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早めにラストUPしますね。
天木眞希5−15
「勇次と結城さんが、昨日、北海道へ旅立ちました。」
買ってきた寿司とビールを並べながら、眞希はさりげなく言った。それから、勇次が浜口組を解散したことを伝えた。
高野は、じっと眞希の顔を見ながら、
「そうか」
とだけ言った。どこかで予期していた結果だったのかもしれない。
「食べててください。俺も風呂入ってきます。」
すでに風呂に入った高野はリビングのソファにゆったりと座っていた。
やっと、帰ってこられた。そんな気がした。

やっと、眞希のもとへもどってきた。
よく冷えたビールの缶をあけようかと迷いながら、高野は酔わずに、もう少し、今の状態を味わいたいと思った。せめて眞希がでてくるまでは待っていようと。


あの日、乱闘騒ぎの最中、銃を抜いた男の手から、それをもぎ取った。勇次に銃を向けていた男は、まさか、高野が飛び出してくるとは予想もしていなかったのだろう。あっさり銃は高野の手に渡った。

それを持ったまま、他の男を止めようとしていたときだった。間近で高野を見つめた男が言った。

「あの家ごと、天木を燃やしてやろうか?」

その言葉を聞いたとたん、高野は引き金を引いた。
殺意は確かにあった。
ふーっと小さく高野は息を吐き出した。自分が眞希を守ろうとしたのか、ただ怒りに任せて引き金をひいたのか、覚えてはいなかった。いずれにしろ事は起こってしまったのだ。
衝動を止められなかったのは、自分の罪だった。

そのために眞希にはつらい思いをさせた。


ひんやりとした缶を頬に押し当てられるまで、高野は自分が俯いたまま考え込んでいたことに気づかなかった。
「飲まないんですか?」
眞希が笑っていた。
「それともこっち?」
ガウンの下、はらりと開かれた白い裸体があった。こいつめ! と思いながら、引き寄せた。眞希が声を出して笑った。
「浮気しなかったか?」
思わず、そんな問いが出た。
「しました。たくさん」
眞希が、平気で答える。一瞬絶句してから、高野は微笑んだ。
「……楽しかったか?」
「はい」
とんでもない返事が返ってきた。
けれども高野は笑った。なぜだか、ほっとしていた。



「縛ってください」

眞希が言う。
口元にうっすらと笑いを浮かべて誘う。
そこには、運命に翻弄されて泣いていた高校生の面影はない。
ほのかに色づいた片方の頬に、火傷のあとがはっきりと浮き上がっていた。高野は手を伸ばしてそれに触れた。眞希が唇を寄せてくる。高野が受け止めた。
軽く触れ合った唇が深く重なる。眞希の、熱を帯びた舌が、高野の口の中をまさぐって、高野の舌を引き出す。舌を絡めあったとき、お互いにぞくっとする快感を全身で感じていた。
高まりが擦り付けられ、高野を煽る。
欲しい! 目もくらむような快感の中、唇を話した眞希は、半ば体を起こした。
肉体が飢えたように、高野を求めていた。高野が欲しくてたまらない。


「俺をあなたに縛ってください」
冷静なせりふと裏腹に、かすれて上ずった声が出た。


高野は目をみはった。
ひさかたぶりに見た恋人は、えらく扇情的になっていた。
再び引き寄せられた腕の中、眞希は声を出して笑った。

                  (END)


長いことお付き合いいただいてありがとうございました。「天木眞希」完結です。
よろしければ、評価、感想などいただけると嬉しいです。
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