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お風呂場で
 父は事件の揉み消しを図った。せっかく受かった私立校には行けなかったな。
 2度と誘拐されないように地方の寂れた田舎町に父は家を建てた。誘拐を警戒してと言えば聞こえはいいが体のいい所払いだ。
 そして俺をそこに置いた。近所には両親は忙しく仕事で地方にはいれず体の弱い俺がおばあちゃんと田舎で療養しながら暮らすといって回ったらしい。
 父は誘拐された事は忘れろと言われた。
 父に少しでもよく思われたかった俺は素直に従った。
 家が四つあるのには訳があった。一つは父が隠し事をするための家。一つは母のための家。一つは家に仕えてるものの保養様。そして俺のため。っていうかやましいものを隠す為の家って行ったほうが正しいかもな。
 
 その町の小学校の入学式は都心よりも少し遅く、俺は入学式に間に合った。
 初めての土地でうまくやっていけるか不安だった。
「あれぇ。初めてあうよねぇー。」
 そう声を掛けてくれたのは信吾君だった。そして、
「よかったぁ。一年生は僕だけだって言われてて、寂しいなぁって思ってたから。僕東信吾。よろしくね。」
 満面の笑みで手を出して握手を求める信吾君が天使に見えた。
 初恋で一目ぼれ。それからずっと好きだ。

 ああ。信吾君に会いたい。


 俺は何も考えず家を飛び出していた。そしてただひたすら走って走って信吾君ちに向かった。

 夏なので七時は回っていたけど明るかった。
 俺は信吾君の部屋の窓の明かりを下から眺めていた。
 その時ガラッと窓が開いた。
「あきら君!どうしたのこんな夜に。」
 信吾君は俺の姿を認めると大きな声を出した。
「うん。ちょっと寂しくなって・・・信吾君の顔が見たくなって。」
と、俺が言うと信吾君はにこっと笑って
「まってて。」
 しばらくすると
「あきら君。」
 慌てたような信吾君が玄関を開けた。
「信吾君。ごめんねこんな時間に。」
「いいよ。それより上がっていきなよ。泊ってもいいよ。お母さんおばあちゃんに電話してる。あ、晩御飯食べた?」
 嬉しそうに色々話す信吾君が愛おしい。
「本当に。泊っていいの?。」
「うん。いいよ。上がって上がって!」
 俺は
「お邪魔します。」
と、靴をそろえて上がった。
「いらっしゃい。おばあちゃんにはちゃんと許可もらったから遠慮なくくつろいでね。御飯は食べてきたのね。今度から来る時は御飯食べないでいらっしゃいよ。一緒に食べましょう。あ、お風呂沸いてるから二人で入っていらっしゃいよ。」
 信吾君のお母さんはすごくニコニコしてる。
「はい。」
 僕はにっこり笑ってそれに答えた。


 一緒にお風呂入ろうと信吾君に言われ、俺は別々に入ったほうがいいかもと言った。
「なんでー。一辺に済んだほうがいいじゃん。」
と、信吾君は口を尖がらせて抗議した。
「だって・・・俺、信吾君をまた触りたくなっちゃう。」
 多分暴走する。俺が下を向いてもじもじしていると、
「・・・いいよ。触っても。」
 なんて嬉しい事いうんだ信吾君。嬉しさから涙が出る。
「ホントにっ!」
「うん。」
 脱衣所で服を脱ぎながら俺は
「俺ね、今日信吾君にあんなことしちゃったから、怒ってるか嫌われたかもってずーっと信吾君が帰ってから思っててね。そしたら、御飯食べらんなくて、どうしても心配でね・・・」
「えっ何でぼく怒るの?だって気持ちよかったよ。それに・・・」
 全部服を脱いで風呂場の戸を開ける。信吾君ちの風呂は庭にあって家から離れてる。少々信吾君が声を出しても大丈夫そうだ。
 信吾君が急に言いにくそうに小声で
「それに何?」
「さっき一人でしちゃったの。あきら君に教えてもらったやつ。」
「ええっそうなんだ。」
 俺の声も小声になっている。
 信吾君が湯船のお湯を桶ですくって俺に掛けてくれる。
「あきら君にして欲しいって思っちゃった。だからあきら君の名前をよんじゃったん・・。」
 かわいい事を言われ俺は愛しくて愛しくてたまらなくなった。だから思わずキスをした。
 そっと唇を離してから、俺は自分の気持ちを正直に打ち明ける。
「信吾君。俺、信吾君のこと好きだよ。」
 そして信吾君を抱きしめた。


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