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十五 善吉和尚
「善吉!血迷ったか!」

 老和尚は厳しい顔に戻り言い放った!
「儂は境内を貸せと言われただけじゃ!お前等の師としてのよしみでな!じゃがな、関白様の一件、この耳に入ってきたわ!この人非人め!秀吉と共に地獄に堕ちよ!」

 修理は驚いた。太閤の名を呼び捨てにして助太刀をしてくれる者があるなど、考えもしなかった!
 だが、剣の師と言っていたが、この老人が助けにはなるとは考えられぬ!

「御老師!お心は有り難いがこれは我と佐久間殿の関わりである。黙って見ておられよ」
「ほっほっほ!お主、若いがなかなか見所がある。儂のことなら心配無用じゃ!そろそろ生きていくのに飽いて来た。この世に要らぬ奴らを道連れに、仏への土産にしようと思っていた所じゃ」
 五部浄が血相を変えて怒鳴った!
「善吉!心が変わってももう遅い!今の太閤様への暴言!聞いたぞ!」

 太閤は自分を小馬鹿にする様な戯れ言を決して許さなかった。奉行に検挙させ、出来なければ奉行を罰するほどだった。掴まれば指を切ったり残虐な刑が待っている。
 修理は思った。
 こ奴らの上司は太閤の懐刀、石田三成!自分が死んだ後、この老師にどのような難儀が降りかかるか!

 だが、老和尚はまるで動じる様子は無かった。
「そうか!聞いたか!虎の威を借る狐どもめ!ではもっと言ってやろう!それ狒狒じゃ!猿じゃ!」
 老僧はおどけた様に顔を猿面の様にした。


 その時、山門から中を見る野次馬達がわーと騒いだ。その中を掻き分けて、一騎駆け込んで来た。


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