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十一 俺も行く!
 静音が修理に言った。
「では俺との果たし合いはそれが終わるまで待ってやる!」

 庄左右衛門が諭す様に言った。
「静音殿!こ奴らは尋常の使い手では無いそうじゃ!」
 死地に立つ修理を、もう許してやらぬかと静音の目を見た。そして修理と共に逃げればよい。

 静音が言った。
「俺が加勢してやる」
 これには修理も庄左右衛門もびっくりした。
 まだ幼い静音の剣は、百戦錬磨の剣客達に通用するわけがない!斬り合いも経験したことがないのに!
 修理は叫んだ。
「駄目じゃ!」
「じゃ、俺をここで斬り殺せ!書面からすると相手は一人ではないじゃろう!そこで殺されるならここで死んでも同じじゃ!」
 静音の激しさに二人はあんぐりとする。捨吉が廊下で聞き耳を立てている。

 静音はすらと脇差しを抜いた。
「俺の怒り、忘するな!」
 そう言って胸を突こうとした。
「ば!馬鹿!止めろ!」
 修理はだっと飛び出して静音の腕を取った。
 間近に陽光の下はっきりと見る静音の顔。怒りの美神。静音の若く柔らかい肉体の匂いが漂ってくる。
 こいつは一度言い出したら後には引かぬ。静音の性格を思い出した。

 二十二日はあさってである。その夜、三人の侍と一人の老いた中間は、それぞれの思いで夕餉を共に取った。

 夜も更けると二人で寝室に行く。静音は床の上に正座して夜の庭を見ている。
 夏のそよ風が、静音の背に垂れた髪の細かい房を揺らしている。
 修理はその後ろ姿を見ていた。どこまでも愛らしく優しい姿。
 修理は自分は佐久間五部浄との戦いで死ぬだろうと思った。一雲よりもまた上の剣客が何人かやって来るだろう。
 関白の罪状をねつ造するために、町人を残虐な剣で斬った者ども!
 人では無い!
 あの時、三人も相手に勝ちを収めたのは奇跡としか言いようが無い。

 静音をそんな連中の為に死なず分けにはいかぬ!


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