警告
この作品は<R-18>です。
18歳未満の方は
移動してください。
十八 関白の最期
万作は泣いた。
万作が落ち着くと二人で関白の前に平伏した。
「修理とやら。見事じゃ!」
「関白様!皆様!私が辿ってきた抜け穴があちらにあります。お急ぎになって下さい」
だが、誰も腰を上げない。はっとして万作を見た。万作は寂しそうに笑った。
秀次が言った。
「修理。儂等は逃げぬ」
「なんと!これは太閤の陰謀!関白様!逃げ延びて兵を挙げなされませ!」
秀次は小さく頷きながら微笑んで聞いていたが、
「この雀部や万作にも勧められた。・・・だが、この太平の世にそれはまた大逆じゃ」
「関白様!」
「儂は咎無くしてここで果てる。従容とな。それが叔父上の最も好まぬ事らしい。万作、そなたはまだ若い。修理と逃げよ」
万作は首を振った。
「私は御屋形様を裏切りました。修理様に心を奪われ、契りを結ばせて頂きました」
「それは良い。儂はお前達を鬱憤の餌食にしてきた。儂の方が罪が深い」
「しかし主従の契りは!・・・御屋形様だけで御座います!」
関白は扇子を出して顔を隠した。
木下大膳太夫が柳の間の戸を開けた。
どのような阿鼻叫喚の地獄を見なければならぬのか。嫌な役じゃ。
戸を全て開け放つ。三百の兵どもがよっく見れる様に。
だが、目に入ったのは、それぞれの席で前に突っ伏し、見事に腹を切って果てた主従五人の骸だった。その腹から流るる血の川は、一つに合流してこのもののふ達の絆の強さを物語る様であった。
兵達が声を上げる。
「さすが関白様」
「・・・なんと従容としたお顔じゃ」
見入る将兵ことごとくその清冽な死を讃え刀槍を置き頭を下げた。
講堂の暗がりに不可解な武士の骸が三つ。凄惨な死に様であったが、どれも胸に腕を組み、その太刀がその上に置かれてあった。
予想外な顛末に怒った秀吉は、木下を薩摩に流した。秀次の謀反に荷担したと喚いていたそうな。
その三年後、配流先で秀吉の薨去の報を聞いた木下は、一幅の茶を点てた。木下は茶の達人でもあった。
「太閤様。貴方は狂ってしまわれた。あれから秀次様の首を三条河原に晒し、その前で御眷属三十余名を切り捨て穴に投げ込んだ。最上義光殿の駒姫様もその中にいた。これで最上殿は豊臣の天敵になり申した。それは朝鮮への出兵も、あの元寇を企て、海に七万の将兵をあたら死なせたフビライと同じ愚行でありましょう・・・豊臣は元と同じ道を歩むのではないでしょうか・・・」
そして首を掻ききって果てた。
了
ここまで読んで頂き有り難う御座いました。衆道剣風録第三話如何でしたか?
突如、歴史の事跡が入ってきました。背景は歴史にある通りに進んでいきます。高野山青巌寺はもともと秀吉が北の政所の菩提を弔う為に作った寺で、明治から金剛峰寺と呼ばれています。それまでは高野山全体がそう呼ばれていた様です。
不破万作は美童中の美童。名古屋山三郎、浅香左馬之助(庄三郎)とともに戦国三大美童と言われています。でも静音も身分の高い人に仕えてればその中に入ってますのでよろぴく(?)。
このうち浅香左馬之助は全くどういう人か分かりません。大阪の住吉市に浅香という地名があり、武将の領地だったという情報があります。うむ、大阪なら秀吉にゆかりがあるかも・・・くっくっく(何か考えてる。
歴史上の人物が全て美少年に見える病のトーマスの次作を請うご期待!
評価
ポイントを選んで「評価する」ボタンを押してください。
ついったーで読了宣言!
― お薦めレビューを書く ―
※は必須項目です。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。