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この作品は<R-18>です。
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九 別離と死の覚悟
その夜、静音は家に帰ると剣道具を入れる袋に、着替えや脚絆など旅に必要なものを詰め始めた。すると誰かこちらに来る気配!
障子を開けて入ってきたのは、二人の兄と二人の姉だった。
「お兄様、お姉様・・・」
静音は袋を隠す様に後ろに置いた。
「行くのですか?」
香が聞いた。もう一人の姉も正座した兄達も無言で同じ質問をしていた。
「はい・・・我が儘な静音をお許し下さい」
「これを持って行け」
兄の惣一郎は、路銀の入った巾着を静音に渡した。
「父上はお前を勘当するじゃろう。お前は無縁の自由になる。それは生きるには恐ろしいことじゃ。だが、忘するな。我等は常にお前の兄と姉じゃ。修理殿を斬るなりなんなりと思い通りにせよ。そしていつでも帰って来い。我等が父上に取りなす」
静音は母に一番似ている。
だが姿形だけではない。その思い込んだら絶対に曲げない気の強さだ。怒った母に平謝りしている父を何度もこの兄姉は見ている。静音はその一途な清冽さを完全に受け継いでいる。これは父でも変えることは出来ないのだ。
だが、今静音は兄姉にも言わない決意があった。一期の別れを違った気持ちで告げる静音であった。
静音は馬で国境を超えた。
目指すは隣国の山中にある百済西大寺!
別名、百済廃寺!
昔は栄えたお寺だが、戦火に呑まれ堂塔の殆どが焼失した。今は焼け残った無人の本堂があるのみ。狐狸野党のねぐらになっていると言う。
麓の参道入り口に馬を繋ぎ、襷を掛け、股立ちを取った。
(南無八幡・・・お兄様、お姉様、父上、我が儘な静音をお許し下さい!)
静音は闇に紛れ参道を足音を消して登って行った。
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