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あきらの過去
 あの後信吾君には気持ちいいことは二人の秘密にしようといっておいた。信吾君素直だから釘をさしておかないとついうっかり喋っちゃいそう。
 しかし、気持ちよかった。信吾君可愛い。本当に可愛い。俺ってすごくラッキーな男だと思う。この町に来て本当によかった。
 あの事も俺には大事な事だったんだよな。あれがなかったら男を好きになんてならなかったかもしれないし、この町には多分来なかった。
 そう。忘れもしないあの事だ。信吾君に出会う事になり信吾君を好きになるきっかけをくれた。


 小学校に入学する直前の事だったなぁ。
 有名私立校の入学試験に主席で通って鼻高々だったっけ。誰も褒めてくれなかったけど。
 ばあやが制服の丈を直してくれたり、写真館の人が家に来て記念写真を撮ったり、毎日忙しかったな。
 あの日ちょうどばあやが買い物に行っていて、執事の片岡もおらず、俺一人留守番してた。母はどっかのパーティで、父は仕事だ。
 俺は英語の勉強をしていた。母さんが英会話が出来ればパーティに連れていってやってもいいなんて思ってもない事を言ったのを真に受けてまじめに勉強してたっけ。
 ガシャンって家のどこかで音がした。でも、屋敷は大きいから俺は見に行く気もしなくてそのまま部屋にいるといきなりドアが開いて、手袋に黒い服、覆面の人が入ってくるのが見えてその後記憶が飛んでいる。
 気がつくとちっさいベッドに寝てた。
 手は後ろで縛られ、口には猿轡。足も縛られていた。
「気づいたか。お前はこれからココで暮らすんだ。」
 怖い。俺は目をつぶっていた。男の声だ。
「目を開けろ。恨むんなら親を恨むんだな。本当は殺せって言われてるけど、お前が妙な真似しなけりゃ殺しゃしない。お前はこれから私の便所になるんだ。」
 ?
 何を言われてるのか全然分からなかった。
 便所になるってどういう意味だろう。とそのときは思った。
 とりあえず騒がないでおこうと思ったっけ。男の顔は狐目で細い。
 全体的には蟷螂のようだと思ったな。
 部屋は窓がなくコンクリートの打ちっぱなしの床、壁そして小さなベッドに裸電球が一つぶら下がり、トイレと洗面台がある。ドラマなんかでみる外国の刑務所みたいだった。
 ドアは鉄で出来ていた。覗き窓がついている。
 男は俺の髪をつかんで顔を覗き込むと猿轡を外してキスしてきた。
 そのときの俺はキスなんて知らなかったしそれが何の意味があるのかも分からなかった。
 男は気が済んだのかドアから出て行った。
 そして入れ替わりに入ってきた男はさっきの男とは正反対で狸みたいで目は大きく体も大きかった。
「あらあら、可愛そうに。いま取ってあげるからね。」
 その男は俺の腕と足の拘束を取ってくれる。
「ごめんね。本当は誘拐なんてしたくなかったけど・・・でも、これで借金帳消しにできそうだから・・・。君に恨みはないからココでは自由にしていてくれていいんだよ。」
 男の名は司郎。蟷螂男は顕示。交代で俺の面倒を見た。
 顕示は鬼畜野郎でいつも俺を縛っていきり立った自分のちんこを俺の小さな口にねじ込んで精液を放つ。こいつがいる間は休めずいたぶられた。ひどいときには頭からションベンをかけられた事もある。
「穴がもっとでかけりゃぶち込めるのに、ったく。」
 俺はこいつが嫌いだった。だが調教され俺の体はひどく淫乱になった。
 だが司郎はちがう。
 司郎には親にもらえなかった温もりを与えられたのだ。
 この男は人がいいらしく俺を自分の子供のように可愛がった。
 外にも連れて出てくれた。
 食事は日に二回。司郎が作ってくれた。
 肩車してくれたり、馬になってくれたり、料理を一緒に作らせてくれたり、ゲームをしてくれたり。
 何が一番嬉しかったかといえば夜一緒に抱っこで寝てくれて絵本を読んでくれることだった。
 俺には両親はいるけど母としか血がつながっていない。厄介な子供だった。
 家は裏金融。大金を転がし大きな会社、小さな会社を買収しまくっていた。
 家族が危ない目にあうのは当然のことで、母も兄も父も俺までも誘拐経験者だ。
 俺は母が誘拐された時に回されて出来た子供だった。その事で父と母はいつも言い争ってたっけ。
 厄介者で誰も愛してくれなかった。手をつないだ事も一緒に寝てくれた事も遊ぶなんてとんでもなくて本当に何もない子供だった。
 司郎がそれを全部俺に与えてくれた。誘拐されたのに幸せだったのだ。
 幸せな暮らしは司郎が警察に自首して幕を閉じた。
 誘拐されてちょうど一ヶ月たっていた。
 顕示が俺に性的虐待をしていると知った司郎が顕示を殺したのだ。
 その司郎は刑務所の中で病気で死亡。
 あのとき悲しかったなぁ・・・。

 


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