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天木眞希5−6
部屋に人が入ってくる気配がした。けれども、結城は眞希の気を逸らさなかった。唇が耳元をたどり、両手が、胸の辺りをまさぐり始めていた。押し付けられた下肢の辺りから、熱いものが込み上げてきて、眞希は戸惑った。飲まされたカプセルに何かの作用があるのだろうと思ったが、確かではなかった。
ただ、今は、自分の上にある結城の重みが嫌ではなかった。大きな体に抱きこまれていると守られているような気がした。結城の唇がゆっくり下がってくる。眞希は頭を動かさず、天井を見つめていた。ちらりと勇次の顔が見えると安心した。
抱かれている相手の恋人の顔を見て安心するというのも、おかしなものだったが、勇次はあきらかに、眞希を守るためにそこに存在していた。
薄い布団の下で、眞希の着物の前はすっかりはだけられ、真っ白な胸を結城の唇がうす赤いあとを残しながら辿っていた。こういう手順を踏みながら、二人は愛し合うのだろうか?
そんな風に思うと笑えた。眞希は手を伸ばして結城の髪を撫ぜた。思ったよりも柔らかい感触だ。

手を動かした拍子に、その髪がぱさりと眞希の腹の上に落ちた。異変を感じたのはそのときだった。触れた素肌からぞくっとするような感覚が這い上がった。鼓動が速くなる。
周りのざわめきが妙に大きく聞こえる。見られている。羞恥で肌があわ立った。
それがわかったかのように、結城の愛撫の手が大胆に眞希に触れ始めた。
結城の胸の辺りが眞希の下肢に触れて、もどかしい感覚を生み出す。
「い……や、結城さん……」
体の奥から湧き出す熱に戸惑いながら、眞希は小さく声を上げた。結城が耳元に口付けてきた。
「薬のせいにして、感じていればええで。」
優しいささやきが落ちて、目じりに浮かんだ涙を吸われた。
高野にですら、そんなことをされたことはない。結城は完璧な恋人を演じていた。


結城の手が、眞希の下着にかかり、ゆっくりとそれを抜き取る。眞希は結城に協力して腰を上げた。結城はそれをわざわざ、布団の外に出した。見ている人間を楽しませようというわけだ。布団の中のことで見られているわけでもないのに、眞希の表情がぞくりと艶かしいものに変わった。
眞希の膝を立てさせると、そこに体を挟み込んで、結城が下肢を擦り付けた。剛毛のざらりとした異様な感覚に眞希は体を振るわせた。
きもちいい、と叫びだしそうな唇に、眞希は手のひらを押し当てて耐えた。
ひどく優しい仕草で、結城がその手をはずして、自分の唇に挟み込んだ。指の股を舐められる。執拗なほどの愛撫に眞希の体が震えた。
「ああっ!」
次の瞬間、いきなり、立ち上がりかけたものを握られて、眞希は声を抑えることができなかった。同時に周りに人がいることを思い出した。
微かに目の端に、覗き込む男たちの顔が見える。
それを無理やり頭の中から閉め出して、結城の指先の辿る先を意識した。
浴衣の前はすっかりはだけられ、足の間に結城のものが擦り付けられていた。それが時折、後孔に引っかかるように刺激を与える。たまらない。
自分の手で用意してきたそこは、すでに柔らかくほころびて、男のものを待っている。あたるたびにひくついて、物欲しげに、挿入のときを待っている。
入れて欲しい。
眞希がそう口に出すのを待っているかのように、結城は何度も自分のものを押し付けては、眞希の顔をもの問いたげに見る。
「結城さん……入れて」
さすがに『あゆむ』とは呼べない。そのときまでは、まだ眞希は冷静に自分の状態がわかっていた……気がする。
そっと結城の指が触れてくる。潤滑油でも塗ったのだろう。滑らかな動きだ。
「入れるで」
そうはっきりと声に出して言われて、眞希はその言葉が自分に対してというより、周りの人間に言われているような気がした。その感じはたぶん間違いではないのだろう。
やっぱりショウじゃないかと思いながら、わずかに首を回すと勇次の顔が目に入った。微かに頷かれてほっとする。
一本の指が入っただけで、もう達してしまいそうになるのをこらえる。だが、結城は時間をかけるつもりらしかった。それが、ここに集った客たちを楽しませるためなのか、眞希の体を傷つけないためなのかは、よくわからなかったが、眞希は逆らわずに、結城の指の動きに身を任せた。
口元を手で覆い、押し殺した小さな嬌声を上げる。その艶めいた表情に勇次が息をのんでいることになぞ気づかなかった。
指は、触れていない場所を求めるように、奥にもぐり、押し開き、入り口を嬲った。腰を中心に温かい湯が満ちて、眞希の体を溶かしていくようだった。
結城のもう一方の手が、眞希の手を掴んで自分のものを握らせた。芯のとおったその質量におののきながら、眞希は握ったものを放せないでいた。あさましい、と思ったけれど、それが欲しかった。
「気持ちええんか?」
結城がきく。眞希は頷いた。
「欲しい」
かすれた声が告げたのは本音だった。
「入れてもええか?」
眞希はまた頷いた。それから、勇次に向かって、声を出さずに、ごめんと言った。


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