲等、三人を相手にして無傷で済む武士はそうそう居らぬ!これを見よ!」
 堂主の五部浄ごぶじょうは佐久間一雲の骸を指さした。
「一雲は人中路を真っ二つにされておる。一雲は雷刀での斬り合いで負けたのじゃ。ということはこの時既に、天馬、鞍馬の二人は倒されておる!」
 居並ぶ者は驚いた!
「ではたった一人で!」
「鶴翼の陣では天馬は右翼、鞍馬は左翼じゃ。最初に天馬の右足を斬り、鞍馬に駆け寄って右胸を突いた。と言うことは、最初の一雲の一ノ斬りを、天馬の側の左に飛んで避けた」
「左に!」
「左から切り下ろされれば恐ろしさで通常の者なら右に逃れる。この者、ただ者ではない。右に避ければ鞍馬の一ノ斬りが再び襲う。死角を常に突いている」
「関白側でこれだけの腕を持つ者とは・・・?」
「関白は始終監視されていた。近従の四人が誰と接触したか、調べるのじゃ!このままでは済ませぬ!我等、佐久間一族の沽券に関わる!」
「はっ」
 配下の修験者達は暗闇の中を迅風の様に消えていった。



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