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第23話 セックス・ボランティア
「よぅ、お早う」
「あっ、徳さん、どうもお早うございます。今、帰りですか?」
「あぁ、もうクタクタだよ」
メイクを終えて、アパートの部屋の外に出ると、夜勤帰りの徳山のおっさんとばったり出くわした。
結局、俺は六本木の超高級マンションを出て、昔からずっと住んでいたボロアパートに戻って来た。
やっぱり俺には、ここの居心地が一番性に合っているようだ。
「アゲハちゃん、今朝は早いね。もうお出かけかい?」
「はい、今日は四件も仕事が入ったので……」
「あははは、儲かってるみたいだね」
「えぇ、おかげ様で」
今、俺は、キャバ嬢を辞めて、『セックス・ボランティア』として働いている。
『セックス・ボランティア』とは、身体障害者や知的障害者への性的なサービスの提供を行う仕事である。
ボランティアといっても全くの無償ではなく、一回の奉仕につき、二〜三万円の『謝礼』を貰っている。
オランダ等の欧州では合法化された立派な仕事だが、日本ではまだ「売春」とみなされる行為である。
「アゲハちゃんには頭が下がるよ。人の為に尽して、本当に立派だよ」
「そんな事ないですよ。私も楽しんでこの仕事してますから」
「俺の息子もそうだけど、障害者だってさ、エッチをしたいんだよ。でもな、現実はなかなか難しくてな」
「そうですね。日本でも早くセックス・ボランティアが合法化されたらいいのにね」
日本では長い間、障害者の性的欲望はタブーとされ、無視されて来た。
しかし、彼らも立派な男性で、性欲も当然ある。
素人女性との性行為が困難な彼らに気持ち良くなって貰えるこの仕事に、俺は誇りを感じていた。
古川とのセックスで得た『こんな俺でも人の役に立てるんだ』との充実感が、俺の内に新たな自分を目覚めさせたのだった。
「たまには、俺のムスコにも『サービス』してくれよ、アゲハちゃん」
「うふふふ、いいですよ。でも、ちゃんと『謝礼』は頂きますからね」
「あははは、ちゃっかりしてるな」
「そりゃ私も生活が掛かってますからね。でも徳さんには、色々とお世話になってるので、特別に濃厚サービスしてあげますよ」
「うわぉ、そりゃ楽しみだぁ」
徳山のおっさんは、息子さんが知的障害を抱えているので、その関係もあって、俺の事をあちこちで宣伝してくれているのだ。
古川も、障害者仲間に俺の事を広めてくれていた。
そのおかげで、口コミで俺の噂があちこちに広まり、今では三ヶ月先までギッシリとスケジュールが埋まる程に「商売」は繁盛している。
堀内の愛人をしていた頃のような贅沢は出来ないが、それでも毎月百万円程の収入があった。
いつ迄この仕事を続けられるかは判らないが、ボロアパートで俺一人が暮らしていくには充分な収入だ。
「それじゃ、徳さん、いってきま〜す」
「おぅ、気をつけてな」
俺は、徳山のおっさんに手を振って、今日の最初のお客さん、正山タカシ君の家へと向った。
*** *** ***
「あぁ〜ん、あぁん、あぁ〜ん、いいよぉ、とっても気持ちいいよぉ、タカシ君」
俺は、タカシ君の上に跨り、腰を激しく上下に振っている。
タカシ君は、重度の知的障害者だ。でも、あそこは……とっても立派だ。
演技ではなく、マジに気持ちいい。
「あぁ〜ん、凄いよぉ、奥に当たってるよぉ。あぁ、気持ちいいぃぃ、あぁぁぁぁ」
「おぉぉぉ、おぅぅ、おぅ、おぅぅぅぅ」
タカシ君のあそこが、さらに大きく膨れ上がり……弾けた。
ドクドクと、生温かい液が、俺の膣の中へと流れ込んでくる。
「凄いよ、タカシ君。本当に気持ち良かったわよ」
「おぅ、おぅぅぅ、あいがとぅぅ」
タカシ君が、俺の顔を見て、満足そうに微笑んだ。
ズキューン、ズキューンと、膣が激しく収縮を繰り返している。
俺も、タカシ君と同時に、逝ってしまった。
満たされるなぁ……タカシ君の満足そうな顔を見つめていると、下半身だけでなく、心から満足感を感じられた。
「ありがとうございます。本当にいつもありがとうございます。おかげ様で、タカシも最近はすっかり明るくなって……」
俺に『謝礼』を手渡しながら、ペコペコとお辞儀を繰り返すタカシ君の母親の姿に、心がまた熱くなった。
惨めな人生に悲観して自殺を試みて失敗し、整形手術で女性として生まれ変わり、キャバ嬢からセレブの生活を味わった。
そんな俺の人生だけど、今が一番、幸せだ。
こんな俺の体で、幸せになってくれる人達が大勢いる。
人間として、他人の為に何か出来るって事は、かけがえの無い満足感を得る事が出来る。
「それでは、また来月もよろしくお願いします」
「は〜い、判りました。タカシ君、それじゃまた来月ね」
「バヒバァィ」
ニコニコと手を振るタカシ君に微笑んで、俺は正山家を後にした。
今日もいい天気だな。太陽が眩しい。
さぁて、あと三軒だ……頑張ろう!!
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