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第21話 触れ合う距離
(カリンちゃん、ワ、ワタシ、実践だってできるんだからねっ!)

 百萌は身体を重なり合う柊へと艶かしく擦り付ける。
 突然の行動に柊は動揺し固まった。硬直する柊へと百萌は顔を近付けまた唇を重ねる。

「……んっ」

 目を閉じているので柊がどんな顔をしているかはわからないが、拒否する様子は無い。百萌はより強く唇を触れ合わせる。

「ん……ん、んん……」

(シュウくんをもっと感じたい)

 合わさる唇から熱い吐息が漏れる。
 一度離れてもまたすぐに百萌が唇を重ねる。柊は抵抗できないのかしないのか、どちらなのかはわからないが目を瞑ったままだ。

「んっ……んくっ……んんっ」

 その後も、百萌は貪る様にキスを繰り返した。何度目からかはわからないが、なんとなく柊からも求めてきていたように感じられる。それと共に百萌は密着していたため、柊の身体の変化にすぐ気付くことができた。

「シュウくん……やっぱり、女の子として見てくれたんだね」

 太股部分にズボンを押し上げて接触してくるものがあった。
 お互いの吐息が感じられる距離にあった顔を離し、百萌は身体を下へ下へとずらし、中腰で柊の太股に跨った。
 またもや戸惑う柊へと悪戯な笑みを見せ、右手でそっとそのズボンの盛り上がる箇所を撫でた。

「えっ……ちょ、ちょっと百萌!? 何を――」

 抗議する柊に構わず百萌はズボンのチャックを開けた。そのまま手の動きを止めず下着の下に押し込まれたそれを愛でるように触れる。

「……っく」

 突然の行動、柊は刺激に声が漏れた。
 その反応を見て、百萌は下着から柊の逸物を取り出す。

「お、大きいぃ……」

 感心したように呟くも恥じらいがあるのか視線を逸らしがちだ。どうすればいいのか、それは百萌のデータベースにはちゃんとある。だが、知ってるのと出来るのは別だ。虚勢を張ってここまできたがもう頭がパニック寸前である。

「百萌、止めてくれっ」

 身体を動かしての抵抗はできないが、声を張り上げて柊が百萌の行動を非難する。

「や、やめないもんっ! シュウくんが悪いんだからぁぁっ!」

 もうパニックに陥っているようだ。緊張と混乱で乱れた呼吸は必要とする酸素量をうまく運んでくれない。
 視線を泳がせながらも、柊の情欲で膨れ上がった逸物を見続ける。
 外気に触れてそれだけでも柊は不思議な快感を得ていた。もしかしたら、百萌が見ているからかもしれない。

(ワタシで興奮してくれたんだ)

 同年代の異性が身体を密着させてきて何も感じないのは既に異常なような気がするが、それだけの事でも百萌は自分を求めているような気がして嬉しくてたまらない。
 だが折角のチャンスで気持ちよくさせてあげようにもどうしていいかわからない。いつもならエロい想像なんてお手の物の百萌は、好き好きと連呼していたのと同じく、本番では逆にもっと身体が強張ってしまう。

「ど、どどどどうすればいいんだろう……」

 訳が分からなくなり、落ち着かない手でペトペトと触る。実のところ、そのじれったい触れ方は柊を興奮させていたが百萌は気付かない。

「え、えーと、この後は、後はぁ……ど、どうするんだっけっ!?」

「何もしなくていいよっ! 百萌、今日は変だよ!?」

 必死に声を張り上げることで抵抗を続ける柊。

「へ、変じゃないもんっ……。ずっと……シュウくんにこうしてあげたかったもん」

「僕はそんなこと望んでいない!」

「シュウくんの知ってるんだから……」

「なにを……?」

「……やっぱりいい」と淋しげに呟き、顔を完全に柊から見えない角度まで曲げ俯いてから、「シュウくん、少しでも……受け入れる気があるのなら、何も言わないで」

「百萌……」

 肯定でも否定でもない。柊はただ百萌の名を消え入りそうな声量で呟く。その後は何も言わなかった。
 百萌が顔を上げると、ずっと幼馴染なだけの関係であると思っていた大好きな人は、何かを悟ったように目を閉じていた。

「百萌……本当に、らしくないよ。無理してるでしょ?」

「だって……ここまでして、やっとワタシの想いに気付いてくれたでしょ」

「う、うんっ」

 少しだけ申し訳なさそうにする。

「無理させたのシュウくんなんだから。それだけ……本気なんだから……」

 ゆっくりと、柊のそれに百萌は顔を近付けていく。

「シュウくんの事、気持ちよくして上げて、ワタシ無しじゃ生きていけない身体にしてあげるんだからっ!」

 随分な決意をし百萌は勢いに任せて、情欲で大きく硬くなった逸物を口に含んだ。

「……ッッ!」

 身構える暇が無かった柊は、その慣れない感覚に身体を震えさせた。
 百萌もまた、男のそれを口に入れたことなどない。保健体育の授業で聞いた情報や、こっそりやっているエロゲーで得た情報を頼りにこの行動に至ったのだ。
 いざ、こうしてみたものの想像より大きくて、口を一杯に広げても、すべてを中に入れるのは苦しそうだ。

(考えてみたら……これが、ワタシのアソコに……)

 少しだけ怖くなった。脳内のデータベースを検索し、過去にプレイしたエロゲで、初めては痛い、とか血が出るとか、なんだか納得できた気がする。
 考える事で一杯になった百萌に放置気味にされている柊はなんとも複雑な気分だ。

(よ、よしっ! こうやって、考えているだけじゃダメだ。実践あるのみ!)

 半ば投げやりに結論へと至らせた百萌は、躊躇いながらも舌を這わせご奉仕する。

「んふ……んっ、ん、ん……」

「うっ……」

 柊が熱い吐息を漏らす。どうにか、うまくは行っている様だ。しかし、目の前の事で必死なために、相手の反応など確認している余裕は百萌にはなかった。
 一度口から出し、自分の唾液でぬめついた柊の逸物をまじまじと見た。最初はインパクトがあって、恐怖に似たものを感じたが、今は少しだけ引いてきている。
 それと共に余裕も出てきた。思考が働き出しゲームではどうやってたかを思い出して、とりあえずは赤い舌を伸ばし先端を舐め回した。

「んくっ……」

 また柊が声を漏らした。それに合わせて柊のモノがピクンと震えた。その反応を見て、調子をよくした百萌は亀頭を一気に口一杯に頬張った。

「んっ……ちゅ、ちゅぶっ……くちゅ」

 淫らな音を立てながら舌を動かし、どうにか柊へと快感を与えようと健気に頑張っている。

「はぁ……はぁ……ちゅぶっ……ん、んん……っはぁ……」

 だが、柊は快感と痛みを同時に味わっていた。慣れていないからしょうがないものの、歯があたって感じるどころではない。本当に必死になって柊をどうにか気持ちよくさせよとする百萌にはなんとも文句が言い出し辛かった。

「ん、んんっ、んく……ちゅばっ……ちゅぶっ……」

 行為が続く内に、不思議な事に痛みすらも興奮を増長させる一つの要因となった。もう拒否をする気力は無い。柊は段々と快楽へと溺れて行く。それが良いことなのか、悪いことなのかはわからない。
 更に余裕が出来てきたのか、百萌は舌を這わせながらも右手で棹を掴み上下に擦る。

「んっ……くはっ」

 口と手の同時攻撃により、更に強い快感の波が押し寄せる。柊はその突如の訪れに普段の態度からは想像出来ない情けない声で喘いだ。

(シュウくん可愛いぃぃぃっ!)

 違う意味で百萌は興奮していた。本当にこれでは立場が逆だ。まるで柊が百萌に調教されているように見える。
 喘ぐ柊見たさに棹をしごくスピードを上げた。口の方もすぼめるようにして、吸い付くようにする。

「んちゅっ……んっ、んっ、んっ……」

「あっ……百萌っ……ダメ」

 無力な抵抗は空しく、いいようにされたままの柊。

「ちゅっ……ちゅぶっちゅばっ……じゅ、じゅ……んっ、ずっ……ずずっ……んむ」

 百萌からの攻撃がより激しくなった。舐めるというものではなく、完全に頬をすぼめ吸い付く。これはミスだ、甘噛みが妙に情動を際立てる。手の動きもおそらくは偶然であろうが、柊の雁首を的確に刺激していた。
 もう堪えられない。この動きが少しでも強くなれば、柊はイくのを我慢する自信がない。

「も、も……やめ、出るからっ……口離してっ」

 喘ぎながらにも必死に訴えた。

「んんっ……そのまま……出してっ……」

 もう一度言おうとしたが、それを阻むように百萌が手の動きを早めた。

「っく……」

 臨界点に達した。もう堪えるのは無理だ。

「んむ……あむっ……んぐ、ちゅむ……じゅ、じゅっ……ちゅ、ちゅぱっちゅぶっ……んんっ……じゅるっ……ずずずっ」

「くはっ……!」

 ドクンドクンと波打つように柊の内側から熱が込み上げ、尿道からドクドクと精液が溢れた。

「んんっ! んっ、んん……」

 そのすべては百萌の口の中に流れていく。しかし、百萌はその予想外の量に驚き、目を見開いた。口の中で柊ので一杯になるのは幸福だがそれ以上に苦しい。

「はぁ……はぁ……」

 絶頂へと達した事で更にぐったりとした柊は、息を荒げるのを落ち着かせながら百萌を心配そうに見つめた。

「百萌、無理……しないで、吐き出していいんだよ?」

 それに対して百萌は首を横に振って答えた。

「でも……」

 粘着く精液と悪戦苦闘する百萌。

「ん、んく……ん~~……こくん。ぷはぁっ……はぁはぁ……」

 どうやらすべて飲み込んだようだ。トロンとした瞳が柊の方を向く。

「シュウくん……」

 愛しむように精一杯に気持ちを込めた甘い声。柊がくすぐったい思いをすると共に、罪悪感を抱いた。
 拒否はしなかった。だが、それが百萌の事が好き、ということにはならない。それがまるで身体だけを欲したようで自己嫌悪に陥る。

「百萌……ごめ、んくっ」

 謝罪を口にしようとするも百萌の唇がそれを阻んだ。
 ソッと触れただけで、すぐに離れる。

「まだ、こんなんじゃ済まさないんだからっ」

 吐息がかかる距離で、まるでこれからだと言いたげな発言をする。いや、現に百萌はそう思っている。
 なにも答えない。ただ柊は黙っていた。
 百萌は構わず自分の制服に手を掛ける。前がはだけて肌色のブラジャーが豊満な胸を包むのが見えた。下もわざとスカートを捲り上げさせて、控えめなフリルが付いた薄茶のショーツをさらしている。

 その格好で身体の上へと跨り四つん這いをされる。乱れているように見えるのが、また扇情的だ。
 柊はその今まで異性を感じさせなかった幼馴染に、性欲を掻き立てられて不思議な気分がした。身体も正直で一度イって萎びれた柊のモノは、また天井を向いている。
 それでも、柊は酷く悪い事しているように思えてならない。好きかどうかわからないというのにこんなことをしていいのか? 真面目な柊はそう考えていた。

「シュウくん……」

 甘い囁きが耳をくすぐる。
 そして、より身体をくっ付けてくる百萌がまたキスをねだる。
 理性が待てと言うが、本能が百萌を求めた。

 決心がつかないまま、また唇が…………。

「ただいまっ!」

 玄関を開ける音が聞こえた。この声は夏凛だ。

「お兄ちゃん、靴があるからまだ百萌いるんだねっ!」

 一階のリビングから声が聞こえてきた。

(不味いよ、早く、早くなんとかしないとっ!)

 百萌は慌てて柊から離れた。柊も焦っているが身体が動けない為にどうしようもない。とりあえず百萌は自分の衣服を整えた。

「ねぇ、百萌と私も話がしたいから、その、部屋入っても大丈夫? いま、どたばた聞こえるけど、何してるの?」

 自分の服に戸惑っている内に、夏凛は階段を上がって二階に来ていた。しかも部屋の前にいる。

「百萌、あの……僕の」

 顔を赤くしながら柊が俯く。
「え?」と一瞬、首を傾げるも百萌はすぐに気付いた。柊のズボン、チャックが開いてて……それで出っ放しだ。

「あわわわわわっ!」

 すぐに手を掛けてチャックを閉めた。なんだか行為中はそれほどまでに感じなかったが、妙に羞恥をさらした気分の柊だ。百萌は百萌でさっきまで口に入れてたりしていたというのに、終わった後だと物凄く見るのですら恥ずかしい思いがした。

「本当にどうしたの? 中で暴れて、何かいたの?」

 ドアの外で夏凛が困ったように尋ねてきた。

「な、なんでもないよっ! うん、大丈夫!」

 百萌は切羽詰った声を出した。

「なんでもなくないような声だよ……。えっと、入るよ」

 ドアノブが捻られ、ドアが開き夏凛の姿が確認できた。
 夏凛が部屋に入った時には既にすべて終わっていた。なんとか怪しくないような感じに、柊はベットで寝転びそれを看病するように百萌はベットの脇に座っていた。

「ん?」

 夏凛は顔を真っ赤にさせる二人を見てただキョトンとした。


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